「痛風の人が食べてはいけないもの」はご存知ですか?おすすめの食べ物や飲み物も解説!

痛風は、血液中の尿酸が増えすぎて結晶となり、関節に炎症を起こす病気です。代表的な症状は関節の強い痛みや腫れで、足の親指の付け根に出やすいとされますが、膝や足首などほかの関節に及ぶこともあります。発作は数日から1週間ほど続き、その間は歩行や睡眠に影響するため、生活の質が大きく低下します。症状が治まっても高尿酸血症を放置すると再発を繰り返し、慢性の関節障害や腎臓のトラブル、尿路結石を引き起こすことがあります。そのため薬による治療とともに、食事や飲み物の工夫、日常生活の見直しが発作予防の大切なポイントです。
この記事では、痛風の方が避けたい食品や飲料、積極的に取り入れたい食事や飲み物、さらに食事以外で気を付けたい生活習慣について整理して解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
痛風の人が食べてはいけないものの一覧表

痛風の人が食べてはいけないものを教えてください
- レバー
- 白子
- 魚卵
- 干物
- カツオやイワシなどの青魚
レバーや白子、魚卵、干物、カツオやイワシなどの青魚はプリン体が多く、繰り返し食べると尿酸値の上昇につながります。さらに、加工食品や一部の健康食品・サプリメントにも予想以上にプリン体が含まれている場合があり、成分表示を確認せずに摂取すると知らないうちに過剰になることもあります。完全に禁止する必要はありませんが、量や頻度を調整し、食事全体のバランスを意識することが再発予防につながります。
痛風の人が避けた方がよい調理法を教えてください
また、揚げ物や炒め物のように油を大量に使う料理は高カロリーになりやすく、肥満を通じて尿酸値を上げやすくします。味付けが濃い料理も、ついご飯やお酒が進みやすくなるため、結果的に摂取エネルギーやアルコール量が増えてしまう点で避けたい調理法です。プリン体の含有量だけでなく、調理によるエネルギー過多や食欲増進効果も考慮して、控えめにすることが大切です。
参照:『湯煎および電子レンジ加熱調理による食品中のプリン体含量の変動』(痛風と核酸代謝)
痛風の人が飲まない方がよいものはありますか?
- アルコール飲料全般
- 果糖を多く含む炭酸飲料やジュース
アルコール飲料は尿酸の排泄を妨げるため、できるだけ控えることが推奨されています。特にビールや日本酒はプリン体が多く、日常的に飲む習慣は発作を繰り返すリスクを高めます。ワインや焼酎などはプリン体が少ないといわれていますが、アルコールそのものが尿酸値に悪影響を及ぼすため、飲みすぎに注意しましょう。
また、果糖を多く含む炭酸飲料やジュースは清涼感から飲みすぎてしまいがちですが、尿酸値を上げやすいため飲み過ぎないように控えることが大切です。
参照:『食品・飲料中のプリン体含有量』(公益財団法人痛風・尿酸財団)
痛風の人が積極的に摂りたい食べ物や飲み物の一覧表

痛風の人におすすめの食べ物を教えてください
| おすすめの食べ物 | 期待される作用 |
|---|---|
| 牛乳やヨーグルトなどの乳製品 | 尿酸値を下げる可能性がある |
| 柑橘類やいちご、キウイなど | 尿酸の排泄を促しやすい |
牛乳やヨーグルトなどの乳製品には、尿酸値を下げる作用があることが国内外の研究で示されています。特に低脂肪・無脂肪タイプは日常に取り入れやすく、ガイドラインでも推奨されています。また、野菜や果物も欠かせません。ビタミンCを多く含む柑橘類やイチゴ、キウイ、ブロッコリーなどは尿酸の排泄を促しやすいとされます。
参照:
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(日本痛風・核酸代謝学会)
『2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout』(American College of Rheumatology)
『血清尿酸値の低下作用が示唆される食材 および食材に含まれる物質の作用機序』(痛風と尿酸・核酸)
痛風の人に推奨される飲み物はありますか?
| 推奨される飲み物と摂取量 | 期待される作用 |
|---|---|
| 水やお茶(1日2リットル) | 尿酸の体外排出を促す |
| コーヒー(1日4杯以上) | 痛風発症のリスクが下がる可能性がある |
| 赤ワイン(適量) | 尿酸値の上昇抑制および痛風の発症抑制 |
水やお茶をこまめに飲むことで尿量が増え、尿酸が体外に排出されやすくなります。1日2リットル前後を目安に、朝起きたときや食事中、運動後など、タイミングを分けて摂取するのが効果的です。特に夏場や汗をかきやすい状況では意識的に水分を補うことが欠かせません。
また、コーヒーを1日4杯以上飲む習慣がある方では血清尿酸値が低めに保たれ、痛風発症のリスクが下がる可能性が報告されています。さらに、赤ワインについても、適量であれば尿酸値の上昇を抑えるだけでなく、発症抑制に効果が期待されるとされています。
参照:『痛風・高尿酸血症の病態と治療』(日本内科学会雑誌)
痛風の予防や抑制に効果がある調理法を教えてください
また、油を多く使った揚げ物はエネルギー過多になりやすく、肥満を通じて痛風のリスクを高めます。衣に油を含みやすい天ぷらやフライなどは控えめにし、揚げ物を食べる場合でも頻度を減らしましょう。加えて、塩分の多い味付けは腎臓の負担を強め、尿酸の排泄を妨げる可能性があるため、濃い味付けは避けるよう心がけるとよいでしょう。
痛風の人が食事療法以外で気を付けたいこと

痛風とタバコは関係ありますか?
喫煙は血管や腎臓の働きを悪くし、動脈硬化や心血管病のリスクを高めるため、痛風を持つ方にとっては合併症のリスクが増える大きな要因です。そのため、尿酸値への直接的な影響が明確でなくても、身体の健康を考えれば禁煙が望ましいといえます。
参照:『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(日本痛風・核酸代謝学会)
痛風と肥満の関係を教えてください
痛風の人は定期的に運動をした方がよいですか?
ただし、短距離走や重いウエイトを使った筋トレといった無酸素運動は、乳酸の蓄積や一時的な尿酸値の上昇を招き、発作を誘発することがあります。そのため、強度が高すぎる運動は控え、無理のない範囲で継続できるものを選ぶことが大切です。
編集部まとめ

痛風の食事療法は食べてはいけないものを減らすだけでなく、摂った方がよいものを取り入れることも大切です。プリン体やアルコールの摂取を抑えながら、乳製品やビタミンCを含む野菜・果物、水分をしっかり取り入れることで尿酸を安定させることができます。
また、完全に禁止するのではなく量や頻度を調整しながら続けることが現実的であり、長期的な再発予防に結びつきます。さらに肥満の改善、軽い運動、禁煙など生活習慣全体を見直すことで、痛風の発作を抑えるだけでなく腎障害や尿路結石などの合併症を防ぐことにもつながります。薬物治療とあわせて、生活習慣を整えることが痛風と上手に付き合うために大切です。
参考文献




