「糖尿病予防」に効果がある「食べ物」はご存知ですか?リスクが高まる食べ物も解説!
公開日:2025/08/13

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気で、放置すると全身の臓器に影響を及ぼすおそれがあります。特に2型糖尿病は食事や運動などの生活習慣と密接に関係しており、予防や進行の抑制には日常の見直しが重要です。
日本では予備群を含めて多くの方が糖尿病のリスクを抱えており、早期の対策が健康を守る鍵となります。本記事では、糖尿病の特徴や予防のための具体的な習慣についてわかりやすく解説します。
監修医師:
林 良典(医師)
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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
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眼科(角膜外来)
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目次 -INDEX-
糖尿病の概要となりやすい人の特徴
糖尿病とはどのような病気ですか?
糖尿病は、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの作用不足により、血糖値が高い状態が続く病気です。糖尿病には主に2型(生活習慣に関連)と1型(自己免疫性)があります。特に2型糖尿病は全体の9割以上を占め、高齢や肥満、運動不足、遺伝などが関与します。進行すると全身の合併症を招くおそれがあるため、早期の予防や対応が重要です。
糖尿病の原因を教えてください
2型糖尿病の主な原因は、日常生活のなかでの習慣の積み重ねです。過食や運動不足、肥満はインスリンの働きを妨げ、血糖値の上昇を引き起こします。糖質や脂質を多く含む食品の摂りすぎ、ストレスや睡眠不足も血糖コントロールに悪影響を及ぼす要因です。また、家族に糖尿病の患者さんがいると発症リスクが高まり、加齢による代謝低下も関与します。
糖尿病になりやすいのはどのような人ですか?
内臓脂肪が多い方や運動習慣がない方、間食・飲酒が多い方は注意が必要です。また、家族歴や妊娠糖尿病の既往がある方、高血圧・脂質異常症を抱える方もリスクが高まります。生活リズムの乱れや睡眠の質の低下もホルモンバランスを乱し、糖尿病の発症に関係する可能性があります。
糖尿病の予防について
糖尿病は予防できる病気ですか?
特に2型糖尿病は、生活習慣の改善により予防が可能な病気です。定期的に運動を行い、バランスの取れた食事を続けることによって、インスリンの働きを維持し、血糖値を安定させることができます。また、肥満を防ぐことも重要で、体重の管理を通じて発症リスクを下げられるといわれています。
血糖値が高めであっても、早めに対策を始めれば、糖尿病の発症そのものを防げる可能性があります。特に健診で境界型や空腹時血糖が高いと指摘された場合には、食生活や運動習慣を意識して見直すことが大切です。
糖尿病を予防するためにできることを教えてください
予防のためにできることは多くありますが、なかでも基本となるのは、食生活の見直しと運動習慣の確立です。糖質や脂質を過剰に摂取しないよう食事のバランスを整えること、1日3食を規則正しく食べること、野菜をしっかり摂ることなどがポイントです。
運動については、特別なトレーニングをしなくても、日常生活のなかで歩く機会を増やす、階段を使う、長時間の座りっぱなしを避けるなどの工夫が有効です。また、適正体重を保つこと、喫煙や過度の飲酒を控えることも予防には欠かせません。
さらに、年に一度の健康診断を受けて血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)をチェックする習慣を持つことで、異常があった場合に早期に対応できます。予防は毎日の行動から始まります。
糖尿病予防に役立つ食生活
糖尿病のリスクが高まる食べ物、飲み物や食事の摂り方を教えてください
糖尿病のリスクを高める要因のひとつに、食事内容とその摂り方があります。例えば、白米やうどん、食パンなどの精製された炭水化物を大量に摂ると、血糖値が急激に上がりやすくなります。これらの食品は血糖値を上昇させやすい高GI食品と呼ばれ、糖尿病の予防を意識する際には注意が必要です。
また、清涼飲料水や加糖入りの缶コーヒー、ジュースなどには多量の糖分が含まれていることが多く、1回の摂取でも血糖値を大きく上昇させてしまう可能性があります。さらに、甘いお菓子やスナック菓子、揚げ物、加工食品などは脂質も多く含まれているため、摂りすぎるとインスリンの働きを悪化させ、糖代謝に悪影響を与えるおそれがあります。
食べ方にも注意が必要です。早食いや不規則な食事時間、食べすぎは、血糖値を乱す大きな要因になります。1日3食をなるべく決まった時間に、よく噛んで食べることが大切です。夕食が遅くなると血糖が下がりにくくなるため、就寝の2~3時間前までには食事を終えるようにしましょう。
糖尿病予防に効果がある食べ物や飲み物はありますか?
糖尿病予防に役立つ食材には、血糖値の上昇を穏やかにする作用のあるものが多くあります。なかでも、食物繊維を豊富に含む野菜、きのこ、海藻、豆類などは、糖の吸収をゆるやかにし、食後高血糖を防ぐのに効果的です。特に、食事の最初に野菜を食べるベジファーストは、血糖値の急上昇を抑える食べ方として注目されています。
また、大豆製品や青魚、鶏肉などに含まれるたんぱく質は、満腹感を得やすく、血糖値のコントロールにも役立ちます。糖質ばかりに偏らず、たんぱく質や脂質をバランスよく組み合わせることで、エネルギー源としての効率もよくなります。
飲み物は、糖分の入っていない水やお茶が基本です。特に緑茶や麦茶、ルイボスティーなどの無糖飲料は、食事との相性もよく、取り入れやすいといえるでしょう。スポーツドリンクや野菜ジュースも糖分を多く含む場合があるため、健康的と思っていても内容を確認することが大切です。
糖尿病の予防効果が期待できる生活習慣
糖尿病を予防するためにどのような運動をすればよいですか?
糖尿病予防において、運動習慣を持つことは大きな効果があります。運動は、血中のブドウ糖を筋肉が取り込んでエネルギーとして消費する働きを高めるため、血糖値の上昇を抑えるのに役立ちます。
特に有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが推奨されます。有酸素運動としては、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水中歩行などが代表的です。1回30分程度、週3〜5回を目標に継続することで、インスリンの感受性が改善するといわれています。
また、筋トレによって筋肉量を増やすことは、基礎代謝の向上につながり、血糖を効率よく利用できる身体づくりにもなります。スクワットや軽いダンベル運動、椅子を使った体幹トレーニングなど、自宅でできる簡単な内容から始めてみるのもよいでしょう。
日常のなかでも、エレベーターではなく階段を使う、1駅分歩いてみるといった小さな行動が積み重なって、血糖コントロールに貢献します。
糖尿病のリスクが低くなる適正体重を教えてください
糖尿病予防において、体重管理は重要なポイントです。適正体重はBMI(体格指数)を使って確認できます。BMI=体重(kg)÷身長(m)²で計算され、日本人では22前後が健康的とされています。例えば身長160cmの方なら、適正体重はおおよそ56kgです。
BMIが25以上になると肥満とされ、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクが高くなります。特に、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合は、内臓脂肪型肥満の可能性があり、より注意が必要です。
編集部まとめ
糖尿病は進行すると合併症を引き起こす可能性がありますが、2型糖尿病であれば生活習慣の改善で予防が可能です。日々の食事、運動、体重管理、睡眠やストレス対策など、小さな積み重ねが発症リスクを下げます。無理のない範囲で続けられる工夫をしながら、定期的な健康チェックも活用しましょう。
一人では難しい場合は、家族や医療・栄養の専門家のサポートを得ることも大切です。糖尿病予防は、将来の健康を守る自己管理の一歩。今日から少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。




