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「逆流性食道炎になりやすい寝方」はご存知ですか?なりにくい寝方も解説!

 公開日:2025/09/21

逆流性食道炎は、胃の中の酸が食道へ逆流することで、胸やけや喉の不快感、咳などの症状を引き起こす病気です。日常生活のなかでよく見られる不調のひとつであり、慢性的に悩んでいる方も少なくありません。

このような症状には、食事やストレスなどの影響に加えて、寝るときの姿勢も関係していることがあります。特に睡眠中は胃酸が逆流しやすいため、どのような姿勢で眠るかが症状の出方に大きく影響します。

本記事では、逆流性食道炎と寝方の関係、避けた方がよい姿勢や生活習慣、そして症状の予防や軽減に役立つ工夫について、わかりやすく解説します。日常のなかでできる対策を知ることで、快適な睡眠と健康の維持につなげましょう。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

逆流性食道炎と寝方の関係

逆流性食道炎と寝方の関係

逆流性食道炎の症状と原因を教えてください

逆流性食道炎では、胃酸や消化酵素の食道への逆流により、胸やけ、喉のつかえ感、呑酸(酸っぱい液体がこみ上げる感じ)、慢性的な咳や声のかすれなどが見られます。これらの症状は、食道の粘膜が胃酸によって刺激されることで引き起こされます。

主な原因は、胃と食道の境目にある下部食道括約筋の機能低下です。下部食道括約筋は通常、胃酸の逆流を防ぐ弁のような働きをしていますが、加齢や肥満、妊娠、姿勢の変化などによってゆるみやすくなります。ほかにも食生活やストレス、特定の薬剤の使用なども要因となります。

逆流性食道炎の寝方にはどのような関係がありますか?

横になって眠っている間は、胃酸が重力で下へととどまる働きが弱まり、食道へ逆流しやすくなります。特に食後すぐや、胃に内容物が多く残っている状態で寝ると、胃の内圧が高まり、逆流が起こりやすくなります。

身体の向きによっても胃の位置関係は変わるため、どちらを下にして眠るかで、胃酸の流れ方に違いが出ます。これが寝方が逆流性食道炎と関わってくる大きな理由です。

寝方を誤ると誰でも逆流性食道炎になる可能性がありますか?

胃酸の逆流は一時的に起こることもあり、誰でも経験することがあります。とはいえ、寝る姿勢が不適切だったり、日常生活のなかで胃に負担がかかる行動が続いたりすると、症状が慢性化し、逆流性食道炎を発症する可能性があります。

また、年齢や体型、消化機能の状態などによっては、もともと逆流しやすい体質であることもあります。こうした背景がある場合には、寝方の対策が特に重要になります。

逆流性食道炎になりやすい寝方

逆流性食道炎になりやすい寝方

逆流性食道炎になりやすい寝方を教えてください

右側を下にして寝る姿勢(右側臥位)は、逆流性食道炎の症状を悪化させやすいといわれています。これは、胃の構造と位置が関係しています。胃の入口にあたる噴門は右上にあり、右側を下にして寝ると、胃の中の内容物や胃酸が噴門の方に集まりやすくなるため、食道へ逆流しやすくなるのです。

また、仰向けで寝た場合も、重力による逆流の防止が働きにくく、胃酸が食道にとどまりやすくなるため、症状が出やすい方には避けた方がよいとされています。

食事後に横になることで逆流性食道炎が生じやすくなりますか?

食後は胃が活発に働いており、胃酸の分泌も多くなっています。その状態で横になると、胃の中の内容物が食道に押し戻されやすくなり、逆流性食道炎の症状が出やすくなります。食後2〜3時間は横にならずに座って過ごすか、軽く身体を動かすなどして、胃の内容物が十分に消化されるのを待つことがすすめられます。

寝方以外にも逆流性食道炎になりやすい生活習慣はありますか?

例えば、脂肪分の多い食事や早食い、夜遅い時間の食事は、胃の負担を増やすため逆流を引き起こしやすくなります。さらに、アルコールや喫煙も下部食道括約筋の働きを弱め、逆流を増悪させることがあります。

また、腹部を締めつけるような服装、猫背の姿勢、過剰な腹圧をかける動作(重い荷物を持つ、強く息むなど)も逆流のリスクを高めます。ストレスや睡眠不足も消化機能に影響を与えるため、生活全体のバランスを整えることが大切です。

逆流性食道炎になりにくい寝方

逆流性食道炎になりにくい寝方

逆流性食道炎になりにくい寝方はありますか?

逆流を防ぐ寝方としてすすめられているのが、左側を下にして横向きに寝る姿勢(左側臥位)です。人の胃は身体の左側にふくらんでいて、前述のとおり、胃の入口にあたる部分(噴門)は右上にあります。左側を下にすることで、胃の内容物が自然に噴門から離れた場所におさまるため、横になっているあいだも胃酸が食道へ戻りにくくなるのです。

夜間に胸やけやのどの不快感を覚えることが多い方は、寝る姿勢を見直すだけでも症状の軽減につながることがあります。就寝時には、できるだけ左側を下にして横向きで寝るよう意識してみましょう。

寝る向き以外の逆流性食道炎になりにくい寝方を教えてください

寝る向きに加えて、上半身を少し高くする姿勢も有効です。15〜20cm程度、肩から背中にかけて緩やかな傾斜をつけると、重力の助けで胃酸が下に留まりやすくなり、食道への逆流を抑える効果が期待できます。

このような姿勢は、傾斜マットレスや上半身を支える専用のクッションを使うことで簡単に実現できます。また、頭だけを高くするのではなく、肩から背中にかけてなだらかな角度を保つことがポイントです。枕を高くしすぎると首や肩に負担がかかり、かえって睡眠の質が低下する可能性があるため注意しましょう。

寝方を改善するだけで逆流性食道炎は改善しますか?

逆流性食道炎の症状が軽い場合は、寝る姿勢を見直すことで症状がやわらぐことがあります。特に、夜間に胸やけや喉の違和感が出やすい方には、左側を下にして寝る、上半身を少し高くして寝るといった工夫が、逆流を防ぐのに役立つ場合があります。

ただし、胃や食道にすでに炎症が進んでいる場合や、日中も頻繁に症状が出るような場合には、寝方だけの対策では不十分です。そうしたときは、市販薬に頼るのではなく、消化器内科などの専門医を受診し、原因に応じた治療を受けることが大切です。

寝方の工夫は、生活習慣のひとつとして予防や軽症のケアには役立ちますが、症状が続く場合には医療機関での診察が必要です。

寝方以外の逆流性食道炎を治療する方法を教えてください

医療機関では、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー)などが処方されることがあります。また、消化管の運動を改善する薬や、食道の炎症を抑える薬が使われることもあります。

加えて、日常的な生活習慣の改善も治療の一環として重要です。適正体重の維持、禁煙、飲酒の制限、ストレスの管理、就寝前の食事制限など、症状を引き起こしにくい環境を整えることが治療の効果を高めます。

編集部まとめ

編集部まとめ

 逆流性食道炎は、寝る姿勢によって症状が悪化することがあります。特に右側を下にした寝方や仰向け、食後すぐに横になる習慣は、胃酸の逆流を招きやすいため注意が必要です。

一方で、左側を下にして寝る姿勢(左側臥位)や、上半身を少し高くした寝方は、胃酸の逆流を抑える効果が期待できます。これらはすぐに始められる対策のひとつです。

症状が続く場合は、寝方だけでなく生活習慣の見直しや医療機関での相談も検討しましょう。無理なくできる習慣から取り入れて、快適な睡眠を目指してみてください。

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