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病院と市販の「マイコプラズマ肺炎の検査キット」は何が違うの?【医師監修】

 公開日:2026/01/22
病院と市販の「マイコプラズマ肺炎の検査キット」は何が違うの?【医師監修】

マイコプラズマ肺炎は、子どもや若い方に多く、長引く咳が特徴の感染症です。
近年、インターネット上でマイコプラズマ肺炎の検査キットとして販売されている製品を見かけることがあります。こういった検査キットは病院で行われる検査とどのような違いがあるのでしょうか。

本記事はマイコプラズマ肺炎の検査キットの仕組みや正確性、検査結果のとらえ方や、医療機関で行われる検査との違いを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

マイコプラズマ肺炎の検査キットと使用するタイミング

マイコプラズマ肺炎の検査キットと使用するタイミング

市販のマイコプラズマ肺炎の検査キットは正確ですか?

現在、一般の方が購入できるマイコプラズマ肺炎の検査キットだけで、感染の有無を正確に判断することは難しいといえます。

マイコプラズマ肺炎の検査キットは国内の複数のメーカーから販売されています。ただし、これらは医療機関で診断の補助として用いられる製品であり、ドラッグストアや調剤薬局で一般の方向けに販売されていません。

一方で、インターネット通販でマイコプラズマ肺炎の検査キットをうたう製品が確認できます。本記事ではこういった製品を市販の検査キットとして解説します。市販の検査キットは、医学的な根拠や公的な承認状況が明確に示されていない製品がほとんどです。これらは検査精度が低い可能性があるため、正確な検査ができるとはいえません。

なお、性感染症としてのマイコプラズマの検査キットは市販されていますが、名称が似ているだけで原因となる病原菌が異なるため、マイコプラズマ肺炎の検査には使用できません。

参照:『臨床検査の保険適用について(平成25年8月収載予定)』(厚生労働省)

市販検査キットの仕組みを教えてください

市販されているマイコプラズマ肺炎の検査キットの多くは、イムノクロマトグラフィー法という検査の仕組みを採用しています。これは、妊娠検査薬と同じ原理を用いた方法で、抗原検査の一種です。

抗原検査とは、病原体が持つ特有のタンパク質(抗原)が、粘膜や唾液などの検体中に含まれているかを調べる検査です。現在感染している可能性があるかを短時間で確認できる点が特徴で、PCR検査や抗体検査と比べて迅速に結果が得られます。

ただし、市販のマイコプラズマ肺炎検査キットは、研究用として販売されている製品です。
これは、臨床診断を目的として国に承認された体外診断用医薬品ではなく、研究や調査目的に限って使用される製品であることを意味します。

参照:『市販されている5種類のマイコプラズマ抗原検出キットにおける検出感度試験』(医学検査)

自分でマイコプラズマ肺炎の検査キットを使った方がよいケースはありますか?

現時点で、一般の方が自宅で使用できる、国が認めたマイコプラズマ肺炎の検査キットは存在しません。市販の検査キットはいずれも研究用として販売されており、診断目的での使用は想定されていません。そのため、市販の検査キットを使用した方がよいといえるケースはありません。

咳が長引く、発熱や倦怠感が続くなどマイコプラズマ肺炎が疑われる症状がある場合は、検査キットに頼るのではなく、医療機関を受診しましょう。

医療機関でのマイコプラズマ肺炎の検査方法と診断基準

医療機関でのマイコプラズマ肺炎の検査方法と診断基準

病院でのマイコプラズマ肺炎の検査方法を教えてください

病院で行われるマイコプラズマ肺炎の検査には下記のようなものがあります。

  • LAMP法を用いた遺伝子診断
  • イムノクロマトグラフィー法による抗原診断

LAMP法は、病原体の遺伝子そのものを増やして検出する検査方法です。マイコプラズマ肺炎の原因菌である肺炎マイコプラズマの遺伝子を取り出し、短時間で増殖させて感染の有無を調べます。菌の量が少ない場合でも検出しやすい点が特徴です。

イムノクロマトグラフィー法による抗原診断は、原因菌が持つ抗原を検出する検査方法です。医療機関で使用されるマイコプラズマ肺炎の検査キットもこの検査方法のひとつです。結果が短時間でわかるため、外来診察で迅速に判断する必要がある場合に、診断の補助として用いられます。

参照:『肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針』(日本マイコプラズマ学会)

病院と市販のマイコプラズマ肺炎の検査キットはどのように違いますか?

病院で使用される検査キットと、市販の検査キットでは目的や位置付けが大きく異なります。

医療機関で用いられる検査キットは2013年から医療機関で健康保険を使って行える検査として認められています。これらの製品は、体外診断用医薬品第一類医薬品などと位置づけられ、診断目的で使用できるものとして厚生労働省により承認されています。

一方で、市販の検査キットは感度や特異度といった臨床性能や品質管理について審査が行われていないため、診断目的での使用は認められていません。検査結果の正確性や信頼性が十分に保証されていない点が医療機関で使用される検査キットとの違いです。

参照:『臨床検査の保険適用について(平成25年8月収載予定)』(厚生労働省)

マイコプラズマ肺炎の診断基準を教えてください

マイコプラズマ肺炎は、検査による原因菌の特定に加えて、症状の特徴と医師の診察により診断されます。

まず、医師は診察や症状の経過から、肺炎が典型的な細菌性か、マイコプラズマ肺炎やレジオネラ肺炎などの非定型肺炎かを見極めます。そのうえで、マイコプラズマ肺炎が疑われる場合には、検査を行い原因菌の特定を進めます。

肺炎のタイプを判断する際には、以下のような項目が参考にされ、当てはまる数が多ければ非定型肺炎が疑われます。

  • 60歳未満である
  • 基礎疾患がない、または軽い
  • しつこく続く咳がある
  • 胸部の聴診で異常が少ない
  • 痰が少ない、または、一般的な迅速検査でほかの原因菌が見つからない
  • 血液中の白血球の数があまり増えていない

このように、マイコプラズマ肺炎の診断は、検査結果だけでなく、症状や医師の所見を含めて総合的に行われます。

参照:
『肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針』(日本マイコプラズマ学会)
『成人肺炎診療ガイドライン2024』(日本呼吸器学会)

病院の検査キットで陰性でもマイコプラズマ肺炎を発症している可能性はありますか?

医療機関で行う検査が陰性でも、マイコプラズマ肺炎を発症している可能性はあります。

検査キットによる抗原検査は手軽で迅速に行えますが、感染初期や菌の量が少ない場合には陰性となることがあります。また、マイコプラズマ肺炎の病原菌は喉のより奥に潜む性質があるため、検体の採取状況によっては検出されにくい場合もあります。

そのため、医師は症状の聞き取りや診察を行い、必要によっては複数の検査を組み合わせながらマイコプラズマ肺炎の診断を行います。

参照:『肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針』(日本マイコプラズマ学会)

マイコプラズマ肺炎検査キットで陽性になったときの対処法と治療法

マイコプラズマ肺炎検査キットで陽性になったときの対処法と治療法

未受診で検査キットが陽性になった場合はどうすればよいですか?

市販の検査キットは、検査の精度や信頼性が十分でないこともあり、結果が陽性だとしても正確とはいいきれません。とはいえ、実際にマイコプラズマ肺炎を発症している可能性も否定できません。

周囲でマイコプラズマ肺炎が流行している場合や、気になる症状がある場合は、検査キットの結果に関わらず医療機関を受診し、医師の判断のもとで検査を受けましょう。

病院でマイコプラズマ肺炎と診断された際の治療法を教えてください

マイコプラズマ肺炎と診断された際は、原因菌に有効な抗菌薬による治療が行われます。

マイコプラズマ肺炎の原因菌である肺炎マイコプラズマは一般的な細菌性と構造が異なるため、通常の肺炎で使用される薬が効かないことがあります。治療には下記のような薬が用いられます。

  • マクロライド系抗菌薬
  • テトラサイクリン系抗菌薬
  • キノロン系抗菌薬

これらの薬のなかから、年齢や症状の重さなどを考慮して、医師が患者さんに合った薬を選択します。通常は飲み薬として7日〜10日程度服用します。

症状が重い場合は、入院治療が必要になる場合もあります。入院中は点滴による治療が中心に行われます。

参照:『肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針』(日本マイコプラズマ学会)

編集部まとめ

編集部まとめ
マイコプラズマ肺炎の検査キットは、主に医療機関で診断の補助として使用するために販売されており、一般の方がドラッグストアや薬局で購入できる機会はありません。インターネット通販で見かける検査キットは、研究や調査を目的とした製品です。そのため、自身で検査をしても、その結果を過信しないことをおすすめします。

医療機関では医師が診察と検査を組み合わせて総合的にマイコプラズマ肺炎かどうかを診断します。気になる症状がある場合は、感染の判断を市販の検査キットに頼らずに、早めに医療機関を受診しましょう。

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