「スマホ首を改善するストレッチ」はご存知ですか?ストレッチを行う際に注意点も解説!
公開日:2025/09/09

スマートフォンをよく使う方、デスクワーク中心の方で、首が痛くなったり、頭痛がしたりしませんか? スマホ首は現代人が陥りやすい状態です。しかし、自分で姿勢を見直したり、ストレッチやセルフケアをしたりすることで改善できる可能性があります。本記事を最後まで読み、自分で気を付ける方法を知って、スマホ首を予防し、悪化を防ぎましょう。

監修医師:
林 良典(医師)
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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
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眼科(角膜外来)
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目次 -INDEX-
スマホ首の特徴と悪影響
スマホ首とはどのような状態ですか?
スマホ首とは、スマートフォンやパソコン作業などで、うつむいた姿勢を長くとることによって生じる前方頭位姿勢(forward head posture:FHP)、いわゆるストレートネックのことです。頭部が前方に突出した状態をさします。猫背や姿勢の悪化、頸部深層筋の筋力低下により引き起こされます。
本来頸椎は自然に前弯(前方に弓形)であるのがよい姿勢です。頸椎のカーブ構造は頭の重量の負担を分散させる働きがあります。しかし、うつむき姿勢を長く続けると頚椎のカーブが直線に近い状態になり、前弯が失われます。ストレートネックといわれる状態です。頭が前方へ移動するにしたがい、顎が前に出ます。さらに肩も前に出るような巻き肩姿勢となります。
その結果、身体の姿勢を維持する後頸筋群(首の後ろの大きな筋肉)が常に伸ばされます。筋肉で頭を支えることになり頸椎への衝撃を分散させることができなくなり首や肩に負担がかかります。
スマホ首の見分け方を教えてください
スマホ首、ストレートネックの診断はレントゲン検査が基本です。レントゲン写真で頸椎前弯角(Cobb角)を測定し、構造的診断とします。
一方、FHPのセルフチェックや機能的評価として、立った状態で頭から頸部を横から写真撮影し、CVA( craniovertebral angle)、頭蓋頸椎の角度を測定する方法があります。CVAの測定方法は、撮影した写真で耳の外耳孔と第7頸椎の棘突起を結ぶ線と水平線との角度を測定する方法です。
評価指標は以下のとおりです。
| CVAの角度 | 意味 |
|---|---|
| 53度以上 | 正常範囲 |
| 45度以上53度未満 | FHPの可能性あり |
| 45度未満 | FHPの可能性が高い |
スマホ首は身体にどのような悪影響を及ぼしますか?
スマホ首の状態になると、頸椎で頭の重さが分散されず、通常より強い負荷が首にかかります。筋肉に負担のかかった状態であり、筋性疼痛や頸部痛、筋緊張性頭痛を引き起こします。頭頸部の筋肉のなかで、後頭部から首にかけての筋肉は頭部の安定や制御に携わります。これらの筋肉の構造的および機能的変化はめまいを誘発する可能性があります。
また、頸椎の前弯が失われた状態が持続することにより、頸椎が変性してしまい、手足のしびれや麻痺、歩行障害まで進行する可能性があります。
スマホ首を改善するストレッチ
スマホ首はストレッチで改善しますか?
スマホ首は頸椎の構造的異常が継続することにより、首の後ろの筋肉に負担がかかります。筋肉がこわばると首の血行障害を引き起こし、さらに痛みが強くなります。このような連鎖を断ち切るためにも、ストレッチは有効です。短縮した首の前方の筋肉を伸ばして姿勢の改善を目指します。
また、弱った筋肉を強化することにより、姿勢の安定化を図る必要があります。背部、肩甲骨の可動性を上げることにより、姿勢の調整も行います。
スマホ首を治すストレッチを教えてください
スマホ首を治すために有効なストレッチは以下となります。
肩甲骨の可動域改善
- 両手をYの字に上げて、ゆっくり肩甲骨を寄せるように意識します
- 呼吸を止めずに15秒キープ×3回
- 壁にもたれて、後頭部を軽く壁に押しつける(背中〜お尻も壁に付ける)
- 顎を引いて首の後ろが伸びる感覚を意識します
- 5秒キープ×10セット
- タオルを後頭部にかける
- タオルを斜め上に引きながら、顎を軽く引く
- 5秒×5セットほど行う
ストレッチを行う際に注意点はありますか?
ストレッチを行う際、いくつか注意点があります。無理をしないことが重要です。
痛みを感じるまで伸ばさない
ストレッチは心地よい張り感が目安です。ビリッとする痛みやしびれ、吐き気、めまいがある場合はすぐ中止した方がよいでしょう。
急に首を大きく回さない、反らさない
グルグル回したり後ろにグイッと反らしたりする動きは、頚椎症や椎間板ヘルニアを悪化させることがあります。ゆっくり、小さく動かすのが基本です。
反動をつけない
反動をつけて伸ばすと、筋や靭帯を痛める可能性があります。ゆっくり静止して20秒〜30秒キープするのが正しいストレッチです。
呼吸を止めない
息を止めると筋肉が緊張して伸びにくくなります。鼻から吸って、口からフーっと吐く呼吸を意識するのがおすすめです。
無理に顎を引きすぎない
顎引き運動は、首の後ろを伸ばすために重要ですが、やりすぎると顎関節やのどに負担がかかることがあります。顎は軽く引き、首の後ろが長くなるよう意識します。
持病や神経症状がある場合は自己流で行わない
過去に頸椎ヘルニア、脳血管疾患、頸動脈狭窄、めまいなどがある場合、医師や理学療法士などに必ず相談のうえで実施しましょう。
スマホ首の改善に筋トレは有効ですか?
FHPに対して、さまざまな運動療法で効果があるという研究があります。例えば、肩甲骨安定化運動は、リラクゼーション運動より疼痛の軽減、機能および姿勢の改善があり、効果が高かったとする研究です。肩甲骨安定化運動では、前傾した頭や丸まった背中の姿勢を改善するために、肩甲骨を正しい位置に戻し、安定させる筋肉(特に菱形筋や僧帽筋中下部)を鍛える運動です。肩甲骨安定化運動の目的は、巻き肩・猫背を改善し、頭が前に出る姿勢を正すことにより頚椎・胸椎のアライメントを整え、首・肩こりの軽減につながります。
ほかに、例えば頸部安定化運動などがすすめられます。頸部安定化運動は、首の筋肉を安定させて正しい姿勢を保ち、首や肩の痛み・スマホ首(ストレートネック)を改善・予防するための運動です。顎を引く動きや頭の位置を固定するような動きをとりいれます。
スマホ首を改善するために気を付けること
スマホ首を悪化させる行動を教えてください
誤った姿勢でスマートフォンを触ったり、デスクワークを行ったりすることは重要な増悪因子です。うつむく姿勢を避け、目線の高さに作業内容をセットするようにしましょう。
横になりながらスマートフォンや読書するのも避けた方がよいでしょう。ソファやベッドで横向きやうつ伏せでスマートフォンを使うと、首の左右どちらかに無理なねじれや圧迫がかかるためです。
スマホ首を改善するためにどのようなことに気を付けるとよいですか?
デスクワーク中、顎をひき、骨盤を立てる姿勢を心がけましょう。
スマートフォンやPC作業中は、同じ姿勢を続けると身体がこわばり血流が悪くなります。30分に1度は休憩やストレッチを行うとよいでしょう。
ほかに日常生活として、片方の肩にバッグや重い荷物をかけ続けると、姿勢のゆがみやバランスの崩れにつながります。リュックにする、左右交互に持つなど、片方に偏らないように工夫する必要があります。
また、枕の高さと硬さが合っていないと首を痛めます。高すぎる枕は顎が引けずFHPを助長します。逆に低すぎると頭が落ち込み、首に負担がかかりがちです。後頭部から首が自然に支えられるやや低めの枕がよいでしょう。頸椎を支えられるよう、首のくぼみにフィットする形状が理想です。
スマホ首を予防できる歩き方や姿勢を教えてください
スマホ首を予防する歩き方は、いくつか注意する点があります。
- 頭が前に出ないようにする 顎を引き、首を前に突き出さないようにします。首の後ろを伸ばすことを意識します。
- 歩きスマホを控える、目線を遠くにする 下を見て歩くとスマホ首になりやすくなります。10〜15m先をみましょう。
- 肩を後ろに引く 肩が前に出ると猫背になり、首も前に出やすくなるので注意です。
編集部まとめ
スマホ首の原因や対策、セルフケアの方法を解説しました。自分でストレッチや筋トレをすることで、スマホ首の予防になったり悪化を防いだりすることができます。ぜひセルフケアの方法を身につけて、少しでも辛い症状を緩和してください。
