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近視になりやすい人とは?遺伝要因や環境要因について解説します

 公開日:2024/12/24

近視とは、眼球のなかのピントがずれて遠くが見えにくい状態になることです。近視に悩む人は少なくありませんが、どのような人が近視になりやすいのでしょうか。近視になる原因には、遺伝要因と環境要因があります。それぞれの要因から、近視になりやすい人について解説します。また、近視は日頃から注意することで防げる可能性があります。近視にならないために注意することを知り、早めの対策を心がけましょう。

近視について

多くの人が悩まされる近視とはどのような状態のことなのでしょうか。近視の仕組みや見え方、近視になる要因について解説します。

近視とはどのような状態を指しますか?
近視とは、眼軸が伸びてしまったことで、網膜よりも手前の位置でピントが合い、遠くの物が見えにくくなる状態のことをいいます。また、角膜や水晶体の屈折力が強すぎるためにピントが合わなくなるケースもあります。

近視は大きく単純近視と病的近視に分けられます。一般的な近視は単純近視で、眼鏡などで視力を矯正できる近視です。病的近視は視機能障害を伴うもので、眼球後部の変形が見られます。視神経網膜が障害されることで、失明の可能性がある近視です。

近視はどのような見え方ですか?
近視になると、遠くはぼやけますが近くははっきり見ることができます。近視が強くなる程、近い位置でないと見えにくくなるのが特徴です。手もとは見えても遠くが見えづらいため、車の運転や日常生活において不便を感じやすくなります。

近視の強さは屈折度数で分類され、マイナスで表します。-0.5D以上-3.0D未満は弱度近視、-3.0D以上-6.0D未満は中等度近視、-6.0D以上は強度近視とされています。

近視になる要因について教えてください
近視になる要因としては、まずは遺伝的なものがあります。両親や祖父母などから受け継いだ遺伝子のなかに強い近視のものがあると近視になりやすくなります。

環境的要因としては、日頃の生活習慣が影響していると考えられています。近くで物を見続けることがよくある、デジタル機器で目を酷使している、十分な明るさがない場所で作業をしているなど、目に負担がかかる生活を続けると近視になりやすいでしょう。

近視になりやすい人

近視になるには、遺伝的要因と環境的要因の両方が影響しているといわれています。それぞれどのような人が近視になりやすいのかを紹介します。

近視は遺伝的な要因がありますか?
近視には遺伝的な要因があります。両親のどちらかが近視の場合、子どもが近視になる確率は約2倍になります。両親がともに近視の場合では、子どもは5~6倍の確率で近視になるといわれています。両親が強い近視ではなくても、祖父母や曾祖父母などが強い近視だった場合はその遺伝子の影響を受けることもあるでしょう。
近視になりやすい環境要因を教えてください
手もとなどの近くを見る時間が長い場合は近視になりやすくなります。ゲームや本などに集中していると、手もとにばかりピントが合う状態が続くため、遠くにピントが合いにくくなるので注意が必要です。

パソコンやデジタル機器を長時間使用している場合は、眼精疲労が続き、水晶体の光を屈折する力が強くなり、屈折性近視になる可能性があります。照明が暗いところでの作業や勉強は、軸性近視を促進しますので注意しましょう。

また、屋外で過ごす時間が少ないことが近視に影響しているとも考えられています。

近視になる子どもが増えている理由を教えてください
文部科学省による令和3年度学校保健統計では、小学1年生では約4人に1人、小学3年生では約3人に1人、小学6年生では約半数が、裸眼視力が1.0未満という結果になったと報告されています。

近視になる子どもが増えている理由としては、スマートフォンやタブレットなどの電子機器の普及によって近い距離で見る機会が増えたこと、寝る時間が遅くなり睡眠時間が減ったことなどが挙げられます。成長期の子どもは、身体の成長とともに視力も変化しやすい時期です。入学前の子どもが近視を発症すると、のちに強度近視になりやすいため特に注意して日常生活を送るようにしましょう。

また、外遊びの時間が減ったことも子どもの近視の原因です。屋外の明るいところで過ごす時間が長い程、近視になりにくいといわれています。日陰やベランダでよいので、1日にトータル2時間程度は屋外で外遊びをさせるとよいでしょう。

近視にならないために注意すること

近視にならないために注意すること 近視は眼軸が伸びてしまいピントが合わなくなることで起こります。一度伸びてしまった眼軸はもとには戻りません。しかし、早い段階で気を付けておけば近視を予防することができます。

読書や勉強をする時に注意することはありますか?
手もとや近くを見る場合には、まずは明るさに気を付けましょう。暗い場所での作業は目に負担をかけます。200ルクス以上の明るさを保つようにするとよいでしょう。

また、近いところばかりを見続けるのもよくありません。手もとを見続ける場合は、少なくとも30分に1回は、20秒以上遠くを見つめるようにしてください。なお、遠くとは6m以上が好ましく、室内の場合でも2m程度離れた場所を見るように心がけましょう。

近視の予防方法を教えてください
近視の予防方法としては、目の筋肉を動かすトレーニングがおすすめです。目には眼球を動かすための外眼筋や、ピント調節を行う毛様体筋があります。トレーニングを行うことで、目の筋肉の緊張がほぐれて血流がよくなり、近視予防にもつながるでしょう。

トレーニング方法としては、手を伸ばして立てた親指と、遠くの目標物を交互に見る遠近体操法があります。片目ずつ、近くの親指と遠くの物を交互に10秒ずつ見る運動を10セット繰り返します。

また、大きく円を描くように両目を回すトレーニングもあります。時計回りで2~3回、反時計回りで2~3回、無理しない程度にゆっくりと回して筋肉をほぐしましょう。

ほかにも、日光に含まれるバイオレットライトが近視抑制に有効と言われております。一日あたり2時間以上の屋外生活が推奨されておりますが、少なくとも40分程度は屋外活動を行えるように配慮しましょう。

日常生活で近視にならないために注意することを教えてください
近い距離にばかりピントを合わせたり、目を酷使したりする生活が続くと、近視になりやすくなってしまいます。日常生活のなかでは、近くを見続けないようにする、デジタル機器の使い過ぎに気を付ける、十分な明るさになるように照明を調節するなど、目に負担をかけないように注意するとよいでしょう。

特に近年ではスマートフォンやタブレットが普及したことで、手もとを長時間見続けることが多くなりました。手もとにばかりピントが合っていると、ピントに合わせて眼軸が伸びてしまい近視につながります。こまめに休憩をしたり、遠くを見るようにしたりするなど、日頃から意識的に気を付けておきましょう。

編集部まとめ

近視は、両親などから遺伝して起こる遺伝的要因と、生活習慣によって起こる環境的要因の両方が影響していると考えられています。環境的要因としては、近くばかりを見続けたり、目に負担がかかっていたりといった、生活習慣が大きな理由です。特に近年はスマートフォンやタブレットの普及によって、子どもの近視も増えつつあります。日頃から近視リスクの高まる行動を避け、目を大切にするように心がけることで、近視は予防することができます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)

三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

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