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「若年性更年期障害」の症状や原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2026/01/10
「若年性更年期障害」の症状や原因はご存知ですか?【医師監修】

20~30代という若い世代の女性でも、更年期障害のような症状に悩む方がいます。顔のほてり(ホットフラッシュ)や多汗、動悸、めまい、不眠といった、更年期にみられる心身の不調が閉経には程遠い年齢で起こる場合、それは若年性更年期障害と呼ばれることがあります。今回は若年性更年期障害とはどのような状態か、似た症状を起こす原因や対処法、受診の目安や治療法を解説します。

森 亘平

監修医師
森 亘平(医師)

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東北大学病院 産婦人科

2019年浜松医科大学医学部医学科卒

 [職歴]
2019年4月〜2021年3月 仙台厚生病院初期臨床研修医
2021年4月〜12月    石巻赤十字病院 産婦人科
2022年1月〜2023年6月  八戸市立中央市民病院 産婦人科
2023年7月〜2024年3月  東北大学病院 産婦人科
2024年4月〜2025年3月  宮城県立こども病院 産科
2025年4月〜      東北大学病院 産婦人科/東北大学大学院医学系研究科博士課程

 [資格]
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
厚生労働省指定 緊急避妊薬の処方にかかるオンライン診療研修 修了 
厚生労働省指定 オンライン診療研修 修了 
JCIMELS ベーシックコース インストラクター

 [所属学会]
・日本産科婦人科学会
・日本周産期・新生児学会
・日本超音波学会
・日本人類遺伝学会
・日本産科婦人科遺伝診療学会
・日本DOHaD学会
・日本医療安全学会

若年性更年期障害とは

若年性更年期障害とは

若年性更年期障害とはどのような状態ですか?

若年性更年期障害とは、本来は閉経前後の中高年期に起こる更年期障害のような症状が、10代後半~20代、30代といった若い年代に現れている状態を指します。

更年期障害では、のぼせやほてり、発汗、動悸、めまい、頭痛、不眠、イライラなどさまざまな症状がみられます。こうした更年期特有の不調が、閉経にはまだ早すぎる若年層で起こる場合に、若年性更年期障害と表現されることがあります。しかし、これは医学的な正式名称ではなく、あくまで症状の状態を指す通俗的な名称です。

一般に更年期は閉経の前後5年ずつ、合計10年間ほどの期間を指し、日本人女性の場合は平均的に45~55歳前後が該当します。この時期に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで生じるさまざまな不調が更年期障害です。

一方、20~30代という更年期には該当しない若さで同様の症状が出ても、卵巣機能の低下によるものではないことがほとんどです。

若年性更年期障害は正式な病名ですか?

いいえ、若年性更年期障害という正式な病名はありません。医学的には定義のない造語であり、診断名として用いられることもない用語です。あくまで「若いのに更年期のような症状がある状態」をわかりやすく表現した呼び方に過ぎず、医師の診断書などに記載される疾患名ではありません。

なぜ若年性更年期障害という名称が生まれたのですか?

更年期障害という言葉自体が広く知られているため、若い世代で起こる更年期様症状に対して便宜的に生まれた造語と考えられます。メディアなどでも取り上げられる機会が増え、一般的になってきた背景があります。

かつては更年期障害そのものが理解されにくい面もありましたが、最近では若年層の更年期様の不調にも注目が集まり、この名称が浸透しつつあるといえるでしょう。ただし、繰り返しになりますが、医学的には更年期障害とは病態が異なるため、若年性更年期障害は正式な疾患名ではありません。

若年性更年期障害と呼ばれる症状の原因と対処法

若年性更年期障害と呼ばれる症状の原因と対処法

若年性更年期障害と呼ばれる症状の原因を教えてください

若い世代に更年期障害のような症状が現れる背景には、ホルモンバランスの乱れを招く日常生活上の要因が大きく関与しています。具体的には、過度なストレスや極端なダイエット、生活リズムの乱れなどが代表的な原因です。

30代前半までの女性であれば、本来は卵巣機能が衰える年齢ではありません。それにも関わらず更年期障害に似た不調が出る場合、多くは卵巣そのものの問題ではなく、ストレス過多や無理な減量による急激な体重変動などでホルモン分泌のバランスが崩れていると考えられます。

また、月経前にのみ症状が出る場合は、月経前症候群(PMS)が原因である可能性もあります。PMSでは生理開始とともに症状が軽くなる点が更年期障害様の不調との違いを見分けるポイントです。そのほか、自律神経失調症やうつ病、甲状腺機能の異常(甲状腺機能亢進症など)、重度の貧血といったほかの疾患が隠れていて、更年期に似た症状を引き起こすこともあります。

まれに40歳未満で卵巣機能が低下して閉経状態になる早発閉経(早発卵巣不全)の場合や、卵巣を手術で摘出した場合などは、実際に女性ホルモンが減少するため更年期障害と同じ症状が起こりえます。

このように原因は一つではなく、閉経とは無関係のケースが多いものの、まれに本当の更年期障害と同様のホルモン変化が起きている場合もあります。

病気ではないのに更年期障害のような状態があるときの対処法を教えてください

検査をして特に深刻な病気がみつからない場合でも、更年期様の不調をそのまま放置してはいけません。まずは生活習慣の見直しによってホルモンバランスの安定化を図ることが重要です。

具体的には、十分な睡眠を確保し、栄養バランスのよい食事、適度な運動習慣を心がけましょう。喫煙や過度の飲酒もホルモン分泌に悪影響を及ぼすため控えてください。

ストレスを溜めない工夫も大切です。仕事や人間関係など現代社会ではストレスゼロは難しいですが、好きな音楽を聴く、リラックスできる入浴や軽い運動をするなど、自分なりの方法でストレス解消に努めることが症状改善に役立ちます。

それでも症状が続く場合は無理せず早めに医療機関を受診しましょう。病気が隠れていないか確認するとともに、医師の指導のもとで漢方薬などによる体質改善や必要な治療を受けることができます。軽い不調の段階で対処するほど改善も早く、日常生活への支障を最小限にできます。

若年性更年期障害で受診をする目安と病院での治療法

若年性更年期障害で受診をする目安と病院での治療法

更年期ではないのに更年期のような症状があるときは何科を受診すべきですか?

まずは婦人科(産婦人科)を受診しましょう。婦人科では月経やホルモンの状況を踏まえた診療が受けられます。

症状によっては心療内科や精神科でのケアが有効なケースもありますが、まずは女性ホルモンに関わる科である婦人科で相談するのが一般的です。なお、「更年期障害かも?」と思った若い方でも決して受診をためらう必要はありません。月経不順や原因不明の体調不良が続く場合は、将来の健康のためにも早めに医師に相談しましょう。

病院を受診した際の診察や検査の内容を教えてください

婦人科を受診した場合、まず医師による問診が行われます。月経周期や月経の状況、日常生活でのストレスの有無、睡眠習慣、食生活などについて詳しく聞かれるでしょう。これらの情報から若年性更年期障害と呼ばれる症状の背景要因を探っていきます。

次に、必要に応じて血液検査を実施します。血中の女性ホルモン値(エストロゲンや黄体刺激ホルモンFSHなど)を測定し、卵巣機能の低下が起きていないか確認します。

さらに、医師が必要と判断した場合は超音波検査(エコー検査)で子宮や卵巣の状態を調べることもあります。卵巣に異常がないか、子宮に病気が潜んでいないかを確認し、ほかの疾患の可能性を除外します。

そのほか、症状に応じて甲状腺機能検査や貧血検査など、別の原因を探るための検査が行われることもあります。このように総合的にみて、閉経時期ではないのに更年期障害様の症状が出ている原因を検索します。

病院では若年性更年期障害と呼ばれる症状に対してどのような治療を行いますか?

検査の結果、例えば甲状腺疾患や貧血などほかの病気がみつかった場合はその治療を優先します。特に異常がなくホルモンバランスの乱れによる症状と考えられる場合は、以下のような対症療法やホルモン療法が検討されます。

  • 生活指導・生活改善
  • 漢方薬の処方
  • ホルモン補充療法
  • 低用量ピルの処方
  • 症状に対する対症療法

このように、若年性更年期障害と呼ばれる状態では患者さん一人ひとりの原因と症状に合わせた治療が行われます。いずれの場合も、医師の指導のもと無理のない範囲で治療と生活改善を並行しながら進めていくことが大切です。

治療期間中に注意すること、気を付けることを教えてください

治療中も基本は生活習慣の改善を継続することです。薬を飲んでいるからといって安心せず、引き続き規則正しい生活リズムとバランスのよい食事、十分な睡眠を心がけましょう。また、治療中でもストレスケアは重要です。ストレスが溜まると症状がぶり返すことがあるため、自分なりのリラックス方法で適度に発散しましょう。

医師から処方された薬は指示どおりに正しく服用し、勝手に中断しないようにします。漢方薬やホルモン剤は効果が出るまでに時間がかかる場合もありますので、焦らずに続けることが大切です。定期的な通院も怠らず、副作用や症状の変化があればその都度医師に報告してください。

また、治療期間中は喫煙や過度の飲酒を控えるなど、症状悪化のリスクとなる習慣にも注意が必要です。これらはせっかくの治療効果を妨げるおそれがあるため、可能な限り避けましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

若年性更年期障害は正式な病名ではありませんが、若い世代で更年期障害に似た不調が現れる状態を指します。原因の多くは卵巣機能の異常ではなく、ストレスや生活習慣の乱れによるホルモンバランスの一時的な不調です。生活を整えることで自然に改善するケースも多く、早期対応が重要です。
一方、「若いから関係ない」と見過ごすのは危険です。月経不順やホットフラッシュなどが続く場合、隠れた疾患の可能性や、長期間のエストロゲン低下による将来の骨粗しょう症リスクも考えられます。少しでも異変を感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。
日頃から規則正しい生活を心がけ、ストレスケアや睡眠の質を意識することで予防にもつながります。自分の体調に敏感になり、無理をしない生活習慣を整えることが、今も将来も健やかに過ごすための第一歩です。

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