「慢性蕁麻疹」はどんな蕁麻疹?発症した際に気を付けた方がよいことも解説!

慢性蕁麻疹は、赤く盛り上がった発疹とかゆみが、出たり消えたりを繰り返しながら続く状態です。食べ物などのアレルギーが原因だと思われがちですが、慢性化した蕁麻疹では、特定の原因がはっきりしないことも少なくありません。
一方で、治療の中心は原因探しだけではなく、症状を安定させて生活の質を取り戻すことです。抗ヒスタミン薬を基本に、効果に応じて治療を段階的に調整することで、多くの方はコントロールが期待できます。この記事では、慢性蕁麻疹の基本、治療の進め方、日常生活での工夫をまとめます。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
慢性蕁麻疹の基礎知識

慢性蕁麻疹とはどのような病気ですか?
慢性蕁麻疹は、蕁麻疹の症状が6週間以上続く状態を指します。典型的には、かゆみを伴う赤い膨らみが突然現れ、数時間から長くても24時間以内に跡を残さず消える一方で、別の場所に新しい発疹が繰り返し出てきます。
皮膚の浅い部分に起こる膨疹が主体ですが、まぶたや唇などが腫れる血管性浮腫を伴うこともあります。蕁麻疹自体は命に関わらないことが多いものの、睡眠や集中、仕事や家事に影響しやすく、適切な治療で早めに負担を減らすことが大切です。
参照:『蕁麻疹診療ガイドライン 2018(PDF)』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
慢性蕁麻疹とほかの蕁麻疹の違いを教えてください
蕁麻疹は、症状が続く期間と、きっかけがはっきりしているかどうかで整理すると理解しやすくなります。慢性蕁麻疹では、はっきりした誘因が見つからないまま膨疹が出たり消えたりを繰り返すことが多いのが特徴です。
一方で、寒冷、温熱、圧迫、摩擦、日光、運動など、決まった刺激で再現性よく症状が出るタイプもあり、この場合はその刺激を避ける工夫が対策として重要です。急性の蕁麻疹は発症から日が浅く、感染症の前後など一時的な体調変化が背景にあることもありますが、慢性蕁麻疹では毎回同じ原因が特定できるとは限りません。
なぜ慢性蕁麻疹が起きるのですか?
蕁麻疹は、皮膚のマスト細胞が刺激を受けてヒスタミンなどの物質を放出し、血管が広がったり水分がしみ出したりすることで膨疹とかゆみが生じます。慢性蕁麻疹では、このマスト細胞が過敏になっている背景があると考えられますが、原因を一つに決められないことも多いです。
例えば、自己抗体の関与、感染、疲労やストレスなどは病態に影響しうるとされます。ただし、むやみに検査を増やしても原因が特定できないことがあるため、病歴や症状のパターンから必要な検査を選び、同時に症状を抑える治療を進めるのが現実的です。
慢性蕁麻疹の治療方法と進め方

病院での慢性蕁麻疹の治療法を教えてください
それでも生活に支障が残るほど症状が強い場合は、注射薬などの専門的な追加治療を組み合わせることがあります。どこまで治療を進めるかは、症状の程度、眠気など副作用の出方、併存疾患、妊娠の可能性、仕事や生活への影響を踏まえて個別に判断されます。
慢性蕁麻疹の治療はどのように進められますか?
治療の進め方のポイントは、効いているかを定期的に確認しながら、必要な強さに調整し、落ち着いたら負担を減らす方向へ整えていくことです。治療開始後は、症状の変化や生活への影響をみながら、まずは現在の治療で十分に抑えられているかを評価します。抑えきれない場合は、治療内容を段階的に調整します。
症状が安定してきたら、自己判断で中断するのではなく、再燃の有無を確認しながら、医師と相談して治療の負担を少しずつ減らす方法を検討します。慢性蕁麻疹は波があることが多いため、よい日が増えても、急に止めるより段階的に整えるほうが、結果的に安定しやすくなります。
参照:『蕁麻疹診療ガイドライン 2018(PDF)』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
慢性蕁麻疹は病院での治療で治癒しますか?
ただし、治療の目的は治癒だけではありません。症状が薬でコントロールできると、睡眠や日中の集中力が改善し、生活の質が大きく上がります。症状が安定した状態が続くようになったら、主治医と相談しながら、無理のない範囲で減量や中止のタイミングを検討します。
慢性蕁麻疹の治療中にかゆみがでたときの自宅での対処法を教えてください
治療中でも、体調や環境の変化で一時的にかゆみが強くなることがあります。まずは皮膚への刺激と体温上昇を減らすことが大切です。掻かずに冷やす、締めつける服や強い摩擦を避ける、熱い入浴やサウナ、飲酒、激しい運動を控えるといった工夫は、悪化の連鎖を断ちやすくします。
また、薬の飲み忘れが続くと再燃しやすいので、症状が軽い日があっても処方どおりに継続することが基本です。息苦しさ、のどの違和感、めまいなど皮膚以外の症状を伴う場合は、蕁麻疹以外も含めて緊急性が高くなることがあるため、早めに受診してください。慢性蕁麻疹の患者さんが日常生活で気を付けること

生活習慣の改善によって蕁麻疹を防げますか?
生活習慣だけで慢性蕁麻疹を完全に防ぐのは難しいものの、悪化しやすい条件を減らすことは有効です。睡眠不足や疲労、ストレス、感染などは増悪因子になりうるため、体調管理を意識するだけでも波が小さくなる方がいます。
ただし、生活習慣のせいだと考えすぎると、必要な治療が遅れたり心理的負担が増えたりします。生活の工夫は治療の土台としてとらえ、症状が続くときは薬物療法と組み合わせて現実的に対処しましょう。
毎日の生活のなかで気を付けた方がよいことを教えてください
処方薬がないときはかゆみなどの症状にどのように対処するとよいですか?
軽い症状であれば、冷やす、摩擦を避ける、体温を上げないといった非薬物の工夫で一時的に楽になることがあります。
市販の抗ヒスタミン薬が受診までのつなぎとして選択肢になる場合もありますが、持病や妊娠中、ほかの薬を内服中の方は相互作用や副作用への配慮が求められます。症状が強い、繰り返す、6週間以上続いている、まぶたや唇が腫れるといった場合は、市販薬で様子をみるより皮膚科で治療方針を立てることが望ましいと考えられます。息苦しさやのどの違和感、めまいなど全身症状があるときは緊急受診を検討してください。
参照:『重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー(PDF)』(厚生労働省)
編集部まとめ

慢性蕁麻疹は、膨疹とかゆみが6週間以上続く状態で、アレルギーだけでは説明できないケースも多い病気です。治療は第二世代抗ヒスタミン薬を基本に、効果をみながら段階的に調整し、難治例では専門的治療が検討されます。
日常生活では、体温上昇や摩擦などの刺激、睡眠不足や疲労などの増悪因子を減らしつつ、自己判断で治療を中断しないことが大切です。症状が長引く、生活に支障がある、血管性浮腫や全身症状を伴うといった場合は、早めに皮膚科で相談しましょう。
参考文献