溶連菌感染症は、主に喉に炎症を起こす細菌感染症で、子どもを中心にみられます。発熱や強い喉の痛みが特徴で、風邪と症状が似ているため、検査を受けるべきか迷う方も少なくありません。また、検査と聞くと、痛みの有無や結果が出るまでの時間、内服中の薬が影響しないかといった点が気になる場合もあります。溶連菌感染症は、検査によって正しく診断し、適切な治療につなげることで、症状の長期化や合併症の発症を防ぐことが期待されます。そのためには、どのような検査が行われ、どのタイミングで受診するのかを知っておくことが大切です。
この記事では、溶連菌感染症の検査方法や診断の流れ、検査を受ける際の注意点や受診の目安を解説します。
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
溶連菌感染症の検査と注意点

溶連菌感染症はどのような検査で診断しますか?
診断は、喉や扁桃の表面を綿棒でぬぐい、溶連菌の有無を調べる検査で行います。外来では迅速抗原検査が用いられることが多く、症状の強さや経過に応じて細菌培養検査が追加される場合もあります。発熱の有無やのどの赤み、年齢、咳や鼻水の出方などを総合的に確認したうえで検査を行います。
溶連菌感染症の迅速検査について教えてください
迅速抗原検査は、採取したぬぐい液から溶連菌に特有の成分を検出する方法です。外来で短時間に実施でき、結果がその日のうちにわかる点が特徴です。特異度が高く、陽性の場合は溶連菌感染症と判断できます。一方で、発症の時期や菌の量によっては、症状が典型的でも陰性となることがあります。
検査結果はどれくらいでわかりますか?
迅速抗原検査は、10分程度で結果が判明します。そのため、一般的には外来受診中に診断と治療方針が決まります。細菌培養検査を行う場合には、菌の増殖を確認する必要があるため、結果が出るまでに数日かかります。
内服薬を飲んでいると検査結果に影響がありますか?
すでに抗菌薬を内服している場合、喉に存在する菌の量が減り、検査で検出されにくくなることがあります。解熱鎮痛薬や咳止めなどは検査結果に大きな影響を与えませんが、受診時は現在内服している薬の内容を医師に伝えることが大切です。
検査前の注意点があれば教えてください
検査前に特別な準備は必要ありませんが、検査直前の飲食やうがいによって、喉の表面の菌量が変わる可能性があります。受診前は無理にうがいをせず、そのまま来院すると検査が行いやすくなります。
子どもが検査を嫌がる場合はどうすればよいですか?
喉のぬぐいは短時間で終わる検査ですが、不安から嫌がる子どももいます。事前にすぐ終わる検査であることを伝え、保護者がそばで声をかけることで落ち着きやすくなります。無理に押さえつけず、医療スタッフと協力しながら進めることで、子どもの負担を減らすことにつながります。
溶連菌感染症の検査を受けたほうがよい症状と受診目安

のどの痛みだけでも検査を受けたほうがよいですか?
のどの痛みだけの症状であっても、溶連菌感染症が疑われる場合には検査を検討します。特に、これまで元気だった方が急に強いのどの痛みを訴える場合や、飲み込む動作で強く痛む状態が続く場合には、溶連菌感染症を考えるきっかけになります。咳や鼻水といった風邪にみられやすい症状が目立たず、発熱や全身のだるさを伴う場合には、溶連菌感染症の可能性がより高くなります。症状の組み合わせによって検査の必要性を判断します。
熱が下がっていても検査は必要ですか?
発熱が一時的に下がっていても、のどの痛みが続いている場合や、症状の経過から溶連菌感染症が疑われる場合には、検査が行われることがあります。解熱鎮痛薬の使用によって一時的に熱が下がっているだけの場合もあり、身体のなかの炎症が完全に落ち着いているとは限りません。そのため、発熱の有無だけで判断することは難しく、のどの状態や全身症状を含めて考える必要があります。最終的には、これまでの経過を踏まえて医師が検査の必要性を判断します。
何日症状が続いたら受診すべきですか?
のどの痛みや発熱が1〜2日続き、改善がみられない場合には、受診を検討しましょう。特に、症状が急に始まり、短い期間のなかでつらさが強くなっている場合は、早めの受診がすすめられます。小児は、食事や水分がとりにくくなっている様子がみられる場合には、症状が出てからの日数に関わらず医療機関へ相談することが大切です。症状が軽くみえても、不安がある場合には無理に様子を見続けず、医師に相談することで安心感につながります。
溶連菌感染症の検査結果別の対応方法

陽性の場合はどのような治療を行いますか?
検査で陽性になった場合は、原因となる細菌に効果のある抗菌薬による治療が行われます。一般的にはペニシリン系の抗菌薬が第一選択となり、年齢やアレルギーの有無に応じて薬剤が選ばれます。内服を開始すると、発熱や喉の痛みは2〜3日程度で和らぐことが多く、全身のつらさも次第に軽くなります。ただし、症状が改善した後も、処方された期間は内服を続けることが重要です。途中で中断すると、菌が残る可能性があり、再発や合併症につながるおそれがあります。抗菌薬の内服は、症状を抑えるだけでなく、周囲への感染拡大を抑える意味合いもあります。
陰性でも症状が強い場合はどうすればよいでしょうか
迅速検査が陰性であっても、症状や喉の所見から溶連菌感染症が疑われることがあります。迅速検査は便利な一方で、発症初期や菌の量が少ない場合には陰性となることがあります。そのため、医師は検査結果だけでなく、発熱の経過、咳や鼻水の有無、喉の赤みや腫れなどを総合的に判断します。症状が強い状態が続く場合には、数日後に再評価を行ったり、細菌培養検査を追加したりすることもあります。症状が悪化する様子がみられる場合には、早めに再受診することが大切です。
再検査が必要なケースを教えてください
再検査は、症状が数日経過しても改善しない場合や、一度落ち着いた後に再び発熱や喉の痛みが出てきた場合に検討します。また、家族や園・学校など周囲で溶連菌感染症が続いている状況では、感染の可能性を再度確認する目的で行われることもあります。検査結果と症状の経過をあわせて確認し、その時点での状態に応じた対応を行うことが、回復を安定させることにつながります。
編集部まとめ

溶連菌感染症は、のどの痛みや発熱をきっかけに発症することが多い感染症で、症状が風邪と似ているため、検査を受けるべきか迷う場面も少なくありません。迅速検査を用いることで、外来でも短時間で診断につなげることができ、必要に応じて治療方針が決まります。検査の方法や結果の意味を知っておくことで、過度な不安を抱かずに受診しやすくなります。
また、のどの痛みが強い場合や、発熱の経過が気になる場合には、症状の組み合わせや続いている期間を目安に医療機関へ相談することが大切です。検査結果だけにとらわれず、症状の経過を踏まえて対応することで、その後の治療や経過を判断しやすくなります。