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「強迫性障害」を発症するとどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2026/04/17
「強迫性障害」を発症するとどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

「何度も手を洗ってしまう」「戸締まりが気になって家に戻ってしまう」などの行動が続く場合、強迫性障害の可能性があります。
強迫性障害は、頭から離れない不安やこだわり(強迫観念)と、不安を打ち消すために繰り返してしまう行動(強迫行為)によって、日常生活に影響が生じる病気です。心配や確認行為は多くの人にみられるため、自分では気付きにくいこともあります。
本記事では、強迫性障害の代表的な症状や生活への影響、セルフチェックの方法や受診の目安などを解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

強迫性障害の症状

強迫性障害の症状

強迫性障害における不潔恐怖とはどのようなものですか?

不潔恐怖は、「汚れているのではないか」「細菌やウイルスが付いているのではないか」などの強い不安にとらわれる状態です。
例えば、ドアノブや手すり、つり革などに触れた後に強い不安を感じ、何度も手を洗わずにはいられなくなります。入浴や洗濯を長時間繰り返したり、肌が荒れるほどアルコール消毒を続けたりする場合もあります。
本人もここまでやらなくてもいいと理解していることが多いものの、不安が強く、行為をやめられない点が特徴です。

加害恐怖について教えてください

加害恐怖は、「誰かに危害を加えてしまったのではないか」と不安が繰り返し浮かぶ状態です。
例えば、車を運転した後に「もしかして人をひいてしまったのではないか」と不安になり、同じ道を何度も戻って確認したり、ニュースやインターネットで事故が報じられていないか確かめたりする場合があります。
実際に危害を加えた事実がなくても、不安が頭から離れず、安心を得るための確認行動を繰り返してしまうのが特徴です。

確認行為とはどのようなものですか?

確認行為とは、不安を打ち消すために何度も同じことを確かめる行動を指します。
代表的なものとして、戸締まりやガス栓、電気器具のスイッチなどを何度も確認する行動があります。じっと見つめる、指差し確認をする、手で触れて確かめるなど、方法はさまざまです。
一度確認しても安心できず、何度も繰り返すことで外出が遅れたり、生活に支障が出たりする場合があります。

数字や配置などへのこだわりの特徴を教えてください

数字へのこだわりでは、「4や9は不吉だ」「この数字でないと落ち着かない」などの思いに強くとらわれます。縁起をかつぐ範囲を超え、日常生活に支障が出るほど避けたり、特定の数字に固執したりします。
また、物の配置や対称性に強いこだわりを示すこともあります。机の上の物が左右対称でないと強い違和感を覚え、何度も並べ直すなどの行動がみられます。
「きちんと整っていないと不吉なことが起こるのではないか」との思考が背景にある場合もあります。

儀式行為とはどのようなものですか?

儀式行為は、自分で決めた手順やルールに従わないと強い不安を感じるため、同じ方法を繰り返さずにはいられない行動です。
例えば、着替えの順番を必ず同じにしないとやり直す、特定の回数だけ動作を繰り返す、心のなかで決まった言葉を唱えないと落ち着かないなどがあります。
参照:『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)

強迫性障害を発症することで生じる生活への影響

強迫性障害を発症することで生じる生活への影響

強迫性障害によって日常生活にどのような影響がでますか?

強迫性障害では、強迫観念や強迫行為に多くの時間とエネルギーを取られることが大きな特徴です。
例えば、手洗いや確認行為に長時間かかり、外出の準備が進まない、約束の時間に遅れてしまうなどがあります。よくあるのが、火の元や戸締まりが気になって何度も家に戻ることです。
また、不安を避けるために特定の場所や状況を回避するようになることもあります。例えば「汚れているかもしれない」と感じる場所を避けて外出を控えるなど、行動範囲が徐々に狭くなります。
このような状態が続くと、心身の疲労が蓄積し、生活の質が低下します。家族に確認を繰り返し求めたり、消毒を強要したりして、人間関係に影響が出ることも少なくありません。

強迫性障害で仕事を続けることが難しくなることはありますか?

症状の程度によっては、仕事の継続が難しくなる場合もあります。
例えば、確認行為に時間がかかり、出勤が遅れる、業務中に不安が強まり作業に集中できないなどの影響が生じます。完璧さへのこだわりが強くなり、同じ作業を何度もやり直してしまうことで業務効率が低下する場合もあります。
また、ミスに対する不安が過度に強まり、判断や決断に時間がかかるようになることで、職場での評価や人間関係に影響が出ることもあります。
ただし、すべての方が仕事を続けられなくなるわけではありません。症状が軽度であれば、周囲の理解や環境調整によって働き続けることも可能です。適切な治療を受けることで症状の軽減が期待できるため、1人で抱え込まず、早めに医療機関を受診しましょう。
参照:『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)

強迫性障害のセルフチェック方法

強迫性障害のセルフチェック方法

強迫性障害のセルフチェック方法を教えてください

次の項目に当てはまる場合、強迫性障害の可能性があります。
  • 同じ確認や行動を何度も繰り返してしまう
  • 「やりすぎだ」とわかっていてもやめられない
  • 不安な考えが頭から離れず、振り払えない
  • 手洗いや確認に1日1時間以上かかっている
  • 不安を避けるために行動範囲が狭くなっている
  • 家族や周囲の人を巻き込んで確認や消毒を求めてしまう

当てはまるからといって必ず強迫性障害であるとは限らず、あくまでも目安と考えてください。

強迫性障害と通常の心配性の違いは何ですか?

通常の心配やこだわりでも、不安になることはあります。しかし、多くの場合は一度確認すれば落ち着き、その後の生活に大きな支障は生じません。気になることがあっても、ある程度気持ちを切り替えることができます。
一方、強迫性障害では、確認を重ねても十分に安心できず、不安が繰り返し湧き上がることがあります。また、「やりすぎかもしれない」と自覚していても行動を止められず、その結果として多くの時間を費やしたり、強い苦痛を感じたりします。さらに、遅刻や作業効率の低下、人間関係のトラブルなど、生活に影響が生じる点が特徴です。
違いは心配の有無ではなく、不安にどれだけ支配されているか、生活への影響がどの程度かです。

どのような結果が出たら受診を検討すべきですか?

次に該当する場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
  • 強迫行為や不安に毎日長時間を費やしている
  • 学校や仕事に支障が出ている
  • 家族や周囲との関係が悪化している
  • 自分ではコントロールできないと感じている
  • 不安や抑うつが強く、つらさが続いている
「まだ受診するほどではないかもしれない」と感じていても、早めの相談によって症状の悪化を防げる可能性があります。
強迫性障害は、適切な治療によって改善が期待できる病気とされています。不安や行動が日常生活に影響を及ぼしている場合は、1人で抱え込まず医療機関を受診しましょう。
参照:『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)

編集部まとめ

編集部まとめ

強迫性障害の症状は、「少し神経質なだけ」と見過ごされやすい一方で、時間やエネルギーを大きく消耗し、生活や仕事、人間関係に影響を及ぼすことがあります。
重要なのは、「不安があるかどうか」ではなく、「その不安によってどれだけ生活が制限されているか」です。強迫性障害は、適切な治療によって改善が期待できる病気とされています。
確認や手洗いに長時間を費やしている、やめたいのにやめられない、周囲との関係に支障が出ているなどの場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

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