「麻疹の抗体検査」はどこで受けられる?費用や検査の流れも解説!【医師監修】

麻疹(はしか)は、感染力が強く、合併症を引き起こすこともある感染症です。過去にワクチン接種を受けたかどうか、あるいは麻疹にかかったことがあるかを正確に覚えていない方も少なくありません。
抗体検査を受けることで、自身が麻疹に対する免疫を十分に持っているかを客観的に確認できます。
本記事では、麻疹の基礎知識を踏まえたうえで、抗体検査の目的や受けた方がよいシーン、検査の流れや費用の目安などを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
麻疹と抗体検査の基礎知識

麻疹とはどのような病気ですか?
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。発熱や全身の発しんに加え、咳、鼻水、目の充血(結膜充血)などの症状が現れます。
麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染・飛沫感染・接触感染です。免疫を持たない方が感染すると、ほぼ100%発症するとされており、一度発症すると終生免疫を獲得すると考えられています。
感染後は、約10日間の潜伏期間を経て、発熱、咳、鼻水、目の充血など風邪に似た症状が現れます。症状が2~3日続いた後、39度以上の高熱とともに、顔から全身へ広がる発しんが出現します。
麻疹は重症化しやすい感染症で、肺炎や中耳炎のほか、約1,000人に1人の割合で脳炎を発症するとされています。死亡率は、先進国で約1,000人に1人です。
また、頻度は高くありませんが、麻疹ウイルス感染後、数年から十数年を経て亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる重篤な中枢神経疾患を発症することがあります。
麻疹が感染する可能性がある期間は、発症日の1日前から解熱後3日が経過するまでとされており、発症前から感染力を持つ点に注意が必要です。
麻疹の抗体検査とは何ですか?
麻疹の抗体検査は、血液検査によって麻疹ウイルスに対する免疫(抗体)を持っているかどうかを調べる検査です。
過去に麻疹に感染したことがある場合や、麻疹ワクチン(MRワクチンなど)を接種している場合、体内には抗体が作られています。抗体検査を行うことで、麻疹に対する免疫が十分にあるか、感染や重症化のリスクがある状態かを客観的に確認できます。
また、抗体検査は現在感染しているかどうかを調べる検査ではなく、あくまで過去の感染歴やワクチン接種によって免疫が備わっているかを確認する目的の検査です。麻疹の抗体検査の結果はどのようなときに役立ちますか?
麻疹の抗体検査の結果は、ワクチン接種が必要かどうかを判断する材料として役立ちます。
特に、以下のような場合に有用です。
- 過去の麻疹罹患歴やワクチン接種歴が不明な場合
- 集団生活や医療・教育・保育など、感染拡大リスクの高い環境に関わる場合
- 海外渡航や留学、赴任を予定している場合
抗体価が低い、または抗体が確認できない場合はワクチン接種の必要性が高い状態です。
参照:『麻しん』(厚生労働省)
麻疹の抗体検査を受けた方がよいシーン

麻疹の抗体検査は法律で義務付けられていますか?
麻疹の抗体検査は、一般の方に対して法律で一律に義務付けられているものではありません。
ただし、医療機関や教育機関などでは、感染対策の一環として抗体検査やワクチン接種を求められる場合があります。
また、自治体や職種、所属機関の方針によって、抗体検査の実施が推奨されるケースもあります。麻疹の抗体検査を受けた方がよい状況を教えてください
麻疹の抗体検査は、以下のような方が特に受けた方がよいとされています。
- 妊娠を希望している方:妊娠中は生ワクチンを接種できないため、妊娠前に免疫の有無を確認しておくことが重要です
- 妊婦と同居している家族:妊婦本人だけでなく、周囲の方が免疫を持つことで、家庭内感染のリスクを下げることができます
- 医療従事者・学校関係者・保育・福祉関係者:感染リスクが高く、周囲への影響も大きいため、免疫の確認が重要とされています
- 海外渡航や長期滞在を予定している方:国や地域によっては麻疹が流行している場合があり、渡航前に免疫状況を確認しておくことが望まれます
自身が上記に当てはまる場合は、抗体検査を前向きに検討しましょう。
参照:『麻しん』(厚生労働省)
麻疹の抗体検査を受ける方法と検査の流れ

麻疹の抗体検査はどこで受けられますか?
抗体検査の流れを教えてください
麻疹の抗体検査は、医療機関を受診したうえで、血液を採取して行う検査です。
医師による問診で、過去の麻疹罹患歴やワクチン接種歴などを確認します。医師が検査の目的を確認したうえで採血を行い、検体は検査機関で麻疹特異IgG抗体(IgG-EIA法など)を測定します。後日、結果の説明を受け、判定に応じて今後の対応について医師と相談します。自治体の助成制度を利用する場合は、保健所などで制度の案内を受け、指定の医療機関で採血する流れになることもあります。
なお、麻疹が疑われて診断が目的の場合は、免疫の有無をみるIgGとは別に、急性感染の可能性を確認するために麻疹特異IgM抗体を測定することがあります。
麻疹の抗体検査には費用はかかりますか?
麻疹の抗体検査は自費診療です。費用は医療機関によって異なりますが、単独の麻疹抗体検査では数千円程度が目安とされることが多く、診察料や採血料が別途必要になる場合もあります。検査費用や保険適用の有無は医療機関ごとに異なるため、事前に確認しましょう。
検査の結果が基準値以下の場合はどうすればよいですか?
抗体検査の結果、麻疹に対する抗体価が基準値以下と判定された場合は、免疫が十分でない可能性があるため、予防接種(多くは麻疹風しん混合ワクチン:MRワクチン)を検討することが一般的です。
実際の対応は年齢や健康状態、妊娠の有無、職業(医療・教育・保育関係など)によって異なるため、医師に相談することが重要です。
参照:『麻しんの検査(医療機関向け)』(茨城県保健医療部衛生研究所ウイルス部)
編集部まとめ

麻疹は、空気感染を含む複数の経路で感染し、免疫を持たない方が感染すると大変高い確率でに発症するとされる感染症です。重症化や合併症のリスクもあるため、自分が十分な免疫を持っているかを把握しておくことが重要です。
麻疹の抗体検査は、過去の感染歴やワクチン接種歴が不明な場合や、妊娠を希望している方、医療・教育・保育など集団生活に関わる方、海外渡航を予定している方にとって特に有用です。
検査の結果、抗体価が基準値以下と判定された場合には、医師と相談のうえで予防接種を検討しましょう。
麻疹は個人の問題にとどまらず、周囲への感染拡大にもつながる可能性があります。不安がある場合は早めに抗体検査を受け、適切な対応を取ることが、自身と周囲の健康を守ることにつながります。



