「子どもが熱中症」になったらどんな症状が現れるかご存知ですか?対処法も解説!

毎年夏になると、子どもの熱中症に関するニュースが後を絶ちません。消防庁の統計によると、熱中症で救急搬送される方のうち、子ども(新生児、乳幼児、少年)が占める割合は決して少なくなく全体の約1割にものぼります。特に、その半数近くは未就学児が占めることもあり、注意が必要です。
子どもは小さな大人ではありません。体温調節機能が未熟であることに加え、身長が低く地面からの照り返しの影響を強く受けるなど、大人とは異なる特有のリスクにさらされています。さらに、近年の気候変動により、日本の夏の平均気温は上昇傾向にあり、猛暑日(最高気温35度以上)の日数も増加しています。この環境の変化は、子どもたちの熱中症リスクを一層高める要因となっています。
しかし、熱中症は正しい知識を持って適切に対応すれば、予防できる病気です。万が一発症してしまっても、早期に発見し、正しい応急処置を行うことで重症化を防ぐことができます。本記事では、子どもの熱中症の症状の見分け方から、具体的な対処法、そして家庭で実践できる予防策まで、Q&A形式で網羅的に解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
子どもの熱中症の症状について

子どもの熱中症はどのような症状が現れますか?
- めまい・立ちくらみ・顔色の変化
- 筋肉の痛みやけいれん、大量の汗
- 頭痛・吐き気・強いだるさ
- 意識がぼんやりする、ぐったりして反応が遅い
- けいれん、呼吸が速い、発汗が止まる(重症)
子どもが熱中症かどうかを判断する基準を教えてください
- 腋の下で37.5度、耳式で38度以上の発熱
- 6時間以上尿が出ない、または母乳・水分を拒否
- 呼びかけに対する返事が遅い、泣き方が弱い
- WBGT(暑さ指数)が28度以上の日に上記症状がある
まだ話せない子どもが熱中症かどうかを判断することはできますか?
機嫌・行動の変化
- いつもより機嫌が悪く、ぐずって泣きやまない
- 逆に、急に静かになり、ぐったりして活気がない
- 泣き声が弱々しい、または甲高い声で泣く
授乳・哺乳の様子
- 母乳やミルクを欲しがらない
- もしくは、異常に水分を欲しがる
おしっこの状態(客観的な重要サイン)
- おむつが長時間濡れていない(目安として6時間以上)
- おしっこの色がいつもより濃い、または量が少ない
皮膚・体温の状態
- 顔が赤くほてっている
- 身体、特に首の後ろや背中を触るととても熱い
- 唇がカサカサに乾いている
- たくさん汗をかいている、あるいは逆に重症化して汗が出なくなり皮膚が乾いている
これらのサインが複数当てはまる場合は、熱中症の可能性があります。すぐに涼しい場所へ移動させ、身体を冷やし、水分補給を行うなどの応急処置を開始してください。
子どもが熱中症になったときの対処法

熱中症が疑われるときにまずやるべきことを教えてください
子どもの熱中症ですぐに受診した方がよい症状はありますか?
- けいれん、意識がもうろう、呼吸が弱いまたは速い
- 何度も吐いて水分が取れない
- 38.5度以上の発熱が冷却で下がらない
- 汗が出なくなり皮膚が乾燥している
子どもが熱中症と診断された際に自宅で気を付けることを教えてください
- 発熱・倦怠感がなくなるまで外遊びと運動を48時間控える
- 室温26度前後、湿度50~60%を保ちこまめに休ませる
- 経口補水液を体重1kg当たり1日60mL程度、数回に分けて与える
- 夜間も2〜3時間ごとに様子を確認し、悪化時は再受診する
熱中症の子どもにはどのような飲み物や食べ物がよいですか?
- 経口補水液(ナトリウム40~60mEq/リットル)
- イオン飲料(子ども用の薄めタイプ)
- みそ汁、スープ、バナナやスイカなど水分とミネラルを含む食品
- カフェイン飲料や糖分の多い炭酸飲料は避ける
子どもの熱中症を予防する方法

どの程度の気温になったら子どもの熱中症リスクが高まりますか?
暑さ指数は、人体と外気との熱のやりとりに着目した指標で、熱中症の危険度を客観的に示します。気温が同じでも、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりません。WBGTはこうした湿度の影響を大きく反映するため、実際の体感に近い危険度を示してくれます。
WBGTは、環境省の「熱中症予防情報サイト」や、同省のLINE公式アカウント、民間の天気予報アプリなどで簡単に確認できます。外出前や活動前には、必ずチェックする習慣をつけましょう。WBGT28度で警戒、31度で厳重警戒、33度以上で原則屋外活動中止です。
子どもの熱中症予防に役立つ服装を教えてください
- 吸湿速乾素材で淡い色のTシャツと短パン
- 首筋を覆う日よけ付き帽子
- ベビーカーでは日除けシェードと携帯ファンを併用する
子どもが熱中症にならないために食生活で気を付けることはありますか?
子どもが外遊びやスポーツをするときの注意点を教えてください
「暑熱順化(しょねつじゅんか)」とは、身体を徐々に暑さに慣らしていくことです。暑い環境で適度な運動を続けると、身体は汗をかきやすくなったり、皮膚の血流量を増やして熱を逃がしやすくしたりと、効率的に体温を調節できるようになります。この適応には数日から2週間ほどかかります。
梅雨明けの急に暑くなる時期は、身体がまだ暑さに慣れていないため、熱中症が最も起こりやすいタイミングです。本格的な夏が来る前から、計画的に暑熱順化を進めましょう。
のどが渇いてから飲むのでは遅すぎます。特に活動中は、時間を決めて計画的に水分と塩分を補給させることが事故防止につながります。
編集部まとめ

子どもは体温調節機能が未熟なため、大人では問題ないような環境でも、短時間で熱中症を発症し、急速に悪化することがあります。顔色や機嫌、汗のかき方など、いつもと違うというサインを見逃さないことが、重症化を防ぐ第一歩です。
熱中症は、もはや特別な気象条件下で起こるものではなく、夏の日常生活に潜む身近な危険です。家庭、学校、そして地域社会が連携し、正しい知識を持って子どもたちの健康を守っていくことが、今、私たち大人に求められています。




