「逆流性食道炎になりやすい寝方」はご存知ですか?なりにくい寝方も解説!

逆流性食道炎は、胃の中の酸が食道へ逆流することで、胸やけや喉の不快感、咳などの症状を引き起こす病気です。日常生活のなかでよく見られる不調のひとつであり、慢性的に悩んでいる方も少なくありません。
このような症状には、食事やストレスなどの影響に加えて、寝るときの姿勢も関係していることがあります。特に睡眠中は胃酸が逆流しやすいため、どのような姿勢で眠るかが症状の出方に大きく影響します。
本記事では、逆流性食道炎と寝方の関係、避けた方がよい姿勢や生活習慣、そして症状の予防や軽減に役立つ工夫について、わかりやすく解説します。日常のなかでできる対策を知ることで、快適な睡眠と健康の維持につなげましょう。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
逆流性食道炎と寝方の関係

逆流性食道炎の症状と原因を教えてください
主な原因は、胃と食道の境目にある下部食道括約筋の機能低下です。下部食道括約筋は通常、胃酸の逆流を防ぐ弁のような働きをしていますが、加齢や肥満、妊娠、姿勢の変化などによってゆるみやすくなります。ほかにも食生活やストレス、特定の薬剤の使用なども要因となります。
逆流性食道炎の寝方にはどのような関係がありますか?
身体の向きによっても胃の位置関係は変わるため、どちらを下にして眠るかで、胃酸の流れ方に違いが出ます。これが寝方が逆流性食道炎と関わってくる大きな理由です。
寝方を誤ると誰でも逆流性食道炎になる可能性がありますか?
また、年齢や体型、消化機能の状態などによっては、もともと逆流しやすい体質であることもあります。こうした背景がある場合には、寝方の対策が特に重要になります。
逆流性食道炎になりやすい寝方

逆流性食道炎になりやすい寝方を教えてください
また、仰向けで寝た場合も、重力による逆流の防止が働きにくく、胃酸が食道にとどまりやすくなるため、症状が出やすい方には避けた方がよいとされています。
食事後に横になることで逆流性食道炎が生じやすくなりますか?
寝方以外にも逆流性食道炎になりやすい生活習慣はありますか?
また、腹部を締めつけるような服装、猫背の姿勢、過剰な腹圧をかける動作(重い荷物を持つ、強く息むなど)も逆流のリスクを高めます。ストレスや睡眠不足も消化機能に影響を与えるため、生活全体のバランスを整えることが大切です。
逆流性食道炎になりにくい寝方

逆流性食道炎になりにくい寝方はありますか?
夜間に胸やけやのどの不快感を覚えることが多い方は、寝る姿勢を見直すだけでも症状の軽減につながることがあります。就寝時には、できるだけ左側を下にして横向きで寝るよう意識してみましょう。
寝る向き以外の逆流性食道炎になりにくい寝方を教えてください
このような姿勢は、傾斜マットレスや上半身を支える専用のクッションを使うことで簡単に実現できます。また、頭だけを高くするのではなく、肩から背中にかけてなだらかな角度を保つことがポイントです。枕を高くしすぎると首や肩に負担がかかり、かえって睡眠の質が低下する可能性があるため注意しましょう。
寝方を改善するだけで逆流性食道炎は改善しますか?
ただし、胃や食道にすでに炎症が進んでいる場合や、日中も頻繁に症状が出るような場合には、寝方だけの対策では不十分です。そうしたときは、市販薬に頼るのではなく、消化器内科などの専門医を受診し、原因に応じた治療を受けることが大切です。
寝方の工夫は、生活習慣のひとつとして予防や軽症のケアには役立ちますが、症状が続く場合には医療機関での診察が必要です。
寝方以外の逆流性食道炎を治療する方法を教えてください
加えて、日常的な生活習慣の改善も治療の一環として重要です。適正体重の維持、禁煙、飲酒の制限、ストレスの管理、就寝前の食事制限など、症状を引き起こしにくい環境を整えることが治療の効果を高めます。
編集部まとめ

逆流性食道炎は、寝る姿勢によって症状が悪化することがあります。特に右側を下にした寝方や仰向け、食後すぐに横になる習慣は、胃酸の逆流を招きやすいため注意が必要です。
一方で、左側を下にして寝る姿勢(左側臥位)や、上半身を少し高くした寝方は、胃酸の逆流を抑える効果が期待できます。これらはすぐに始められる対策のひとつです。
症状が続く場合は、寝方だけでなく生活習慣の見直しや医療機関での相談も検討しましょう。無理なくできる習慣から取り入れて、快適な睡眠を目指してみてください。



