「胃腸炎」の際におすすめの「食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

突然の吐き気や下痢、腹痛に襲われる胃腸炎は、誰にとってもつらく、不安なものです。ご自身が罹患した場合だけでなく、ご家族、特に小さなお子さんやご高齢の方がかかった際には、どのように対処すればよいか戸惑うことも多いでしょう。
本記事では胃腸炎の基本的な知識から、ご家庭でできる具体的な対処法、そして感染を広げないための予防策まで解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
胃腸炎の概要

胃腸炎の主な症状を教えてください
なぜ胃腸炎になるのですか?
感染経路は大きく二通りあり、人から人へうつる場合(感染者の便や嘔吐物に触れた手を介した二次感染や飛沫を吸い込むなど)と、食べ物や水を通じてうつる場合があります。
例えばノロウイルスでは、調理する方がウイルスに感染していて食品を汚染してしまったり、十分に加熱されていない二枚貝(牡蠣など)を食べたりして感染することがあります。
なお、まれに細菌以外の原因(寄生虫感染や、特定の薬剤やアルコールの大量摂取など)で胃腸炎症状が起こることもありますが、一般的にはウイルス性か細菌性の感染症が原因となる場合がほとんどです。
胃腸炎の治療法を教えてください
一方、細菌性胃腸炎の場合は原因菌に応じて抗菌薬が使われることもあります。ただし症状が軽い場合はウイルス性の場合と同様に水分補給と安静で改善することが多く、すべての細菌性胃腸炎で抗菌薬が必要になるわけではありません。いずれにせよ、胃腸炎では十分な水分、塩分補給と胃腸を休めることが大切です。
胃腸炎におすすめの食べ物や飲み物と調理法

胃腸炎で下痢がひどいときに推奨される食べ物を教えてください
野菜類も、生野菜や繊維の多いものは避け、人参や大根、カブ、ほうれん草などのやわらかく煮た野菜をスープに入れて食べるとよいでしょう。果物では、バナナやすりおろしたリンゴは食物繊維が少なく消化に優しく、下痢のときにも適しています。また、ヨーグルトなどの発酵乳製品は胃腸への負担が少ない低脂肪のものを適量であれば摂取可能です。
胃腸炎で吐き気や嘔吐が辛いときは何を食べるとよいですか?
吐き気が強い間は、水分ですら飲めないこともあります。その場合は、数十分~数時間ほど間隔をあけて嘔吐がおさまってから、スプーン1杯程度の経口補水液や水をゆっくり飲んでみましょう。冷たい飲み物は胃を刺激して吐き気を誘発しやすいので、飲み物は常温に戻しておくのがよいでしょう。吐き気が落ち着いて半日~1日経ち、少しお腹が空いてきた段階で、前述のお粥や煮込みうどん、野菜スープなどの消化によい食事を少量から始めてみましょう。
胃腸炎の際はどのような調理法がよいですか?
胃腸炎になったときはどのような飲み物を飲めばよいですか?
市販の経口補水液を用意できるとよいのですが、ない場合はスポーツドリンクでもある程度の糖分、塩分補給が可能です。
ただしスポーツドリンクは糖分が多いため、大量に飲むとむし歯のリスクが指摘されています。そのほか、塩分が少し入った味噌汁の上澄みや薄いスープ、白湯、麦茶なども適した飲み物です。特に温かい汁物は身体を冷やさずミネラルも補給できるのでよいでしょう。
参照:『イオン飲料とむし歯に関する考え方』(日本小児歯科学会)
嘔吐や下痢が激しく、食べられないときの対処法を教えてください
胃腸炎のときは避けたい飲食物や調理法

胃腸炎の際に避けた方がよい食べ物を教えてください
- 脂肪分の多い食品
- 不溶性の食物繊維が多い食品(海藻、キノコ、ゴボウなど)
- 刺激の強いもの
- 乳製品・甘いもの
以上のように、胃腸炎の際は脂っこいものや繊維質なもの、刺激物や冷たいものは避け、前述した消化によい食事だけを摂るのが適切です。冷たい食品、飲料は腸の動きを活発にして下痢を助長しますので、アイスや氷菓、キンキンに冷えた飲み物なども避け、飲食はなるべく常温〜温かいものにしましょう。
胃腸炎になったときに飲まない方がよい飲み物はありますか?
また、コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどカフェイン入りの飲み物も、利尿作用によって脱水を進め、胃腸を刺激するため不適です。炭酸飲料(炭酸ガス入りジュースや炭酸水)は、胃腸を膨らませて刺激し吐き気を助長する可能性があるためおすすめできません。牛乳や乳製品系の飲み物(飲むヨーグルトなど)も、消化に時間がかかり下痢を悪化させることがあるため胃腸炎の急性期には避けたほうがよいでしょう。
胃腸炎の療養中に向いていない調理法を教えてください
編集部まとめ

胃腸炎の際は胃腸をしっかり休めつつ水分・栄養補給を行ってください。症状が長引く場合や水分すら摂れないような重症時は早めに受診し、医師の指示に従いましょう。



