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大人が「ヘルパンギーナ」を発症するとどんな「初期症状」が現れる?【医師監修】

 公開日:2025/07/17
大人が「ヘルパンギーナ」を発症するとどんな「初期症状」が現れる?【医師監修】
ヘルパンギーナと聞くと、幼い子どもが夏にかかる病気という印象を持つ方がいるかもしれません。しかしこの病気自体は、大人にも感染し、子ども以上に強くてつらい症状が現れることもあります。

大人が感染した場合は、風邪とは違う強い症状に戸惑うこともあるでしょう。それにも関わらず、大人のヘルパンギーナはあまり認知されておらず、受診の遅れや誤った対応につながることもあります。

この記事では、大人がヘルパンギーナにかかった場合の初期症状や経過、治癒の目安、正しい対処法を解説します。
居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

大人のヘルパンギーナの前兆から初期症状

大人のヘルパンギーナの前兆から初期症状

大人のヘルパンギーナに前兆はありますか?

明確な前兆として自覚できる症状は少ないものの、感染初期には身体のだるさや喉の違和感などといった、風邪に似た症状が現れることがあります。ただし、こうした変化はあいまいで、自覚しにくいです。

そのため、大人でも突然の高熱や強い咽頭痛が出てから気付くことがほとんどです。こうした急な発熱がある場合には、通常の風邪と異なる可能性を考え、症状の経過を注意深く観察しましょう。

大人のヘルパンギーナの初期症状を教えてください

大人のヘルパンギーナでも、初期症状は子どもの場合とよく似ています。38〜40度程度の高熱喉の強い痛み、飲み込みづらさが代表的で、これらは発熱と同時、または少し遅れて現れることがあります。

お口の上の顎の奥(口蓋)や咽頭に赤く小さな水ぶくれ(水疱)ができ、それが破れて潰瘍となることで強い痛みを引き起こします。大人の場合では、免疫の反応が子どもよりも強く出やすく、症状が重くなる傾向があります。特に、喉の痛みと高熱が数日間続きます。また、食事や水分がとりにくくなることもあるため、無理をせずにできる範囲で対応することが大切です。

大人のヘルパンギーナの初期症状に似ている病気はありますか?

ヘルパンギーナの初期症状(高熱、喉の痛み、口内の水疱)は、以下のような病気とも似ています。

  • 手足口病:お口の中の水疱に加えて、手のひらや足の裏にも発疹が出る。
  • 咽頭結膜熱(プール熱):発熱と喉の痛みに加え、目の充血を伴う。
  • 単純ヘルペスウイルス感染:歯茎や舌に水疱ができることが多く、局所的な痛みや再発性が特徴。

いずれも、口内に水疱や強い痛みが生じるという点で共通しており、見た目や症状だけでの判断は難しいことがほとんどです。特に高熱が続く場合や、喉の痛みで水分すら摂れないような場合には、できるだけ早く医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。

大人のヘルパンギーナの症状と特徴、治癒までの期間

大人のヘルパンギーナの症状と特徴、治癒までの期間

大人のヘルパンギーナはどのような症状の経過をたどりますか?

ヘルパンギーナは、エンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群が原因で発症するウイルス性感染症です。大人が感染した場合も、突然の高熱(38〜40度前後)や強い咽頭痛が代表的な症状として現れます。多くは発熱から始まり、2〜4日程度で熱は下がることが一般的です。

また、喉の奥(口蓋、咽頭)に小さな水疱や潰瘍ができ、飲食時に強い痛みを伴うことがあります。場合によっては、背中の痛み、頭痛、腹痛などの全身症状を併発することもあり、子どもよりも重く感じることが少なくありません。

大人のヘルパンギーナ特有の特徴を教えてください

大人がヘルパンギーナにかかった場合の大きな特徴は、喉の痛みがとても強く、長引きやすいことです。喉の奥にできた潰瘍や粘膜の炎症が強くなると、水分の摂取や会話すら難しくなることがあります。

こうした炎症によって、脱水や栄養不足になる可能性も高まります。特に、普段どおりの食事や水分補給が難しいときは、ゼリー飲料や冷たいスープなど、喉にやさしくて摂取しやすいものを工夫しながら取り入れましょう。

大人のヘルパンギーナは感染してから治癒するまでに何日かかりますか?

ヘルパンギーナの潜伏期間はおよそ2〜4日間とされており、感染から数日後に症状が出始めます。発症後は、発熱が2〜4日程度で解熱し、その後喉の痛みや倦怠感が数日続くことが一般的です。

多くの場合、10日以内に改善するとされていますが、喉の症状や体力の低下が長引くこともあります。特に大人は、免疫反応が強く出る分、全身の倦怠感が続きやすい傾向があります。

症状の改善には脱水や栄養不足を避け、しっかりと体力を取り戻すことが大切です。たとえ症状が軽快しても、焦らず無理せず、体調に応じたペースで日常生活に戻りましょう。

大人のヘルパンギーナの初期症状が現れたときの対処法

大人のヘルパンギーナの初期症状が現れたときの対処法

ヘルパンギーナの初期症状が現れたら受診すべきですか?

大人のヘルパンギーナは、喉の痛みが強く出やすく、まれに重症化することもある感染症です。次のような症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

  • 発熱が2日以上続いている
  • 水分がほとんど摂れず、尿量が減っている
  • 強い倦怠感や食欲不振がある

特に妊娠中の方や基礎疾患がある方、高齢者の方では重症化のリスクが高まるため、早めの受診が推奨されます。

一方で、症状が軽く、発症から1〜2日で熱が下がり始めている場合は、自宅での安静とこまめな水分補給、消化に優しい食事を心がければ、自然と改善が期待できることもあります。しかし、自己での判断が難しいときは迷わず医療機関を受診しましょう。

ヘルパンギーナによる喉の痛みへの対処法を教えてください

喉の痛みはヘルパンギーナのなかでもつらい症状の1つです。食事や水分補給が難しくなることもあるため、以下のような刺激を避けた喉に優しい工夫が必要です。

  • 冷たくて刺激の少ない水分(水やスポーツドリンクなど)を少しずつ摂る
  • ゼリー飲料やプリン、アイスクリームなど、なめらかで喉ごしのよい食品を活用する

ただ、炎症を悪化させるような香辛料の強い食事やオレンジジュース、グレープフルーツジュースなどの酸性のフルーツジュースは炎症を起こした組織を刺激するため避けましょう。

大人がヘルパンギーナで高熱や痛みが出たときは市販の解熱剤を飲んでもよいですか?

高熱や頭痛、喉の痛みがつらいときには、市販の解熱鎮痛薬(イブプロフェンやアセトアミノフェンなど)を使用することで、症状を和らげることができます。

ただし、熱を下げたり痛みを一時的に抑えたりする効果はあるものの、ヘルパンギーナそのものを治す効果はありません。また、痛みが強いからといって解熱鎮痛薬を乱用することが絶対にないよう、使用間隔や使用量は守って服用してください。必要最小限にとどめ、自己判断での服用を避けるようにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ  ヘルパンギーナは、一般的には子どもの夏風邪として知られていますが、大人が感染すると想像以上に強い症状を引き起こすことがあります。特に、初期にみられる高熱や喉の激しい痛みは、日常生活に支障をきたすほどつらく、決して軽く考えることはできません。

多くの場合、明確な前兆はなく、気付いたときにはすでに症状が強く出ていることがほとんどです。発熱や咽頭の水疱、飲み込みにくさといった症状はそのほかのウイルス感染症とも似ているため、自己判断せずに医療機関で診断を受けることが重要です。

また、大人の場合は、発熱や倦怠感が数日以上長引くことがあり、脱水や体力の低下にも注意しましょう。痛みには市販薬を活用できますが、違和感が続く場合や体調の改善が遅いと感じる場合は、早めに受診して医師の診察を受けましょう。

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