「一酸化炭素中毒」を発症するとどんな「治療」を行う?【医師監修】

一酸化炭素中毒は、火災や不完全燃焼によって発生する一酸化炭素を吸い込むことで起こる中毒症状です。早期に適切な対応を行わないと、重篤な意識障害や後遺症を残すおそれがあります。本記事は、一酸化炭素中毒が疑われる場合の応急処置の方法から、医療機関で行われる酸素療法や高圧酸素治療まで、治療の流れを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
一酸化炭素中毒の危険性と症状

一酸化炭素中毒とは何ですか?
参照:
『一酸化炭素中毒(CO中毒)[安全衛生キーワード]』(厚生労働省)
『一酸化炭素中毒 (いっさんかたんそちゅうどく)とは』(済生会)
一酸化炭素中毒が危険な理由を教えてください
その結合力は酸素の200倍以上もあり、酸素をほとんど運べなくなることで、脳や心臓など酸素を多く必要とする重要な臓器が短時間で損傷を受けます。また、一酸化炭素は無色・無臭で自覚しづらく、気付かぬうちに吸い込んでしまうことが少なくないのも大きな危険性です。
参照:『飲食店や食品工場などでの一酸化炭素中毒事故にご注意ください』(松山市)
一酸化炭素中毒になるとどのような症状が現れますか?
進行すると眠気や集中力の低下、判断力の鈍化、嘔吐、ふらつき、視力障害、手足のしびれなどがみられます。さらに重症になると、判断力の著しい低下、錯乱(さくらん)、痙攣(けいれん)、意識障害や昏睡(こんすい)、呼吸困難が現れ、心停止や呼吸停止などの生命の危険に至ります。
特に高濃度の一酸化炭素を急速に吸い込んだ場合には、自覚症状が現れる前に意識を失ってしまうこともあり危険です。以上のように一酸化炭素中毒の症状は重症度によって多彩です。
参照:『飲食店や食品工場などでの一酸化炭素中毒事故にご注意ください』(松山市)
一酸化炭素中毒の応急処置と病院での治療

一酸化炭素中毒が疑われるときにやるべきことを教えてください
参照:『一酸化炭素中毒になったときの応急手当 』(新潟県佐渡市公式ホームページ)
一酸化炭素中毒は病院でどのように治療をしますか?
これによって体内の一酸化炭素濃度を早めに減少させることができます。症状が軽度で意識が清明であれば、数時間程度の酸素吸入のみで回復する場合が少なくありません。CO-Hb(Carboxyhemoglobin(カルボキシヘモグロビン))濃度が20%を超えるときは、必要に応じて高気圧酸素療法(Hyperbaric Oxygen Therapy:HBO)を併用することがあります。また、脱水や低体温を防ぎ安静と保温を心がけます。
参照:『救命救急センターだより「一酸化炭素中毒」 』(水戸済生会総合病院 採用サイト)
重症の一酸化炭素中毒の治療法を教えてください
さらに、脳障害や後遺症の予防のためにHBOが積極的に検討されます。これは特殊な加圧装置のなかで100%酸素を吸入する治療で、一酸化炭素の排泄を大幅に促進します。重症患者さんや遅発性脳症状のリスクが高い場合に行われます。
一酸化炭素中毒|回復後の注意点

一酸化炭素中毒は治療が完了したら通院する必要はありませんか?
一酸化炭素中毒の治療後はどのような症状に注意すべきですか?
参照:『一酸化炭素中毒 (いっさんかたんそちゅうどく)とは』(済生会)
一酸化炭素中毒の治療後に生活上で気を付けることを教えてください
歩行障害やふらつきがある方は転倒予防のため手すりや歩行補助具の利用、室内の整理整頓が大切です。また、定期的な通院や医師の指示に従うことで、後遺症の早期発見などにつながります。家族や周囲と情報を共有し、日常生活の介護支援も大切です。
一酸化炭素中毒の再発を防ぐための安全対策はありますか?
屋内で不完全燃焼を起こしやすい器具は使用を避けるか、使用のときには窓や換気扇で十分な空気の流れを確保します。また、定期的にガス機器や換気設備の点検・清掃を行い、異常がないか確認します。
さらに、一酸化炭素警報器の設置も有効であり、もし警報が鳴った場合はすぐに器具の使用を中止し換気します。日常の注意と設備の管理が再発防止につながります。
参照:『住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!』(東京消防庁)
編集部まとめ

一酸化炭素中毒は、日常生活のなかでも不完全燃焼や換気不足などにより発生する危険性があるため、適切な応急処置と治療、そして回復後の注意がとても大切です。万一中毒が疑われる場合は、ただちに新鮮な空気のある場所へ移動し、必要に応じて119番通報を行います。病院では酸素投与やHBOなどの治療が行われます。症状や重症度に応じた医療管理が大切です。症状が治まった後も、記憶障害や集中力低下など遅発性の症状が現れることがあり、回復後の経過観察や定期的な通院が必要です。再発防止のためには、日頃から火気やガス機器の使用のときに十分な換気や器具点検を行い、家庭や職場で一酸化炭素警報器の設置を心がけましょう。
参考文献




