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「低血圧」になるとどのような「症状」が現れる?改善方法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/09/06
「低血圧」になるとどのような「症状」が現れる?改善方法も解説!【医師監修】
朝起きるのがつらかったり、立ち上がったときにふらっとめまいがしたり、なんとなく身体がだるい日が続いているなどの症状を感じたことはありませんか?もしかすると、その不調の背景には低血圧が関係しているかもしれません。

低血圧は、はっきりとした病気とはいえないものの、血液が全身に十分に行き渡らないことで、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。

本記事では、低血圧の基準や原因、よくみられる症状、そして日常生活でできる改善の工夫や病院を受診するタイミングを解説します。
居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

低血圧の概要

低血圧の概要

低血圧の基準値を教えてください

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁にかかる圧力のことです。血圧は、心臓が収縮して血液を押し出す際の収縮期血圧(最高血圧)と、心臓が拡張して次の拍動に備えるときの拡張期血圧(最低血圧)の2つの数値で表されます。

明確な国際基準はありませんが、一般には、上の血圧(収縮期血圧)が90〜100 mmHg未満、または下の血圧(拡張期血圧)が60 mmHg未満の場合を指します。これらはあくまで目安であり、同じ数値でも症状が現れるかどうかは人によって異なります。数値が低くても元気に過ごせる方もいれば、正常範囲でも不調を感じる方もいます。

低血圧は病気ですか?

低血圧は、血圧が基準より低い状態を指します。症状がない場合には必ずしも病気とはみなされません。例えば、体質的に血圧が低い方のなかには、特に不調を感じずに日常生活を送れていることも少なくありません。ただし、めまいやふらつきなどの症状があったり、ほかの疾患が原因となったりしている場合は、低血圧症として医学的な対応が必要になることがあります。

低血圧の原因を教えてください

低血圧にはさまざまな原因があり、体質や年齢、生活習慣、病気などが関係しています。医学的には以下のようにいくつかに分類されています。

本態性低血圧(一次性低血圧) 原因となる病気は特定されておらず、体質や遺伝的な要因が関係していると考えられています。症状がない場合は病気とはされず、特別な治療も必要ありません。

症候性低血圧(二次性低血圧) 遺伝的要因とは異なり、病気や薬剤の影響によって血圧が低下する状態を指します。原因となる疾患には、心臓病、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎機能不全など)、神経疾患、重度の感染症(敗血症性ショック)、脱水、出血などが含まれます。また、降圧剤や利尿剤などの副作用が原因となることもあります。

起立性低血圧 普段の血圧は正常でも、急に立ち上がった際に、3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上、または、拡張期血圧が10mmHg以上低下する状態を指します。

食後低血圧 食後2時間以内に、収縮期血圧20mmHg以上低下する状態を指します。高齢者や自律神経機能が低下している方に多くみられる傾向があります。

低血圧の具体的な症状

低血圧の具体的な症状

低血圧による症状を教えてください

低血圧の症状としてよくみられるのは、立ち上がったときのふらつきや立ちくらみ、めまい、頭がぼんやりするような感覚などです。加えて、朝起きても身体がだるい、疲れやすい、頭痛が続くといった不調を訴える方もいます。また、動悸や息切れ、手足の冷えなどがみられることもあり、体調の不安定さを感じやすくなります。

症状がひとつだけであれば軽く感じられるかもしれませんが、複数が組み合わさると「なんとなく調子が悪い」という状態が続くことがあります。特に季節の変わり目や体力が落ちている時期には、症状が出やすくなる傾向があります。

なぜ低血圧になるとさまざまな症状が現れるのですか?

低血圧になると血液の循環が悪くなり、酸素や栄養が身体のすみずみまで届きにくくなります。その結果、脳や筋肉、消化器官などで血流不足が起こり、さまざまな不調につながります。

例えば、脳の血流が不足すると、意識がぼんやりする、集中力が続かない、場合によっては失神してしまうこともあります。筋肉に十分な血液が行き届かないと、階段を昇るだけでも脚が重く感じたり、全身の疲労感が抜けなかったりします。また、消化器官の血流が低下すると、胃もたれや吐き気などの消化不良が起こることもあります。

これらの症状が重なることで、「どこが悪いのかわからないが、ずっと不調が続いている」という感覚に陥ることも少なくありません。

低血圧に似ている症状が現れる病気を教えてください

低血圧と似たような症状を示す病気はいくつかあります。例えば、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)では、突然のめまいやふらつき、意識の低下が生じることがあります。心臓の病気では、不整脈や心不全などが原因で血流が不安定になり、息切れ、立ちくらみ、倦怠感などが現れることがあります。

さらに、自律神経失調症、貧血、低血糖などの内科的な疾患でも、ふらつきやぼんやり感、手足の冷え、動悸など、低血圧と似たした症状を感じることがあります。特に自律神経が不安定な方では、日によって症状の差が異なり、原因がはっきりせず悩む場合もあります。

このように、いくつか低血圧と似た疾患は存在するため、体調不良が長引くようであれば、医療機関で検査を受けて、ほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。

低血圧の辛い症状を改善する方法

低血圧の辛い症状を改善する方法

自分でできる低血圧の改善方法を教えてください

低血圧の症状をやわらげるためには、日々の生活習慣を見直すことが基本です。例えば、朝起きたときに急に立ち上がると血圧が下がりやすくなるため、まずは布団のなかで軽く手足を動かしてから、ゆっくりと起き上がるようにしましょう。これにより、下半身にたまった血液が心臓に戻りやすくなり、血圧や心拍数を高める働きのある交感神経が活性化しやすくなるため、立ちくらみなどの予防につながる効果が期待できます。 食事や水分摂取も重要なポイントです。朝食は抜かずに、バランスよく栄養をとるようにしましょう。また、こまめに水分を補給することも血圧の安定につながります。

運動については、無理のない範囲で身体を動かすことが推奨されます。例えば、散歩やストレッチなどの軽い運動を日常に取り入れることで、血流がよくなり、自律神経の働きが整いやすくなります。その結果、血圧の調整機能も改善される可能性があります。ただし、体調がすぐれない日は無理をせず、少しずつ取り組むことを意識しましょう。

低血圧で病院を受診することはできますか?

低血圧は、必ずしもすぐに治療が必要とされる病気ではありませんが、症状が強く出ている場合や生活に支障がある場合には、医療機関の受診が推奨されます。特に、ふらつきや立ちくらみ、意識が遠のくような症状が続いている場合は、迷わず受診してください。

医療機関では血圧測定をはじめ、必要に応じて血液検査、心電図、自律神経機能などの検査が行われます。そして症状の原因や状態に応じて、生活指導や治療が提供されます。

病院での低血圧の治療法を教えてください

病院での低血圧の治療は、原因に応じて内容が異なります。例えば、起立性低血圧の場合は、水分や塩分の摂取を増やす指導のほか、姿勢の変化に注意するような助言が行われます。また、症状が強い場合には、昇圧薬と呼ばれる血圧を上げる薬が処方されることもあります。ただし、薬物療法はあくまで補助的な手段であり、基本となるのは生活習慣の改善です。

なお、低血圧の背景に別の病気が潜んでいる可能性がある場合は、それぞれの疾患に対する治療が優先されます。症状が長く続いていると感じたときには、自己判断せずに医師に相談しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ 低血圧は軽くみられがちですが、症状によっては日常生活に支障をきたすこともあります。立ちくらみや慢性的な疲労感など、なんとなく不調な状態が続くことは、心身にとって大きなストレスとなる可能性があります。

低血圧は若い方に多くみられる印象があるかもしれませんが、高齢者や持病のある方でも起こりうるため、年齢に関係なく注意が必要です。

予防や改善には、生活習慣の見直しが効果的です。こまめな水分補給、規則正しい食事、そして無理のない範囲での軽い運動を習慣にすることが、体調の安定につながります。

それでも症状が続く場合は、医療機関での検査や治療を受けることも検討しましょう。特にいつもと違う不調を感じるときは、自分だけで抱え込まず、専門家に相談し、原因を評価することが重要です。

この記事の監修医師