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「スマホ首の症状」はご存知ですか?初期症状や進行すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/09/04
「スマホ首の症状」はご存知ですか?初期症状や進行すると現れる症状も解説!
なんとなく首が重い、夕方になると肩こりがひどくなる、鏡を見ると顔が前に出て猫背になっているなどを年齢のせいや疲れのせいと片付けていませんか?実は、その不調の原因はスマートフォンやパソコンの長時間使用によるスマホ首かもしれません。

スマホ首とは、長時間うつむいた姿勢が続くことで、首の自然なカーブが失われ、痛みやこり、しびれなどが生じる病気です。スマホ首は放っておくと、日常生活に支障をきたすほどの不調へと進行することもあるため、早めの対策が重要です。

本記事では、スマホ首の基礎知識、初期症状のサイン、病院での検査や治療、自宅でできる対策までをQ&A形式で解説します。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

スマホ首の概要

スマホ首の概要

スマホ首とはどういう状態ですか?

スマホ首とは、長時間スマートフォンやパソコンを使用することで、首が前方へ突き出た姿勢が続き、頸椎(首の骨)の自然なカーブが減少してしまう状態のことを指します。

スマホ首の病名を教えてください

スマホ首という名称は一般的な通称であり、医学的な診断名ではありません。医療機関ではストレートネック頸椎前弯消失と診断され、画像検査で頸椎のカーブが失われていることが観察できます。

スマホ首はどのような原因で発症しますか?

スマホ首は、首を前に突き出した姿勢を長時間続けることで発症します。特にスマートフォンの使用時、視線が下がることで頭が前方に倒れ、首の後ろ側の筋肉が緊張し続けることが原因となります。 この負荷が積み重なると、筋肉のバランスが崩れ、頸椎の自然なカーブが減少してストレートネックへと進行することがあります。また、頭を60度前に傾けると、首に約27kgの負担がかかるとされており、姿勢の乱れが影響を強めます。

さらに、肩周りの筋力が低い、運動不足が続いているといった場合も、正しい姿勢を維持しにくくなり、スマホ首の原因につながる可能性があります。

スマホ首になりやすい人の特徴を教えてください

スマホ首になりやすい方には、以下のようにいくつかの傾向があります。

スマートフォンの長時間使用 画面を長時間見続けることで、首への負担が積み重なりやすくなる。

デスクワーク 長時間座りっぱなしになると猫背になり、頭が前に出る姿勢を無意識にとることが増える。

運動習慣が少ない 首の姿勢を支える筋力が不足していると、負担をうまく分散できず、ストレートネックになりやすくなる。

女性 男性よりも首まわりの筋肉量が少ない傾向のため、長時間同じ姿勢を続けると筋肉が疲れやすく、スマホ首を発症しやすい可能性がある。

スマホ首の症状とセルフチェック法

スマホ首の症状とセルフチェック法

スマホ首の初期症状にはどのようなものがありますか?

スマホ首の初期症状は、軽い違和感や疲労感から始まり、日常生活のなかで少しずつ現れてきます。首や肩がだるくなり、長時間のスマートフォン使用後に違和感を覚えることが増えるのが特徴です。 また、首や肩のコリや痛みが続き、背中のハリを感じるようになることもあります。初期段階では強い痛みを伴わないこともありますが、違和感が継続する場合は注意が必要です。

スマホ首が進行した際の症状を教えてください

スマホ首が進行すると、首や肩のコリが慢性化し、痛みが強くなることがあります。特に、首を後ろに反らしたときにつっぱるような痛みを感じることが増えます。

さらに、神経が圧迫されることで腕や手にしびれが出ることがあり、細かい動作がしづらくなることもあります。これらの症状が続く場合は、早めに姿勢を改善し、必要に応じて医療機関の受診を検討しましょう。

スマホ首は自覚症状以外に身体に影響を及ぼすことはありますか?

スマホ首は、首や肩の痛みだけにとどまらず、全体のバランスにも影響を及ぼすことがあります。姿勢が崩れることで、背中、腰、脚の筋肉に負担がかかり、腰痛や背部痛を引き起こすことがあります。

また、首を通る神経や血管が圧迫されると、自律神経が乱れ、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの症状が現れる可能性もあります。

スマホ首のセルフチェック方法を教えてください

スマホ首かどうかを簡単に確認する方法として、セルフチェックがあります。まず、壁に背を向けて立ち、踵(かかと)、お尻、背中、後頭部を壁につけるようにします。何も意識せずに後頭部が自然に壁につくかを確認します。このとき、後頭部が無理なく壁につく場合は、スマホ首の心配はありません。 しかし、後頭部が壁につかない、または壁につけようとすると首や背中に違和感がある場合は、スマホ首の兆候がある可能性があります。

ただし、このセルフチェック方法だけでは診断できないため、症状が気になる場合は専門医の受診をうけましょう。

スマホ首の検査と治療法

スマホ首の検査と治療法

スマホ首の検査方法を教えてください

スマホ首が疑われる場合、まず医師が症状の経過、生活習慣、痛みの種類を問診で確認します。その後、首の可動範囲や筋肉の緊張をチェックし、特に首を後ろに反らした際の痛みに注目します。 画像検査としては一般的にレントゲン検査を行い、検査の結果、頸椎の前弯が失われ、直線的になっていることが確認された場合、スマホ首と診断されることがあります。

病院ではスマホ首をどのように治療しますか?

スマホ首の治療は、姿勢の改善と生活習慣の見直しが基本となります。多くの原因は、前傾姿勢による首への負担が習慣化していることにあるため、以下の治療でこれらを修正することが重要です。

リハビリテーション ストレッチや筋力トレーニングを行って姿勢を改善させる。

薬物療法 消炎鎮痛剤の内服や湿布、ホットパック、低周波治療によって痛みを緩和させる。

神経ブロック注射(しびれがある場合) 炎症を抑え、神経への負担を軽減させる。

スマホ首は保存的治療で改善が見込まれるため、基本的に手術療法を選択することはありません。

スマホ首の自宅でできる対策

スマホ首の自宅でできる対策

スマホ首に対して日頃から気を付けることを教えてください

スマホ首を防ぐためには、日常生活のなかで姿勢を意識することが大切です。スマートフォンを操作する際は、顔を下に向けすぎず、画面を目の高さに近づけるように調整すると、首への負担を軽減できます。

さらに、長時間同じ姿勢を続けないことも重要です。首や肩に疲れを感じたら、一度立ち上がって肩を回したり、首を伸ばしたりする軽い体操を行うことで、筋肉や関節の緊張を和らげることができます。

スマホ首を悪化させる行動はありますか?

スマホ首を悪化させる多くの要因は、長時間の前かがみの姿勢です。特に、ベッドやソファで寝転がったままスマートフォンを使用する習慣があると、無意識のうちに首を大きく曲げる状態が続き、筋肉や関節に負担をかける可能性があります。

楽に感じる姿勢でも、実際には首に大きな負担をかけている場合があるため、注意が必要です。

スマホ首を改善するストレッチやエクササイズを教えてください

スマホ首の予防や改善には、姿勢の意識とストレッチが重要です。スマートフォンの使用時は画面を目の高さに近づけ、椅子に座る際は背筋を伸ばし、両足を床につけることで首への負担を減らせます。また、以下のような簡単なストレッチやエクササイズも有効です。

  • 首のストレッチ:背筋を伸ばして座り、首をゆっくり後ろへ倒し、天井を見る
  • 肩回し:肩を上下に動かし、左右に回すことで血流を促進させる
  • 肩甲骨エクササイズ:両腕を肩の高さに上げ、肩甲骨を背中側に寄せる動作を繰り返し行う

痛みが強い動作は無理に行わず、負担の少ない範囲で続けることが重要です。定期的なストレッチを取り入れ、スマホ首の予防や改善を心がけましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

 スマートフォンやパソコンの長時間使用が日常化した現代では、知らず知らずのうちに首へ負担がかかり、スマホ首と呼ばれる不調に悩む方が増えています。初期症状は首や肩の違和感やコリなど軽微なものですが、症状が進行すると痛みやしびれが現れ、自律神経の乱れへと悪化する可能性もあります。 スマホ首の予防や改善には、ストレッチや運動を取り入れて姿勢を見直すことが効果的です。ただし、痛みが強くなり日常生活に支障をきたす場合や、症状が改善しない場合は、整形外科を受診し、適切な検査や治療を受けることが重要です。

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