「プール熱による出席停止期間」はご存知ですか？登園・登校できる目安も解説！
公開日:2025/08/22
毎年夏を中心に小児で流行するプール熱（咽頭結膜熱 -いんとうけつまくねつ- ）にお子さんがかかった場合、保育園や学校をお休みしなければならない期間が気になるところです。プール熱はとても感染力が強いため、学校保健安全法に基づき出席停止の措置が取られます。本記事では、プール熱で出席停止になる条件や期間、その間の過ごし方や登園・登校の手続きをQ&A形式で解説します。
監修医師：
栗原 大智（医師）
プロフィールをもっと見る
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質＝Quality of vision（QOV）」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
学校保健安全法におけるプール熱の扱い
プール熱に感染すると出席停止になりますか？
はい、プール熱に感染した場合、学校保健安全法に定められた学校感染症（第二種）として出席停止の対象になります。具体的には主要症状が消失した後2日を経過するまで登校・登園が禁止されると規定されています。
主要症状とは高熱・喉の痛み・結膜炎（充血や目やになど）といったプール熱の主な症状のことです。それらがすべて治まってから丸2日間は自宅で安静に過ごす必要があります。ただし、症状や医師の診断によって「感染のおそれがない」と認められた場合は例外もあります。
プール熱による出席停止の対象となる施設や教育機関を教えてください
学校保健安全法に基づく出席停止措置は、幼稚園・小学校・中学校・高校など学校教育法上の学校に当たる施設で適用されます。具体的には幼稚園、認定こども園、小中高校、特別支援学校などが含まれ、これらの施設ではプール熱にかかった児童生徒は一定期間、出席停止となります。
一方、保育所（保育園）は学校ではありませんが、各自治体や厚生労働省のガイドラインにより登園を控える期間が定められており、実質的に同様の対応が取られます。家でしっかり療養することで、お子さん自身の回復と集団生活での感染拡大防止の両方につながります。
家族がプール熱に感染した場合、ほかの子どもも出席停止になりますか？
ご家族でプール熱に感染者が出ても、ほかの兄弟姉妹に症状がなければ基本的にはその子どもは出席停止とはなりません。元気で症状のない兄弟は通常どおり登校・登園して構いません。ただし、プール熱は感染力が強いため、家庭内でタオルを分ける・手洗いを徹底するなど感染対策をしっかり行い、兄弟にも発熱や喉の痛みなどの症状が出てこないか注意深く様子を見ましょう。念のため学校や園には、家族にプール熱の感染者がいることを伝えておくと安心です。
大人もプール熱になったら出社が禁止されますか？
プール熱は子どもに多い病気ですが、大人でも感染することがあります。会社員の場合、学校のような法律上の出勤停止の規定はありませんが、高熱や喉の痛みなど体調不良を伴うことが多いため、自身の休養とほかの方への感染拡大防止の観点から出社は控えた方がよいでしょう。特に、症状がある間は無理に出勤すると周囲にうつす可能性があります。
学校保健の基準にならい、主要症状が治まってから最低2日程度はお休みすることが推奨されます。症状が軽快した後もウイルスはしばらく排出されるため、職場に迷惑をかけないためにも医師と相談のうえで出社再開のタイミングを決めましょう。
プール熱の出席停止期間と登園・登校できる目安
プール熱ではどのような状態になったら登園や登校が可能になりますか？
プール熱に感染した場合、発熱・喉の痛み・目の充血や目やになど主要な症状がすべて消失してから2日間が経過すれば登校・登園が可能になります。具体的な目安としては、以下のような状態になった後、丸2日経過することが条件です。
- 熱や喉の痛みなど風邪症状がすっかりよくなっていること
- 充血した目が通常の状態に戻っていること
- 目やにもおさまり、目の状態が通常どおりになっていること
プール熱による出席停止期間のカウント方法を教えてください
出席停止期間の数え方は、症状がなくなった当日は含めず、その次の日を1日目とします。例えば、発熱や喉・目の症状が◯月◯日（火）に消失した場合、その火曜日は症状消失当日としてカウントせず、翌日の水曜日を1日目、木曜日を2日目と数えます。したがって木曜まで休養し、症状がぶり返すこともなく経過したら金曜日から登校可能、というイメージです。
重要なのは、症状が完全になくなってから丸2日間は経過観察と安静を保つことです。なお、主要症状が消えてから2日経過の判断は日数だけでなく、症状の有無も加味しますので、再開前に一度受診し医師に確認してもらうと安心でしょう。
プール熱感染後に登園・登校する際に手続きは必要ですか？
プール熱の場合、多くの幼稚園・保育園、学校で医師による登校（園）許可証明書、いわゆる治癒証明の提出を求められるケースがあります。ただし、証明書が必要かどうかのルールは施設や自治体によって異なります。事前に通っている園や学校の方針を確認し、必要であれば医療機関で書類を発行してもらいましょう。
プール熱による出席停止期間中の過ごし方と感染対策
プール熱に感染した子どもを病時保育に預けることはできますか？
プール熱にかかったお子さんをどうしても家庭で看病できない場合、病児保育の利用を検討されることもあるでしょう。結論からいえば、利用可能な病児保育もあります。一対一で自宅を訪問してケアする訪問型の病児保育では、プール熱のお子さんも預かり可能とされています。ただし、病児保育施設によって対応方針が異なるため、事前にお問い合わせが必要です。
集団型の病児保育室でも、ほかの疾患のお子さんと別室対応するなどの条件で受け入れてもらえる場合があります。いずれにせよ利用には医師の診断を受けていることが前提で、施設から求められる書類（診断書や利用連絡票など）を準備する必要があります。まずは各病児保育サービスにプール熱の子どもは預けられるか確認してみましょう。
プール熱の症状が出ているときの家庭内での過ごし方を教えてください
プール熱にかかったお子さんが辛そうにしている間は、何より自宅で安静に過ごさせることが大切です。高熱がある場合は布団でしっかり休ませ、寒気があれば身体を温め、熱が上がりきって暑がるようなら薄着にしたり室温を調節してあげましょう。また、食欲がないときは無理に食べさせなくても構いませんので、まずは体力の回復を優先しましょう。
プール熱の症状が消失した後の出席停止期間中は公園などに出かけてもよいですか？
症状が治まってお子さんが元気になってくると、家の中で退屈してしまい公園で遊ばせたくなるかもしれません。しかし、主要症状が消えた直後でもウイルスはまだ体内に残っており感染力があります。症状がなくても本調子ではない可能性もあるため、出席停止が解けるまでは外出は控えるのが基本です。特に、人が多い場所や子ども同士の接触がある公園・遊び場へ連れて行くのは避けましょう。せっかく治りかけた症状がぶり返したり、ほかのお子さんにうつしてしまったりするリスクがあります。どうしても短時間の散歩程度で外の空気を吸わせたい場合は、周囲にほとんど人がいない時間帯・場所を選び、遊具などは利用しないようにします。基本的には自宅や庭先で静かに過ごし、症状消失後2日の期間が過ぎるまでは家庭内で療養するようにしてください。
家庭内でのプール熱の感染対策を教えてください
プール熱は家庭内で家族に感染が広がる場合もあるため、以下の対策を徹底しましょう。
- 手洗い・うがいの励行
- タオルの共用を避ける
- マスク・咳エチケット
- お風呂の順番は最後にする
- 環境の消毒・換気を行う
編集部まとめ
プール熱に感染した場合は、学校保健安全法により主要症状消失後2日が経過するまで出席停止となり、幼稚園・学校では登校や登園が禁止されます。大人が感染した場合も法律上の出勤停止はありませんが、周囲への感染防止と自身の体調管理のために十分な休養をとりましょう。出席停止期間中はお子さんの体調が優先です。安静に過ごさせ、こまめな水分補給と喉に優しい食事で回復をサポートしてください。プール熱は感染力がとても強いですが、正しい知識と対処法で乗り切ることができます。 決められた期間しっかり休むことでお子さんの体調も万全に整い、周囲への二次感染も防げます。医師や園・学校とも連携しながら、安全に登園・登校を再開できるよう準備しましょう。
