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「B型肝炎の症状」はご存知ですか?初期症状や治療における副作用も解説!

 公開日:2026/03/18
「B型肝炎の症状」はご存知ですか?初期症状や治療における副作用も解説!

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染して起こる肝臓の病気です。感染しても症状が出ない場合があり、気付かないまま経過することがあります。一方で、だるさや食欲不振、黄疸などの症状が出ることもあり、まれに重症化して命に関わることもあります。

B型肝炎は、感染して短い期間に起こる急性B型肝炎と、HBVが身体に残って長い期間続く慢性B型肝炎(HBVの持続感染)に分けて考えます。慢性化すると肝臓の炎症が続き、長い年月をかけて肝硬変や肝がんへ進む場合があります。症状がない場合でも、検査と経過観察が大切です。
この記事は、B型肝炎の症状、感染ルート、受診の目安、治療法と副作用を解説します。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

B型肝炎の症状

B型肝炎の症状

B型肝炎に初期症状はありますか?

初期に症状が出る場合はあります。ただし、急性期でも症状が出ない場合があり、慢性B型肝炎でも長い期間、症状がないまま経過する場合があります。
急性B型肝炎では、HBVに感染してから症状が出るまでに潜伏期間があり、おおむね30日から180日とされています。症状が出る場合は、次のような体調変化がみられることがあります。

  • 倦怠感
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 腹痛

その後、尿の色が濃くなる、皮膚や白目が黄色くなるなどの黄疸がみられる場合があります。症状が軽い場合は気付きにくいことがあるため、体調不良が続く場合は早めに医療機関へ相談してください。

B型肝炎の症状の経過を教えてください

症状の経過は、急性か慢性かで考えると整理しやすくなります。

急性B型肝炎では、だるさや食欲不振、吐き気、腹痛などが続き、黄疸が出る場合があります。黄疸が出ない場合もあります。成人の多くは回復し、感染から6ヶ月以内にウイルスが消えるとされています。

ただし、急性肝炎の一部は、肝臓の働きが急に低下して急性肝不全に進む場合があります。次の症状がある場合は、救急外来を含めた早急な受診が必要です。

  • 黄疸
  • 意識低下
  • 出血
  • 水分摂取困難
  • けいれん

慢性B型肝炎は、無症状の期間が長く続く場合があります。だるさや食欲低下などはほかの原因でも起こるため、症状だけで判断することはできません。

炎症が長く続くと肝臓の線維化が進み、肝硬変に至る場合があります。肝硬変が進行すると、腹部が張る、足がむくむ、出血しやすい、意識がぼんやりするなど、肝不全の症状が出る場合があります。

また、免疫抑制薬や抗がん薬などを使う場合は、HBVが再活性化して肝炎が悪化することがあるため、治療前から検査と対策が必要です。

B型肝炎でも症状が現れないことはありますか?

B型肝炎は感染しても自覚症状が乏しい場合があり、本人が気付きにくい病気です。症状がない場合でも、肝臓で炎症が進んでいることがあります。

B型肝炎を見つける基本は血液検査です。厚生労働省は、肝炎ウイルスは自覚症状に乏しく気付きにくいこと、放置すると肝硬変や肝がんなどに進行するおそれがあることを示し、検査受検を促しています。

参照:
『肝炎ウイルス検査について』(厚生労働省)
『B型肝炎』(国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター)
『B型肝炎について(ファクトシート)』(FORTH)

B型肝炎の感染ルートと受診の目安

B型肝炎の感染ルートと受診の目安

日本におけるB型肝炎の患者数を教えてください

B型肝炎は、感染していても症状がない場合があるため、人数の把握はHBVの持続感染者と、肝炎を発症している患者さんに分けて考える必要があります。

厚生労働省は、我が国の肝炎ウイルスのキャリアはB型が少なくとも約110万人、肝炎を発症している患者さんはB型が約19万人と推計しています。推計値であり、調査方法や定義によって変わる点に注意が必要です。

B型肝炎はどのように感染しますか?

HBVは、感染した方の血液や体液が、別の方の血液や粘膜に入ることで感染します。日常生活の通常の接触だけで広がる病気ではなく、感染が起こりやすい場面には特徴があります。主な感染経路としては以下のようなものがあります。

  • 母子感染
  • 性行為
  • 注射器共有
  • 刺青
  • 針刺し

家庭内では、出血を伴う可能性があるカミソリや歯ブラシの共用で感染する可能性があります。けがの手当てで血液に触れる可能性があるときには細心の注意を払いましょう。なお、HBVは汚染された食物や水では広がらないとされており、咳やくしゃみで感染する病気ではありません。

B型肝炎を疑った方がよい状況を教えてください

症状だけでB型肝炎を見分けることはできません。次のような出来事があった場合は、感染の可能性を考えて検査を検討してください。

  • 針刺し
  • 血液曝露
  • 無防備での性交
  • 刺青
  • 同居
  • 妊娠

針刺しや血液曝露があった場合は、早期の対応で感染の成立を防げる場合があるため、できるだけ早く医療機関へ連絡してください。妊娠中は母子感染予防のための仕組みがあり、妊婦健診でHBV検査が行われます。

どのようなときに医療機関を受診すべきですか?

次の症状がある場合や血液曝露があった場合は、医療機関へ相談することをすすめます。急な悪化が疑われる場合は救急受診も検討してください。

  • 黄疸
  • 褐色尿
  • 白色便
  • 倦怠感
  • 嘔吐
  • 血液曝露

受診先は、内科や消化器内科が基本になります。医療機関では、血液検査でHBs抗原、HBV DNA、肝機能の数値などを確認し、急性か慢性か、治療が必要かを判断します。結果に応じて、経過観察、追加検査、治療が検討されます。

参照:
『肝炎ウイルス検査について』(厚生労働省)
『日常生活の場でウイルス肝炎の伝播を防止するためのガイドライン』(厚生労働省)
『B型肝炎ワクチンの定期接種が始まります』(厚生労働省)
『B型肝炎』(国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター)

B型肝炎の治療法と副作用

B型肝炎の治療法と副作用

B型肝炎の治療法を教えてください

治療は、急性B型肝炎か慢性B型肝炎か、肝臓の炎症や線維化の程度、ウイルス量、合併症などを踏まえて決めます。

急性B型肝炎では、特異的な治療薬はなく、症状を和らげながら栄養や水分のバランスを保つことが治療の中心になります。重症化が疑われる場合は入院して治療します。

アルコールは肝臓への負担になるため、医師から許可が出るまでは控えることが基本です。市販薬やサプリメントも肝臓に負担をかける場合があるため、服用前に医師や薬剤師へ確認してください。

慢性B型肝炎では、ウイルスの増殖を抑える薬による治療が行われます。日本肝臓学会の『B型肝炎治療ガイドライン』では、核酸アナログ製剤としてエンテカビル、テノホビル ジソプロキシル、テノホビル アラフェナミドなどが第一選択薬として推奨されています。

また、注射薬のインターフェロンを用いる治療が検討される場合もあります。どの治療が合うかは、年齢、妊娠の可能性、腎機能、骨の状態、治療の目的などによって変わります。

B型肝炎の治療にはどのような副作用がありますか?

副作用は、使う薬によって異なります。副作用の有無だけで治療を避けるのではなく、治療の目的と副作用への対策を一緒に考えることが大切です。

核酸アナログ製剤は内服薬で、長い期間継続する治療になる場合があります。副作用として、次のような症状が報告されています。

  • 頭痛
  • 下痢
  • 発疹
  • 腎機能低下
  • 骨密度低下

薬によって注意点が変わります。テノホビル製剤では腎機能や骨に関する副作用が問題になる場合があり、血液検査などで経過を見ます。エンテカビルなどでも、投与を終えた後に肝炎が悪化するおそれがあるため、医師の判断なしに中断しないことが重要です。

インターフェロン製剤では、次のような副作用が起こる場合があります。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 関節痛
  • 血球減少
  • 抑うつ
  • 甲状腺機能異常

治療中は定期的な診察と検査が欠かせません。呼吸が苦しい、全身に発疹が広がる、強い腹痛がある、意識がはっきりしないなどの症状がある場合は、処方した医療機関へ早めに連絡してください。

B型肝炎は治療すればほかの人にうつすリスクはなくなりますか?

治療でウイルス量が下がると、感染させるリスクは低下します。ただし、治療で感染リスクがなくなるわけではありません。慢性B型肝炎では、治療の中止などをきっかけに肝炎が再燃することがあるため、医師の指示どおりに治療と検査を続けることが大切です。

参照:
『B型肝炎治療ガイドライン(第4版)』(日本肝臓学会)
『免疫抑制や化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン(資料3)』(日本肝臓学会)
『エンテカビル水和物錠 添付文書』(PMDA)
『ベムリディ錠 審議結果報告書』(PMDA)
『日常生活の場でウイルス肝炎の伝播を防止するためのガイドライン』(厚生労働省)

編集部まとめ

編集部まとめ

B型肝炎は、症状が出ないまま進行する場合があり、血液検査で初めて見つかることがあります。だるさや食欲不振だけでは判断できないため、感染の可能性がある場合や肝機能異常を指摘された場合は、早めに検査と医療機関への相談を行ってください。
感染経路は血液や体液が中心で、咳やくしゃみ、食事の共用だけでは広がりません。ワクチンや血液曝露の回避など、根拠のある対策を積み重ねることが重要です。

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