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「白内障」を発症しやすい「年齢層」はご存知ですか?白内障の見え方も解説!

 公開日:2025/11/25
「白内障」を発症しやすい「年齢層」はご存知ですか?白内障の見え方も解説!

白いかすみがかったように視界がぼやけたり、明るい場所でまぶしく感じたりすることはありませんか?もしかすると、それは白内障の症状かもしれません。白内障は主に加齢によって目の中のレンズである水晶体が濁り、視力が低下する病気です。初期は自覚症状がほとんどないため「年のせいかな」と放置しがちですが、進行すると視界がかすんで生活に支障をきたすようになります。本記事では白内障の基礎知識や特徴的な症状、発症しやすい年代と割合、早期発見のチェック方法や治療法を解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

白内障の基礎知識

白内障の基礎知識

白内障とはどのような病気ですか?

白内障とは、目の中にある透明なレンズ(水晶体)が白く濁ってしまう病気です。水晶体はカメラのレンズのように光を屈折させピントを合わせる働きをしていますが、加齢によりタンパク質が変性して少しずつ白濁し、光を通しづらくなってきます。その結果、ピント調整がうまくいかなくなり視界がぼやけたり、光が乱反射してまぶしく感じたりといった視力障害が生じます。白内障のほとんどが加齢に伴う老人性白内障ですが、原因によっては若い方にも起こりうる病気です。

白内障でみられる特徴的な見え方を教えてください

白内障の初期であれば、見えにくさなどを感じないこともあります。しかし、徐々に白内障が進行すると、次のような見え方の変化が現れます。

  • 視界が白くかすむ・ぼやける
  • 光がまぶしく感じる
  • 物が二重三重に見える
  • 眼鏡が合わなくなる

こうした症状は徐々に進行するため本人が気付きにくいことがあります。もし「最近急に見えづらい」「明るい場所でまぶしくて見えにくい」といった変化に思い当たる場合は白内障の可能性もあるため、眼科を受診するとよいでしょう。

なぜ白内障になるのですか?

白内障の主な原因は加齢です。年齢を重ねるにつれて水晶体のタンパク質が変質しやすくなり、誰でも白内障になるリスクが高まります。また、長年にわたる紫外線の蓄積も一因となり、強い日差しを浴び続けると水晶体にダメージが蓄積し白内障が進行しやすくなります。そのほかには、糖尿病ステロイド薬の長期使用によって、若くして白内障になることがあります。そのため、喘息や自己免疫疾患でステロイドを常用している方は注意が必要です。さらに、目のケガ(外傷)が引き金となったり、遺伝的な病気のために若い頃から白内障を発症する例もあります。

白内障になりやすい人の特徴や年齢とは

白内障になりやすい人の特徴や年齢とは

白内障になりやすい人の特徴を教えてください

白内障は基本的に誰もが加齢とともに発症しますが、特に以下のような特徴を持つ方は若いうちから白内障になるリスクが高い傾向があります。

  • 高齢の方
  • 紫外線を多く浴びている
  • 糖尿病がある
  • 喫煙習慣がある
  • ステロイドを長期間使用している
  • 目の外傷・目の手術歴がある
  • 血縁者に若くして白内障になった方がいる

以上のような要因を複数持つ方は、そうでない方に比べて早期に白内障を発症するリスクが高まります。上記のリスクが複数あり、白内障の症状に心当たりがある場合は定期的に眼科検診を受け、早めの対策を心がけましょう。

白内障を発症しやすいのはどの年代ですか?

白内障の発症は中高年以降に増えます。一般に症状が出始めるのは60歳代からで、この頃になると「視力が落ちた」「まぶしくて見づらい」と感じて眼科を受診し、白内障と診断されることが増えます。70歳代にもなると多くの方が白内障の症状を自覚するようになり、見えづらさから手術を検討する方も増えます。

早い方では40~50代から水晶体の濁りが始まりますが、初期のうちは進行がゆっくりで自覚症状も少ないため気付かないことがほとんどです。20~30代での白内障発症はまれですが、前述のようなリスク因子がある場合には白内障の症状を感じることがあります。

白内障になる人の割合を教えてください

白内障はありふれた疾患で、加齢に伴いその有病率は急激に上昇します。日本での報告によれば、50歳代で約4割、60歳代で約7割、70歳代では9割以上の方に水晶体の濁りがみられるとされています。さらに、80歳以上になるとほぼ全員に白内障があるとされています。日本は高齢化が進んでいますので、長生きすれば白内障になる方は自然と増えていきます。珍しい病気ではないからこそ、「年だから仕方ない」と放置せず早めに対応することが大切です。

参照:『白内障手術について』(公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会)

白内障のチェックリストと治療法

白内障のチェックリストと治療法

白内障かどうかを自分で確かめることはできますか?

自分で白内障と断定することは難しいですが、セルフチェックによって白内障の兆候に気付くことは可能です。インターネット上に白内障のセルフチェックリストが公開されています。例えば、以下のような項目に当てはまるものが多い場合、白内障の可能性が高いと考えられます。

  • 年齢が50歳以上である
  • 最近、以前よりも目が見えにくくなったと感じる
  • 晴天時や明るい場所で必要以上にまぶしさを感じる
  • 天気や明るさによって見え方に差がある(夜や薄暗い所で見えにくい)
  • 片目で見たときに物が二重(三重)にダブって見える
  • 新しく作った眼鏡がすぐ合わなくなった、または老眼鏡をかけない方が近くを見やすい
  • 細かい字を読むと極端に目が疲れる
  • 糖尿病を指摘されている、または長年ステロイド薬を使用している

以上のような症状と状況に心当たりがある場合は、白内障を発症している可能性があります。初期の白内障は自覚しにくいとはいえ、複数のチェック項目に該当するようなら一度眼科で検査を受けてみることをおすすめします。

病院で行われる白内障の検査の内容を教えてください

見えにくさなどの自覚症状があれば、眼科を受診していただきます。眼科では白内障かどうか、進行度はどの程度かを調べるために以下のような検査を行います。

  • 屈折検査
  • 眼圧検査
  • 細隙灯顕微鏡検査
  • 眼底検査
  • 光干渉断層計(OCT)

これらの検査結果に基づいて、医師が「白内障があるか」「ある場合どの程度進んでいるか」を総合的に診断します。また、検査前の制限は特にありませんが、眼底検査では瞳孔を開く点眼薬を使うため、検査する日は車などの運転はできなくなります。気になる症状があれば公共交通機関を使い、眼科を受診して検査を行いましょう。

白内障は病院での治療で治りますか?

はい、白内障は病院での治療によって改善が可能です。軽度のうちは点眼薬で進行を遅らせることが期待できますが、根本的に治すには白内障手術による治療が必要です。手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。現在の白内障手術ではさまざまな種類の眼内レンズのなかから選択でき、視力の回復はもちろん、見え方を個別に調整することが可能です。進行の程度や全身の健康状態によって適切な治療法が異なるため、まずは眼科で検査と相談を受けることが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる、大変身近な目の病気です。初期は自覚症状が少ないため、年のせいと見過ごされがちです。しかし、白内障をそのまま放置すると進行し、視力の低下や生活への支障が大きくなります。早期に発見できれば、進行を抑えたり、適切なタイミングで手術を受けることで良好な視力を取り戻すことが可能です。「最近見えにくい」「まぶしさを強く感じる」といった変化を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。定期的な検診で目の健康状態を把握し、症状を放置せず適切な治療を受けることが、いつまでも快適な視生活を送るための第一歩です。

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