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「おたふく風邪かどうかの判断ポイント」はご存知ですか?受診の目安となる症状も解説!

 公開日:2026/04/06
「おたふく風邪かどうかの判断ポイント」はご存知ですか?受診の目安となる症状も解説!

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、耳の下が腫れて痛みが出ることで知られていますが、初期症状は発熱やだるさなど風邪に似ているため、見分けがつきにくいことがあります。特に大人やワクチン未接種の方は重症化もあり、早めの判断が大切です。この記事は、おたふく風邪かどうかを見分けるセルフチェックのポイントや、受診すべきタイミングを解説します。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

おたふく風邪の基礎知識

おたふく風邪の基礎知識

おたふく風邪とはどのような病気ですか?

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって引き起こされる急性の感染症です。主に唾液の飛沫感染(1m以内)接触感染で広がり、感染すると2〜3週間の潜伏期間を経て発症します。代表的な症状は、耳の下にある耳下腺や顎の下(顎下腺)の腫れと痛み、発熱、頭痛、食欲不振などで、通常は1週間ほどで自然に回復します。ただし、思春期以降や大人が感染すると、睾丸炎、卵巣炎、髄膜炎、難聴などの合併症を起こすことがあります。
参照:『流行性耳下腺炎』(厚生労働省)
『流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)(詳細版)』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『Ⅴ. 疾患別 6. 流行性耳下腺炎 (Mumps)』(大阪大学)

おたふく風邪にかかりやすい年齢や性別などはありますか?

年齢や性別によってかかりやすさかかったときの重症度に少し違いがあります。患者さんの数が少なくないのは、保育園や幼稚園〜小学校低学年の子どもで、特に3〜6歳前後のお子さんが中心です。一方で、ムンプスウイルスには全年齢で感染する可能性があり、大人でも子どもの頃にかかったことがない、またはワクチン未接種・1回のみ接種の方は発症リスクがあります。また、性別による発症頻度の大きな差はありませんが、思春期以降の男性では睾丸炎、女性では卵巣炎など、性腺に関わる合併症が問題になりやすいです。そのため、何歳でもかかるが、幼児期に多く、大人は重症化しやすい特徴があると考えてください。
参照:『感染症発生動向調査からみる1983年~2024年の我が国の流行性耳下腺炎の状況』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)

おたふく風邪には重篤な合併症や後遺症はありますか?

多くの場合は自然に治る病気ですが、一部の方では重篤な合併症や後遺症が生じることがあります。代表的な合併症として、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)脳炎(のうえん)があり、強い頭痛や嘔吐、けいれん、意識障害などを伴い、まれに神経学的な後遺症(てんかんや学習障害など)を残すことがあります。
また、ムンプス難聴と呼ばれる感音性難聴は、一度起こると聴力の回復が難しく、永続的な後遺症となる点が重要です。さらに、思春期以降の男性では睾丸炎(こうがんえん)、女性では卵巣炎(らんそうえん)を起こすことがあり、不妊のリスクとの関連も指摘されています。膵炎(すいえん)などほかの臓器の炎症がみられることもあり、強い腹痛や高熱が続く場合は早めの受診が大切です。
参照:
『流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)(詳細版)』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『ムンプスウイルスおよび水痘・帯状疱疹ウイルス感染による重症化症例と 重篤な合併症を呈し』(日本小児学会)

おたふく風邪かどうかの判断ポイント

おたふく風邪かどうかの判断ポイント

おたくふく風邪の症状の特徴を教えてください

おたふく風邪の特徴は、耳の下が腫れて痛くなることです。多くの場合、まず38度前後の発熱、だるさ、頭痛、食欲不振など風邪のような症状から始まります。その数日以内に、耳の前〜下あたり(耳下腺)が徐々に腫れ、押すと痛い、食べ物をかむと痛い、などの症状が出てきます。腫れは片側だけのこともあれば、1〜2日遅れて反対側も腫れてくることもあります。また、顎の下(顎下腺)までふくらんで、顔が丸くなったように見えるのも特徴です。通常は1週間ほどで熱と腫れが引きますが、強い頭痛や嘔吐、腹痛、睾丸の痛みなど、普段と明らかに違う症状がある場合は、合併症の可能性もあります。
参照:『Ⅴ. 疾患別 6. 流行性耳下腺炎 (Mumps)』(大阪大学)

おたふく風邪のセルフチェック方法はありますか?

次のようなポイントを確認してください。
  • 38度前後の発熱やだるさ、頭痛、食欲低下などがあるか
  • 数日以内に、耳の前〜下、顎の下あたりがふくらんで痛くなってきたか
  • 片側から腫れが始まり、1〜2日して反対側も腫れてきていないか
  • しゃべる・かむ・飲み込むときに、耳の下や顎のあたりがズキッと痛むか
  • 周囲(家族や園・学校など)でおたふく風邪が流行していないか

セルフチェックで強く疑うことはできますが、診断は医師による診察や検査が必要です。

おたふく風邪と間違えやすい病気を教えてください

代表的なものは、反復性耳下腺炎です。これは耳下腺の腫れと痛みを繰り返す病気で、発熱が軽いかほとんどなく、激しい痛みを伴うこともまれな点がおたふく風邪と違います。また、ほかのウイルスによるウイルス性耳下腺炎も、耳の下が腫れるため区別が難しいことがあります。細菌感染による化膿性耳下腺炎では、耳下腺の腫れに加えて強い痛みや発赤、高熱、膿が出るなどの症状です。さらに、耳下腺以外のリンパ節の腫れを起こすウイルス感染(風邪や伝染性単核球症など)も、見た目が似ている場合があります。
参照:『反復性耳下腺炎 (はんぷくせいじかせんえん)とは』(済生会)

おたふく風邪の受診目安

おたふく風邪の受診目安

おたふく風邪は自宅療養で治る病気ですか?

特別な薬を使わなくても自宅療養で自然に治る病気です。ウイルス感染症のため、原因そのものを治す薬はなく、熱や痛みに対して解熱鎮痛薬を使う、水分をしっかりとる、刺激の少ないやわらかい食事にするなど、症状を和らげながら回復を待つことが基本です。耳の下の腫れや痛み、発熱は通常1週間前後で落ち着きます。

どのような症状が現れたら病院を受診すべきですか?

まず、38〜39度台の高熱が続き、解熱薬を使ってもぐったりして元気がない場合です。また、強い頭痛何度も吐く光をまぶしがる首が固くて前に曲げられない意識がぼんやりするけいれんを起こすなどの症状は、髄膜炎脳炎など重い合併症のサインの可能性があります。男の子や男性では、睾丸が赤く腫れてとても強い痛みが出る、歩けないほどの腹痛がある場合も受診が必要です。さらに、耳が聞こえにくい、耳鳴りがするなど難聴を疑う症状が出たときも、できるだけ早く受診してください。
参照:『難聴に注意! ―おたふく風邪― 』( 一般社団法人 奈良県医師会)

おたふく風邪で緊急受診を検討した方がよい症状や状況を教えてください

次のような症状がある場合は速やかに受診をしてください。
  • ぐったりして起こしても反応が悪い、呼びかけに答えにくいなど、意識がはっきりしないとき
  • 我慢できないほどの強い頭痛が続く、何度も繰り返し吐くけいれんを起こしたとき
  • 高熱が何日も続き、解熱薬を使ってもすぐにまた高くなるとき
  • 男の子や男性で、睾丸(陰嚢)が急に赤く腫れて強い痛みがあるとき
  • 歩けない・立てないほどの強い腹痛があるとき
  • 耳が聞こえにくい、片方だけ聞こえない、耳鳴りがするなど、急な聴こえの変化が出たとき
  • 水分がほとんど飲めない、半日以上おしっこが出ないなど、脱水が疑われるとき

これらは髄膜炎、睾丸炎、難聴など重い合併症のサインの可能性があるため、救急外来を含めて速やかに受診してください。

病院ではおたふく風邪をどのように治療しますか?

病院でも基本的には対症療法が中心です。ムンプスウイルスそのものを直接治療する薬は現在なく、症状を和らげながら自然な回復を待ちます。具体的には、発熱や耳の下の痛みが強い場合に、年齢や症状に合わせた解熱鎮痛薬(主にアセトアミノフェンなど)を処方し、水分や食事が十分とれない場合には点滴で水分・電解質を補うことがあります。
また、腫れている部分を冷やすと痛みが軽くなるため、冷湿布などで対応します。睾丸炎や髄膜炎などの合併症が疑われる場合には、入院下での全身管理や必要な検査・治療が行われます。

編集部まとめ

編集部まとめ

おたふく風邪は、耳の下の腫れや痛み、発熱が主な症状で、風邪との見分けが難しいことがあります。セルフチェックで症状を確認しつつ、高熱や強い頭痛、嘔吐、睾丸の腫れ、聞こえにくさなどがある場合は、合併症の可能性もあるため早めの受診をおすすめします。

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