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「メニエール病で使用される薬」にはどんな種類がある?副作用や注意点も解説!

 公開日:2026/02/25
「メニエール病で使用される薬」にはどんな種類がある?副作用や注意点も解説!

突然、激しい回転性のめまいに襲われて立っていられなくなったり、耳鳴りや難聴が起こったりすることはありませんか?それはメニエール病の発作かもしれません。メニエール病は、繰り返すめまい発作や難聴や耳鳴りを特徴とする病気です。しかし、これら症状が薬で本当に治るのか不安に感じる方もいらっしゃると思います。そこで、本記事では、なぜメニエール病の治療に薬が必要なのか、その目的と効果、さらに治療薬の種類と役割、薬を使う際の注意点について解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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【経歴】
経歴
2006年3月 慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月 佐野厚生総合病院 初期臨床研修修了
2008年4月 慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月 慶應義塾大学病院 助教として勤務
2018年8月 米国 ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月〜 国立病院機構 栃木医療センター 耳鼻咽喉科医長 (現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会

メニエール病で薬が必要な理由

メニエール病で薬が必要な理由

薬だけでメニエール病を治せますか?

残念ながら、薬だけでメニエール病を根本から治すことはできません。そのため、薬物療法は対症療法が中心で、発作時の症状を和らげたり、発作の頻度を減らしたりするために用いられます。しかし、適切な薬の使用と生活改善によって症状をコントロールし、日常生活への支障を最小限に抑えることは十分可能です。

メニエール病の薬はどのような目的で使われますか?

薬の目的は大きく分けて二つあります。一つはめまい発作の急性期に症状を緩和すること、もう一つは発作の予防と再発防止です。急性期には強いめまいや吐き気を抑える対症療法として薬を使い、できるだけ速やかに苦痛を和らげます。具体的には、吐き気止めや抗めまい薬、精神安定剤などを用いて、激しい回転性めまいや嘔吐を鎮めます。一方、発作が落ち着いた時期には発作予防のための薬を継続的に服用します。利尿薬で内耳の水分量を調節し内リンパ水腫を軽減するほか、血流改善薬やビタミン剤で内耳の機能をサポートし、発作の頻度や程度を減らすことを目指します。

めまい発作のときに薬はすぐ効果がありますか?

ある程度の時間は必要ですが、適切な薬で症状を緩和できます。めまい発作が起こった直後に飲む内服薬は、効果が出るまでに多少時間がかかることがあります。ただし、急性期には点滴など即効性のある投与方法も取られます。例えば、激しいめまいや嘔吐で内服が難しい場合、医療機関では制吐薬に加え炭酸水素ナトリウム注射液や抗不安薬の注射を併用し、血流改善と鎮静を図ります。これらの治療により、多くの場合は激しいめまいは治まります。

メニエール病の治療薬の種類

メニエール病の治療薬の種類

メニエール病の治療で使われる薬の種類を教えてください

メニエール病の薬物療法にはさまざまな種類の薬が使われます。主なものを挙げると以下のとおりです。
  • 浸透圧利尿薬
  • 抗めまい薬
  • 制吐薬(吐き気止め)
  • ステロイド
  • 血行促進薬
  • ビタミンB12製剤
  • 抗不安薬
  • 漢方薬
以上のように、メニエール病では原因に多角的にアプローチするため複数の薬を併用することも少なくありません。患者さん一人ひとりの症状や持病に合わせ、医師が適切な薬物治療の組み合わせを選択します。

めまいを抑える薬(抗めまい薬)はどのように作用しますか?

抗めまい薬は主に内耳や脳の血流改善と、めまいの神経信号を抑制する作用を持ちます。例えばベタヒスチンは内耳の毛細血管を拡張して血流を増やし、内リンパ液の圧を下げることで症状改善に導きます。メニエール病では内耳の水分過剰が原因と考えられるため、血流を増やしてリンパ液の循環を促進することで内耳のむくみを解消します。 一方、ジフェニドールには脳の血流循環の改善作用と人の平衡感覚を司る前庭神経の調節作用があり、めまいの症状を軽減します。抗めまい薬にはこのように内耳の環境を整える作用と神経を調整する作用があり、双方からめまい症状を和らげてくれるのです。なお、これらの薬は症状を軽くする対症療法であり、服用していても発作自体を完全に防ぐことはできません。調子がよいからと自己判断で中断せず、医師の指示どおりに継続することが大切です。

内耳のむくみを改善する薬(利尿薬)の効果を教えてください

利尿薬は内耳のリンパ液量を減らし、内リンパ水腫を改善することで発作を予防します。メニエール病の根本原因には、内耳の内リンパ液の過剰蓄積があります。浸透圧利尿薬であるイソソルビドは、組織内の余分な水分を血中に引き出し尿として排泄させることで体内の水分バランスを調整します。内耳のむくみを縮小させ、圧迫されていた感覚細胞の負担を軽くするため、めまいや耳が詰まる感じ(耳閉感)の改善につながります。

そして、利尿薬の効果が出ると尿量が増えるため、脱水にならないよう水分補給も心がけましょう。また、長期間服用していると身体が水分を保持しようとして抗利尿ホルモンが増加し、薬効が落ちる可能性もあります。定期的に医師と相談しながら、必要最小限の量を維持することが望ましいでしょう。

ストレスや自律神経の乱れに対する薬を使うことはありますか?

はい、症状の背景にストレスや自律神経が関与している場合、抗不安薬などが補助的に使われます。メニエール病はストレスや過労、睡眠不足が発症や再発の誘因となることがあり、精神的なケアも重要です。そのため、必要に応じて抗不安薬を少量処方することもあります。また、慢性的な自律神経の乱れがあると思われる方には、自律神経調整薬として漢方処方が用いられることもあります。もちろん、ストレスそのものを減らす生活工夫も不可欠ですが、薬の力を借りて自律神経のバランスを整えることで発作の誘発を抑える手助けとなる場合があります。ただし、抗不安薬は眠気などの副作用があるため、車の運転などは控える、長期連用は避けるといった注意が必要です。

吐き気止め薬はいつ使うとよいですか?

吐き気が強い発作時に使うと効果的です。メニエール病のめまい発作ではしばしば強い吐き気や嘔吐を伴うため、必要に応じて制吐薬(吐き気止め)を併用します。めまいで嘔吐が続くと脱水や体力消耗にもつながるため、我慢せず早めに吐き気止めを服用する方がよいでしょう。軽い吐き気であれば内服薬などで対応できますが、嘔吐が激しく経口摂取が難しい場合は病院で点滴治療を行うこともあります。

メニエール病で薬を使うときの注意点

メニエール病で薬を使うときの注意点

メニエール病の薬は長期間飲んでも大丈夫ですか?

基本的には医師の指導のもとであれば長期服用も可能ですが、漫然と続けることはおすすめできません。メニエール病は再発しやすい病気のため、ある程度の長期にわたり薬物治療を継続する場合があります。ただし、症状が安定しているのに「心配だから」と薬を漫然と飲み続けることは推奨されません。一方で、長年同じ薬を使っていて特に問題なく安定している場合は、そのまま継続することもあります。重要なのは主治医とよく相談し、定期的に治療方針を見直すことです。勝手な判断で中止すると再発のおそれがある一方、不必要な薬を飲み続けるのも避けたいところです。医師の指示に従いながら、適切な期間と量で薬を利用しましょう。

メニエール病の薬の副作用や注意点を教えてください

使用される薬の種類ごとに副作用や注意点があります。主な薬についての副作用や注意点は下記のとおりです。
薬剤の種類 注意点・副作用
浸透圧利尿薬 ・吐き気、下痢、食欲不振などの消化器症状
・甘味の強いシロップで胃もたれ感が出やすい
・脱水時に服用すると症状悪化の可能性がある
・十分な水分補給が必要
・腎機能低下がある場合は慎重投与
抗めまい薬 ・胃のむかつき、発疹がまれに出現
・抗コリン作用があるため、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大に対しては投与時確認が必要
・眠気が出ることがあり運転は控える
制吐薬 ・眠気が出やすい
・口や喉の渇きが起こることがある
抗不安薬 ・強い眠気、ふらつきが出やすいため、運転は控える
・長期連用で依存のリスクがある
ステロイド ・糖尿病患者さんでは血糖上昇に注意
・長期使用で免疫低下、骨粗鬆症などの可能性がある
漢方薬 ・胃腸不調、下痢が出ることがある
・長期内服では間質性肺炎などに注意する

以上のように、それぞれの薬で注意点は異なります。複数の薬を服用している場合、飲み合わせにも注意しましょう。ほかの病気で治療中の場合は医師に伝え、薬局でも重複や相互作用を確認してもらってください。

メニエール病の薬は妊娠中や授乳中でも服用できますか?

妊娠中あるいは授乳中のメニエール病の薬の使用は、胎児や乳児への影響を考慮し、主治医と慎重に相談する必要があります。

一般的にメニエール病の薬の多くは動物実験で明らかな胎児毒性は報告されていなくても、人での安全性データが十分でないため、必要性がリスクを上回る場合にのみ使用するという扱いです。また、授乳中は薬の移行を考慮し、一時的な授乳中止やミルクへの切り替えを検討します。

実際の臨床では、妊娠中はまず安静にするなどの非薬物療法で対応し、必要最低限の薬を使用します。吐き気には妊婦でも使える坐薬など、安全性を考慮した選択が行われます。授乳中のめまい治療では、医師が安全と判断した薬が処方されることもありますが、自己判断での市販薬の使用はやめましょう。妊娠中・授乳中に症状が出た場合は、必ず産科医や耳鼻科医に相談し、母子双方にとって適切な治療法を選んでもらいましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

 メニエール病はつらい症状を伴いますが、多くの場合は適切な治療でコントロール可能です。発作が起きても慌てずに対処し、症状が改善しないときは早めに耳鼻咽喉科を受診してください。薬物療法と生活管理を組み合わせて、上手にメニエール病と付き合っていきましょう。

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