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「緑内障の検査方法」はご存知ですか?費用や検査にかかる時間も解説!【医師監修】

 公開日:2025/09/14
「緑内障の検査方法」はご存知ですか?費用や検査にかかる時間も解説!【医師監修】

緑内障は視力や視野に大きな影響を与える病気であり、早期発見・早期治療が重要です。とはいえ、「検査は痛いのでは?」「時間や費用は?」と不安に感じて検査をためらっている方も多いかもしれません。本記事では、そんな緑内障の検査内容や費用、検査後の流れまでを解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

緑内障の診断と検査

緑内障の診断と検査

緑内障の診断に必要な検査を教えてください

緑内障を診断するには、主に3つの検査が欠かせません。それは目の形を維持するための眼圧を測る眼圧検査、目の奥の視神経の状態を見る眼底検査、そして見える範囲を調べる視野検査です。この3つの結果を総合し、視神経の障害と視野の異常が一致していれば緑内障と診断されます。そのほかにも、隅角検査細隙灯顕微鏡検査、OCT (光干渉断層計)も行われ、緑内障のタイプやほかの目の状態を確認します。

眼圧検査とはどのようなことを行いますか?

眼圧検査では、目の内部の圧力(眼圧)が正常範囲かを調べます。検査方法には大きく2通りあり、点眼麻酔をしたうえで器具を目に軽く当てて測る方法と、空気をと吹きかけて角膜のたわみから測定する方法があります。多くの眼科では後者の非接触式の機械が使われることが多く、目に直接触れないので痛みはありません。空気が当たる瞬間に少し驚く程度で、検査自体は数分以内で終わり、その場ですぐ結果がわかります。眼圧が高いと視神経が圧迫され緑内障のリスクが上がるため、この検査は重要です。ただし、日本人の緑内障は正常な眼圧でも起こる場合(正常眼圧緑内障)が多く、眼圧検査だけで異常がなくても安心はできない点も覚えておきましょう。

眼底検査の内容を教えてください

眼底検査では、瞳孔から光を入れて目の奥(眼底)を観察し、視神経や網膜の状態を調べます。医師が専用のレンズや眼底カメラを用いて直接眼底をのぞき、視神経乳頭(視神経の出口)の形に異常がないか確認します。緑内障では視神経乳頭の中心部が陥凹して大きく見えるため、眼底検査でその徴候を確認します。必要に応じて瞳を開く目薬(散瞳薬)を使って詳しく観察することもあります。その際は検査後数時間は眩しく感じたりピントが合いにくくなりますが、検査自体に痛みはありません。

視野検査とはどのような検査ですか?

視野検査は、自分の目で見えている範囲(視野)に欠けや見えにくい部分がないかを調べる検査です。専用のドーム状の機械の前に座り、片眼ずつまっすぐ前の一点を見たまま、小さな光点が視界のあちこちに現れるのに合わせて、見えたと思ったらボタンを押し、これを繰り返して視野の状態を測定します。検査時間は片目あたりおよそ10〜15分、両目で合計30分ほどかかることが多く、集中力が必要なため少し疲れますが、視野の状態を把握するために欠かせない重要な検査です。特に、緑内障はかなり視野が欠けるまで自覚症状が出にくいため、眼底検査などで疑いがあれば視野検査を行って初期の見えない部分を発見します。視野検査によって、ごく初期の段階で本人が気付かない視野欠損を客観的にとらえ、緑内障の有無や進行度を確認できるのです。

緑内障の検査費用と所要時間

緑内障の検査費用と所要時間

緑内障の検査に必要な費用を教えてください

緑内障の検査は健康保険が適用されるため、自己負担3割の場合でおよそ2,000~3,000円が費用の目安です。検査内容や受診時の状況によって多少前後し、例えば初診料や追加検査が加わるともう少し費用がかかる場合もあります。金額だけ見ると不安かもしれませんが、重要な視機能を守るための検査ですので、気になる症状があれば早めに眼科で相談するとよいでしょう。自治体の検診や職場の健康診断で緑内障検査が無料・低額で受けられる場合もあるため、そうした機会もぜひ活用してみてください。

緑内障の検査にはどの程度の時間がかかりますか?

検査内容にもよりますが、所要時間はトータルで30分~1時間程度と考えておきましょう。視力測定や眼圧検査、眼底検査、視野検査など複数の検査を順番に行うため、受付から会計まで含めると1時間前後は見ておくのが無難です。特に、初めて受診する場合は問診や診察も丁寧に行われるため時間がかかることがあります。また、眼底検査で散瞳(瞳を広げる目薬使用)をした場合は、薬が効くまで15〜30分ほど待機時間が発生します。その日の状況によって前後しますが、余裕をもって1~2時間みておくと安心です。時間に余裕のあるときに予約・受診するとよいでしょう。

緑内障の検査結果がわかるまでの時間を教えてください

検査結果は基本的に当日その場でわかります。眼圧測定や眼底検査の所見は検査直後にわかり、視野検査も終了すればすぐに結果のデータが出ます。そのため、特別な病理検査のように結果が出るまで何日も待つ必要はありません。多くの場合、検査を終えて診察室に呼ばれた際に、医師からその日の検査結果について説明を受ける流れになります。視野検査の結果図や眼底写真を見せてもらいながら、異常の有無や緑内障の疑いについてその日のうちに教えてもらえるでしょう。ただし、検査項目が多かった場合などは後日あらためて詳しく説明となることもあります。それらは病院の方針によるため、どの程度の日数がかかるかはあらかじめ医療機関に確認しておくと安心です。

緑内障|検査後の流れ

緑内障|検査後の流れ

緑内障の検査が終わった後の流れを教えてください

検査が一通り終わったら、まず医師から結果の説明があります。異常がなく緑内障の心配がない場合は、今後の注意点や定期健診の予定などのアドバイスを受けて終了です。緑内障の疑いがある、または緑内障と診断された場合は、そのまま治療や経過観察の計画に進みます。具体的には、医師が現在の視神経の損傷程度や視野の状況を総合的に判断し、治療が必要と判断されればその場で治療方針の説明があります。初期であれば点眼治療を開始し、目薬の使い方指導を受けます。進行している場合や特殊なタイプの場合は、より詳しい検査や専門医療機関への紹介が行われることもあります。検査当日は緑内障かどうかの大まかな判断と方針説明までが行われ、必要に応じて次回予約を取って治療開始という流れになるでしょう。

緑内障はどのように治療しますか?

緑内障の治療は、残念ながら失った視野をもとに戻すことはできませんが、進行を食い止めることを目的に行われます。現在有効と確認されている唯一の方法は眼圧を下げることであり、まずは点眼薬(目薬)による治療が基本となります。眼圧を下げる効果のある目薬にはいくつか種類があり、患者さん一人ひとりで効き方が異なるため、一般的には1種類の点眼から開始し、効果を見ながら必要に応じて薬を追加・変更して適切な眼圧値を目指します。薬物療法で十分に眼圧が下がらない場合や、それでも視野が進行してしまう場合には、レーザー治療や手術によってさらに眼圧を下げる選択肢もあります、手術には目の排水路を広げる手術や、新たな排出口を作る手術など複数の方法があり、近年は低侵襲緑内障手術(MIGS)といった新しい術式も登場しています。治療方針は緑内障のタイプや進行度によって異なりますが、いずれも一生にわたって眼圧コントロールを続ける必要があります。定期的な検査と治療の継続で、視野障害の進行を抑えていくことが目標となります。

緑内障と診断された場合の受診頻度を教えてください

緑内障と診断された後は、定期的な通院がとても大切です。一般的には、治療開始直後の不安定な時期は月に1回程度の頻度で受診し眼圧確認を行います。目薬で眼圧が安定してきたら2ヶ月に1回程度に間隔を延ばしつつ、継続的に経過を観察します。また、視野検査については4〜6ヶ月に一度(半年に一度くらい)のペースで定期的に実施し、視野の変化がないか確認します。これらは目安であり、患者さんの緑内障の進行度合いやほかの病気の有無によって調整されます。医師と相談しながら、自分の症状に合った通院計画を立てることが重要です。緑内障は長く付き合う病気ですが、決められた頻度で受診し適切な治療を続けることで、多くの場合は失明に至るのを防ぐことができます。

編集部まとめ

編集部まとめ

 緑内障の検査は怖いものではなく、痛みもほとんど感じない検査内容です。眼圧検査・眼底検査・視野検査の3つを中心に行い、結果は当日中にわかるため不安を長く持ち越す必要もありません。費用も保険適用で数千円程度と大きな負担になりにくいので、少しでも視力や視野に不安があれば早めに眼科で検査してみましょう。仮に緑内障と診断されても、適切な治療と定期検査の継続によって多くの場合は視野障害の進行を遅らせることが期待できます。大切なのは早期発見・早期治療です。特に40歳以上の方は意識的に目の定期健診を受け、症状の自覚がなくても定期的にチェックする習慣を持つと安心です。大事な視力を守るために、ぜひ眼科検査を前向きに受けてみてください。

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