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「麻疹」を発症すると現れる「症状」はご存知ですか?潜伏期間も解説!【医師監修】

 公開日:2026/01/18
「麻疹」を発症すると現れる「症状」はご存知ですか?潜伏期間も解説!【医師監修】

麻疹(はしか)は、感染力が強いウイルス性の疾患です。かつては日本国内でも広く流行し、子どもの命を脅かす重大な病気でしたが、予防接種の普及により近年では患者数は大幅に減少しました。

それでもなお、ワクチン未接種者や若年層、外国からの帰国者を中心に麻疹の発症が見られます。

また、麻疹は肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすため注意が必要です。この記事では、麻疹の原因から症状、治療法まで詳しく解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

麻疹(はしか)の原因や感染経路

麻疹(はしか)の原因や感染経路

麻疹とはどのような病気ですか?

麻疹は発熱・発疹・咳を主症状とする、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。
感染者の咳やくしゃみで飛散したウイルスが空気中に放出され、ほかの人がそれを吸い込むことによって飛沫感染します。感染力が強く、免疫を持たない人が感染者と同じ空間にいると、90%以上の確率で感染するとされています。麻疹は子どもの病気というイメージがありますが、乳幼児から大人まで幅広い年齢層で発症する疾患です。特に、免疫力が弱い乳幼児や栄養状態が悪い人は重症化しやすいでしょう。WHOの報告によると、世界的に5歳未満の子どもの死亡原因の上位に挙げられており、医療環境が整っていない地域では多くの死亡者を出しています。日本では予防接種の普及により患者数は大幅に減少しましたが、依然として海外からの流入をきっかけに小規模な流行が発生しています。

原因となるウイルスを教えてください。

麻疹の原因は麻疹ウイルス(Measles virus)で、パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に分類されるRNAウイルスです。麻疹ウイルスはヒトのみに感染し、免疫を持たない人々の間で急速に広がります。一度感染すると終生免疫を獲得できるため、予防接種で発症を防ぐことが可能です。麻疹ウイルスは不安定で体外では長時間生存できませんが、空気中の飛沫に含まれる間は感染力を保ち続けます。その一方で、紫外線や熱、一般的な消毒薬には弱く短時間で不活化されます。

麻疹の感染経路を教えてください。

麻疹の主な感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染の3つです。空気感染は感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散ったウイルスを含む微粒子を吸い込む感染のことです。感染者がいた部屋にその人がいなくなった後でも、2時間ほどは感染力を保持します。飛沫感染は感染者の咳やくしゃみの際に、飛び散る唾液や鼻水に含まれるウイルスを吸い込む感染のことです。接触感染は感染者が触れた物に触れることで、ウイルスが手に付着し、その手でお口や鼻を触ることで感染します。麻疹は、感染者が発症する前から感染力を持っており、発症前の潜伏期末期から発疹が出た後の4日間ほどまで感染が広がります。特に発症初期(カタル期)は感染力が強く、まだ麻疹と診断されていない時期でも知らず知らずのうちに感染を広げてしまうリスクが高いでしょう。

麻疹の潜伏期間はどのくらいですか?

麻疹の潜伏期間は通常10〜12日程度ですが、個人差があり、8日から14日程度の幅があります。潜伏期間はウイルスに感染してから初期症状(カタル症状)が現れるまでの期間のことです。潜伏期間中は自覚症状がないため、感染していることに気付かず、他者に感染を広げてしまう可能性があります。潜伏期間の終わり頃から、すでに感染力を持つため注意が必要です。また、免疫不全状態や栄養状態が悪い患者さんでは潜伏期間が長くなることがあり、逆に多量のウイルスに曝露された場合は潜伏期間が短くなることもあります。

麻疹(はしか)の症状や合併症

麻疹(はしか)の症状や合併症

麻疹にかかるとどのような症状が出ますか?

麻疹の症状は時期によって特徴が異なり、大きく以下の3つの段階で進行します。発症初期の3~4日間はカタル期と呼ばれ、38度前後の高熱・鼻水・咳といった風邪症状が見られます。この時期の後半には口腔内にコプリック斑が出現することが特徴です。次の発疹期は4~5日間続き、40度前後の高熱と耳の後ろ側から顔面・体幹・全身へと広がる赤い発疹が出現します。それから7~10日間ほどの回復期を経て、寛解します。

麻疹の症状が回復するまでどのくらいかかりますか?

麻疹の症状が完全に回復するまでには、個人差はありますが、2〜3週間程度かかるのが一般的です。ただし、すべての症例が順調に回復するわけではなく、免疫力が低下している人や高齢者などでは重篤化する可能性があります。特に肺炎や脳炎などの重篤な合併症が生じた場合は、数週間から数ヶ月の治療期間が必要です。また、免疫機能が麻疹感染後に一時的に低下するため(麻疹後免疫不全)、ほかの感染症にかかりやすくなる期間が2〜3ヶ月続くことがあります。

麻疹の合併症について教えてください。

麻疹は合併症を引き起こすことがあり、特に免疫力が低下している人や乳幼児に多く発症します。主な合併症は以下のとおりです。

  • 気管支炎:高頻度で発症する合併症
  • 肺炎:麻疹ウイルスが肺に感染して起こる合併症
  • 中耳炎:麻疹が原因で耳のなかに炎症が起こり発症する合併症
  • 脳炎:麻疹ウイルスが脳に感染して起こる合併症
  • 亜急性硬化性全脳炎(SSPE):感染後数年してから発症し致死率が高い脳の変性疾患

また、妊娠中の麻疹は流産や早産などの胎児への影響を引き起こすなど、合併症が発生した場合には速やかに適切な治療を受ける必要があります。

麻疹(はしか)の治療法や予防法

麻疹(はしか)の治療法や予防法

医療機関での治療方法を教えてください。

麻疹には特効薬はなく、治療は主に症状を和らげる対症療法が中心となります。発熱や咳には解熱剤や鎮咳薬を使用し、十分な水分補給と休養も重要です。細菌による二次感染を防ぐために、抗生物質が投与されることがあります。合併症が起きた場合には、それぞれの症状に合わせた治療が必要です。例えば、肺炎や中耳炎などの感染症には抗生物質が処方され、肺炎が重症化した場合には入院して抗生物質の点滴や酸素吸入が行われることがあります。重症化を防ぐためにも、早期に医療機関を受診することが重要です。

麻疹を予防する方法はありますか?

麻疹の予防には予防接種が効果的です。ワクチンは安全性が高いため、接種が可能な人は積極的な接種が推奨されています。日本ではMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の定期接種が実施されています。1歳時と小学校入学前の1年間の2回が推奨されており、2回の接種でほとんどの人が麻疹に対する免疫を獲得することが可能です。また、キャッチアップ接種も推奨されています。これは定期接種を逃した場合などに任意で接種を受けることができる制度です。特に、定期接種の機会が1回しかなかった1990年4月2日〜2000年4月1日生まれの方や海外渡航予定のある方、妊娠を希望する女性などが対象となります。ワクチンの接種歴や免疫の有無が不明な場合は抗体検査で確認できます。

マスクの着用は麻疹の予防に有効ですか?

マスクの着用だけで麻疹の感染を完全に防ぐことは困難です。麻疹ウイルスは小さく、一般的な不織布マスクやサージカルマスクの素材を通過してしまいます。だからといって、マスクの着用はまったくの無意味ということではありません。感染者がマスクを着用することで、咳やくしゃみによるウイルスの飛沫拡散をある程度抑制する効果は期待できます。一方、医療用のN95マスクはより小さな粒子も通過しない構造です。空気感染に対しても一定の効果があるため、麻疹患者に接する機会が多い医療従事者はN95マスクの着用が推奨されています。このようにマスクの着用は麻疹の予防において一定の効果はありますが、重要なのは予防接種を受けることです。特に免疫を持たない人は、早急にワクチン接種を検討することが強く推奨されます。

編集部まとめ

女医とママ

麻疹は感染力が強いウイルス性疾患で、感染すると発熱や発疹などの症状が現れます。麻疹を予防するには予防接種が効果的な手法であり、接種を受けることで免疫を獲得できます。

予防接種を受けていない場合や免疫力が低下している人は麻疹に感染するリスクが高まるだけでなく、感染した場合に重篤化しやすいことも特徴です。

麻疹は空気感染するため、感染者と同じ空間にいるだけでも感染する可能性があります。流行地域への渡航前には、事前にワクチン接種歴を確認し、必要に応じて接種を受けることが必要です。

感染後の治療は症状を緩和することが中心になります。重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、感染が疑われる場合は速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

この記事の監修医師