「インフルエンザB型の初期症状」はご存知ですか?A型・C型の違いも解説!
更新日:2025/03/05

インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3つの種類があり、主にA型とB型が流行しやすいとされています。 本記事ではインフルエンザB型の初期症状について以下の点を中心にご紹介します。
- インフルエンザB型について
- インフルエンザB型の初期症状や特徴
- インフルエンザB型の検査と治療

監修医師:
吉川 博昭(医師)
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医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。
目次 -INDEX-
インフルエンザB型について
インフルエンザB型とは何ですか?
インフルエンザB型は、「B型インフルエンザウイルス」によって引き起こされる感染症です。感染後1〜3日間の潜伏期間を経て、発熱(38度以上)、頭痛、関節痛、倦怠感、のどの痛み、鼻水、咳などの症状が現れます。
B型インフルエンザは、A型と比べて症状が軽い場合が多く、発熱がないことや風邪に似た症状のみで済むこともあります。しかし、気付かないうちに周囲へ感染を広げる可能性があるため、注意が必要です。
インフルエンザB型とA型・C型の違いを教えてください
インフルエンザはA型・B型・C型の3種類があり、それぞれ症状の特徴や時期、感染範囲が異なります。
A型は変異しやすく、鳥やブタなど動物にも感染するのが特徴です。高熱(38〜40度)、悪寒、関節痛が強く、毎年11月〜3月に感染者数が増加します。
B型はヒトのみが感染し、変異の頻度は少なく、A型より症状が軽いことが多いとされていますが、下痢や腹痛といった消化器症状がみられることもあります。B型は、2月〜春先に見られますが、夏に感染することもあります。
C型は主に子どもが感染し、一度かかると免疫がつくため、大人が再感染することはほとんどないといわれています。症状は軽く、発熱や咳、鼻水が中心で、風邪と区別がつきにくいことが特徴です。
このように、それぞれの型には異なる特徴があるため、適切な予防対策を心がけることが大切です。
インフルエンザB型の感染力はどのくらいでしょうか?
インフルエンザB型は家庭内での感染率が高いとされ、家族の誰かが感染すると同居する家族にも広がりやすい傾向があります。
また、B型は消化器症状(下痢・嘔吐)を伴うことが多いとされているため、飛沫感染だけでなく、嘔吐物や便を介した接触感染にも注意が必要です。
B型は2月〜4月頃にピークを迎えることが多いとされていますが、特に子どもや若年層での感染が目立つため、注意が必要です。
インフルエンザB型の初期症状や特徴
インフルエンザB型の初期症状を教えてください
インフルエンザB型は、A型とは異なる特徴的な初期症状がみられます。
B型は消化器系の症状が多く、下痢や腹痛、吐き気などのお腹の不調が初期に現れることがあります。これに加えて、発熱(38度前後)、全身の倦怠感、のどの痛み、鼻水、咳などのインフルエンザの症状が見られることもあります。
A型のように急激な高熱や関節痛が目立ちにくいこともあり、症状が軽いため風邪と勘違いしやすいため注意が必要です。特に、お腹の不調がある場合は、インフルエンザB型の可能性も考え、早めの受診を検討しましょう。
インフルエンザB型の症状に特徴はありますか?
インフルエンザB型は、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状が現れやすいのが特徴です。なかでも、小児では症状が強く出やすく、脱水症状に注意が必要とされています。
また、B型はA型よりも高熱(39度以上)を伴わないことが多く、微熱(38度以下)や倦怠感が続くケースがみられます。そのため、風邪と間違えてしまうこともありますが、数日後に発熱が現れることもあるため注意が必要です。
さらに、B型はA型より症状が長引く傾向があり、長期間にわたって微熱や消化器症状が続くことがあります。発熱がないからといってインフルエンザではないと判断せず、全身の倦怠感や関節痛などの症状がある場合は、感染対策を行い早めに受診することをおすすめします。
インフルエンザB型が重症化するとどうなりますか?
インフルエンザB型は、適切な治療や自宅療養で回復します。しかし、なかには、肺炎やインフルエンザ脳症などの重い合併症を引き起こし、入院が必要になることもあります。
① 肺炎
高齢者に多く、インフルエンザによる炎症で気道粘膜が傷つくことで、肺炎球菌などの細菌が感染しやすくなります。咳が長引く、息苦しいといった症状がある場合は注意が必要です。
② インフルエンザ脳症
1〜5歳の幼児に多く、過剰な免疫反応が原因と考えられています。けいれん、意識障害、異常行動などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
特に高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患を持つ方は重症化しやすいため、早めの治療と予防が重要です。
インフルエンザB型の検査と治療
インフルエンザB型の検査方法について教えてください
インフルエンザB型の診断には、主に以下の4つの検査方法が用いられます。
① 迅速診断キット
喉や鼻の奥を綿棒でこすり、ウイルスの有無を調べる検査です。10〜15分程度で結果が判明し、A型・B型の判別も可能なため、広く用いられています。ただし、発症直後ではウイルス量が少なく、陰性と出ることがあるため、適切な検査タイミングが重要です。
② PCR検査
ウイルスの遺伝子を解析する検査で、迅速診断よりも精度が高く、型や構造を詳細に判定できます。新型ウイルスの特定にも使用されますが、結果が出るまでに時間がかかるのがデメリットです。
③ ウイルス分離検査
喉や鼻から採取した検体を培養し、ウイルスを分離・特定する方法です。詳細なウイルス情報が得られますが、結果が出るまでに1週間程かかるため、使用しないケースもあります。
④ 血清抗体検査
発症後1週間以内と回復後の2回採血し、抗体の増加を調べる検査です。ただし、結果が出るまでに2週間程度かかるため、現在の感染診断にはほとんど用いられていません。
迅速診断キットが多く使用されますが、検査のタイミングや症状の進行具合に応じて、適切な検査を受けることが重要です。
インフルエンザB型はどのように治療しますか?
インフルエンザB型の治療には、抗インフルエンザ薬を用いた「薬物療法」と、症状を和らげるための「対症療法」の2つが基本となります。
① 抗インフルエンザ薬による治療(薬物療法)
抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。発症から48時間以内に服用を開始することが重要とされており、48時間を過ぎると効果が十分に発揮されない可能性があります。これらの薬は医療機関で処方されるもののみで、市販薬ではインフルエンザの治療はできません。
② 症状を和らげる治療(対症療法)
対症療法は、発熱、頭痛、咳などの症状を軽減するための治療です。高熱がある場合には解熱剤が使用されることがありますが、一部の解熱鎮痛薬はインフルエンザ脳症のリスクを高めるため、自己判断で使用せず医師に相談することが大切です。また、細菌による二次感染が疑われる場合には抗生物質が処方されることもあります。
水分補給や安静も回復を早めるため、適切なケアを心がけましょう。
インフルエンザB型の予防方法は何ですか?
インフルエンザB型を防ぐためには、ワクチン接種、日常の衛生管理、免疫力の維持が重要です。
① ワクチン接種
インフルエンザワクチンは、すべての発症は予防できませんが、感染した場合の重症化リスクを軽減する効果が期待できます。なかでも、高齢者、幼児、基礎疾患を持つ方は重症化しやすいため、毎年の接種が推奨されます。
② 手洗い・うがい・マスクの着用
インフルエンザB型は、飛沫感染と接触感染で広がるため、こまめな手洗いがウイルスの拡散を防ぎます。また、外出時や人混みではマスクを着用し、帰宅後のうがいも習慣づけると感染予防に役立ちます。
③ 免疫力を高める生活習慣
身体の抵抗力を高めるためには、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動が大切です。なかでも、ビタミンCやタンパク質を含む食事を意識し、体調管理を徹底しましょう。
④ 室内の湿度管理
インフルエンザウイルスは乾燥した環境で活性化しやすいため、加湿器を利用するなどして室内の湿度を50〜60%に保つと、感染リスクを低減できます。
これらの対策を組み合わせ、インフルエンザB型の感染を防ぎましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
インフルエンザB型は、発熱や咳に加え、下痢や腹痛などの消化器症状を伴うことがあるのが特徴です。A型よりも症状が軽いこともありますが、長引く傾向があり、重症化すると肺炎や脳症などの合併症を引き起こすリスクもあるため、正しい知識を身につけて、インフルエンザのシーズンを健康に乗り切りましょう。
編集部まとめ
ここまでインフルエンザB型の初期症状についてお伝えしてきました。インフルエンザB型の初期症状の要点をまとめると以下のとおりです。
- インフルエンザB型は「B型インフルエンザウイルス」が体内に侵入し、気道や肺で増殖することで発症する感染症のこと
- インフルエンザB型は人間にしか感染せず、動物を介した変異が起こらない
- インフルエンザB型の初期症状として、下痢や腹痛、吐き気などのお腹の不調が挙げられる
参考文献