「夏バテと熱中症の違い」はご存知ですか?見分ける方法も解説!【医師監修】
公開日:2025/08/05


監修医師:
林 良典(医師)
プロフィールをもっと見る
名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
夏バテと熱中症の基礎知識
夏バテとはどのような状態ですか?
夏バテとは、暑さや湿度の高さによって自律神経のバランスが乱れ、食欲不振や全身のだるさ、疲れやすさなどの不調が続く状態をいいます。冷房の効いた室内と暑い屋外との温度差、冷たい飲み物の摂りすぎ、睡眠不足なども影響し、身体がうまく対応できなくなることが主な原因とされています。数日から数週間かけて徐々に症状が現れることが多く、慢性的な疲労感が特徴です。
熱中症の概要を教えてください
熱中症は、高温多湿の環境下で体内の水分や塩分が失われ、体温調節機能がうまく働かなくなることで起こる状態です。体温が異常に上昇し、めまいや吐き気、筋肉のけいれん、意識障害などの症状が現れます。発症は突然で、進行が早いため注意が必要です。重症になると命に関わることもあり、早急な対応が求められます。屋外の活動中だけでなく、室内でも発症することがあるため、こまめな水分補給や室温管理が重要です。
夏バテと熱中症の違いと見分け方
夏バテと熱中症の症状の違いを教えてください
夏バテは、倦怠感や食欲の低下、疲れやすさ、軽い頭痛や胃腸の不調などが数日以上続くのが特徴です。一方で、熱中症はめまい、立ちくらみ、大量の汗、筋肉のけいれん、吐き気や意識の混濁など、急激に現れる症状が多く見られます。夏バテは徐々に現れる不調であるのに対し、熱中症は短時間で重篤化することがある点で大きく異なります。
夏バテと熱中症を見分ける方法はありますか?
見分ける際には、症状の現れ方とそのスピード、体温や意識の状態を確認することが重要です。夏バテでは発熱はあまり見られず、意識がしっかりしていることがほとんどです。
熱中症では、体温が高くなる、発汗が止まる、意識がもうろうとするなど、危険な兆候が見られることがあります。そのため、意識障害や高熱がある場合は、夏バテではなく熱中症の可能性が高く、すぐに医療機関の受診が必要です。
夏バテと熱中症の原因の違いを教えてください
夏バテの原因は、自律神経の乱れや食生活の乱れ、冷房との温度差による体温調整機能の低下など、生活習慣や環境による影響が中心です。
一方、熱中症は高温環境での脱水や発汗による電解質の喪失が原因となります。屋外での運動中や炎天下での作業中に発症しやすいほか、高齢者や乳幼児では室内でも発症することがあります。
夏バテになっているときは熱中症になりやすいですか?
はい、夏バテになっているときは体力や抵抗力が落ちており、熱中症を発症しやすい状態になっていると考えられます。例えば、食欲不振による栄養不足や水分摂取の減少、睡眠不足などが重なることで、体温調節がうまく働かなくなるためです。そのため、夏バテが続いている場合は、日中の活動や気温の高い時間帯の外出を控え、こまめな休憩や水分補給を心がける必要があります。
夏バテや熱中症で病院を受診する目安と治療法
夏バテや熱中症で病院を受診する目安を教えてください
夏バテでは、数日経っても食欲不振や倦怠感が改善せず、日常生活に支障が出るような場合には、医療機関への相談をおすすめします。特に高齢の方や持病のある方では、栄養状態の悪化や脱水につながるおそれがあるため注意が必要です。
一方、熱中症の場合は早期の受診が重要です。意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい、身体が熱く皮膚が乾いている、嘔吐が続く、けいれんがあるなどの症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶことも検討しましょう。軽度であっても症状が改善しない場合は医療機関の受診が必要です。
夏バテや熱中症は何科を受診すればよいですか?
夏バテや軽度の熱中症は、まずは内科を受診するのが一般的です。内科では全身状態の評価を受け、必要に応じて血液検査や点滴治療を行うことができます。
また、熱中症の重症例では、救急搬送先での集中治療が必要となる場合もあります。状態が急変することもあるため、早めの判断が大切です。
夏バテの治療法を教えてください
夏バテの治療では、まず原因となっている生活習慣の見直しが基本となります。栄養バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動などを心がけ、自律神経の乱れを整えることが重要です。水分補給とともに、汗で失われた塩分を補うための経口補水液やスポーツドリンクの利用も役立ちます。
病院では、状態に応じて点滴による水分・電解質の補充や胃腸薬などが処方されることがあります。特に体力が落ちている方は、医師の指導のもとでの適切な治療が望まれます。
熱中症はどのように治療しますか?
熱中症の治療は、重症度に応じて迅速に体温を下げることと、水分・電解質の補給が基本です。軽度の場合は涼しい場所での安静、水分と塩分の摂取、衣服をゆるめるといった対応が有効です。保冷剤や冷たいタオルを使って、首やわきの下、太もものつけ根などを冷やすと体温が下がりやすくなります。
中等度以上の症状では医療機関での点滴治療、必要に応じて入院管理が行われます。重度の熱中症では、意識障害や多臓器不全を起こすこともあり、集中治療が必要になることもあるため、早期の対応が命を守ることにつながります。
編集部まとめ
夏の時期に多く見られる体調不良として、夏バテと熱中症がありますが、それぞれの原因や症状、対処法には明確な違いがあります。夏バテは長引く暑さや生活習慣の乱れによって身体の機能が低下した状態で、徐々に食欲不振や倦怠感などが現れます。一方、熱中症は高温環境による脱水や体温調節の異常が原因で、急激に体調が悪化することが特徴です。
どちらも適切な対処を行わなければ重症化するおそれがあるため、症状を見極めることが大切です。特に、意識がもうろうとしている、水分がとれない、体温が高いといった症状があれば、熱中症の可能性が高く、すぐに医療機関を受診する必要があります。夏バテの場合も、食事がとれない状態が続く場合や体力の低下が著しいときには、内科などで診察を受けることが望ましいでしょう。
暑さの厳しい季節は、体調管理を万全にし、無理のない生活を心がけることが予防につながります。こまめな水分補給、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣を見直すことが、夏を元気に乗り切る鍵となります。


