「手足口病の潜伏期間」はどれくらい?感染経路や症状も解説!【医師監修】
手足口病は、子どもを中心に感染が広がりやすい病気ですが、発症するまでの潜伏期間や具体的な症状、適切な対処法について知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では手足口病の潜伏期間について以下の点を中心にご紹介します。
・手足口病の基礎知識
・手足口病にかかったとき
・手足口病の予防法
手足口病の潜伏期間について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
目次 -INDEX-
手足口病の基礎知識
手足口病とはどのような病気ですか?
原因はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスで、複数の種類が存在するため、何度も感染することがあります。
患者さんの多くは5歳未満の子どもで、小児が80%程度を占めていますが、小学生やまれに大人にも感染することがあります。感染するとお口のなかや手足に水疱を伴う発疹が現れ、痛みを伴う場合もあります。
重症化することは少ないものの、まれに髄膜炎などを引き起こすこともあるため、症状が見られた際には早めに医療機関を受診することが推奨されます。
手足口病の潜伏期間と症状を教えてください
発熱は患者さんの3分の1程度に見られますが、多くは38度以下の微熱で、高熱が続くケースは稀です。症状は1週間程度で軽快し、患者さんは3〜7日で回復します。
ただし、お口のなかの水疱がつぶれて口内炎になると、食事や水分摂取が困難になり、脱水症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。また、まれに髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
なかでも、エンテロウイルス71に感染した場合、中枢神経系の症状が現れることがあるため警戒が必要です。
さらに、回復後1〜2ヶ月以内に手足の爪が自然に脱落するケースがされていますが、新しい爪が生えてくるため特別な治療は不要とされています。症状が重い場合や不安がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
手足口病の感染経路を教えてください
飛沫感染は、患者さんの咳やくしゃみ、会話の際に飛び散った唾液の飛沫を鼻や口から吸い込むことで感染するものです。保育園や幼稚園などでは、子ども同士の距離が近いため、飛沫感染が広がりやすい環境です。
接触感染は、手すりやドアノブなどに付着したウイルスに触れ、その手を介して目や鼻、お口にウイルスが入ることで起こります。手洗いや物の消毒が予防の鍵となります。
また、糞口感染では、患者さんの便に含まれるウイルスが手を介してお口に入り、感染を引き起こします。おむつ交換の際は手洗いを徹底し、衛生管理を行うことが重要です。
特効薬がない手足口病は、感染を防ぐために日常的な予防対策を心がけることが大切です。
手足口病にかかったとき
手足口病にかかったときの対処法を教えてください
まず、口内炎が痛む際には、鎮痛薬や粘膜保護剤の軟膏が処方されることがあります。飲食の際は、酸味や塩味の強い食品を避け、ゼリーやプリンなどの口どけのよいものを選ぶとよいでしょう。
また、口内の痛みから食事や水分を摂取しづらくなることがあるため、脱水症状を防ぐために水分補給をこまめに行うことが重要です。冷たい飲み物ややわらかい食事を工夫し、無理なく栄養を摂るよう心がけてください。
さらに、発熱や頭痛、おう吐が続く場合は、早めに主治医へ相談することが大切です。
手足口病にかかったときに登園や登校はいつからできますか?
ただし、登園や登校の具体的な基準は園や学校によって異なるため、通っている施設に確認することが大切です。
したがって、手足口病は集団生活で広がりやすいため、周囲への配慮として症状の回復をしっかり確認してから登園・登校するようにしましょう。
手足口病の合併症で注意すべきポイントや受診の目安を教えてください
具体的には、高熱が続く、頭痛や嘔吐がある、視線が合わない、呼びかけに反応しない、呼吸が速い、水分が取れずおしっこが出ない、ぐったりしている、などの症状です。髄膜炎は強い頭痛や吐き気が特徴で、重症化すると入院が必要になることがあります。
また、脳炎では意識の悪化や痙攣、心筋炎では不整脈や低血圧が起こる可能性があり、これらの症状が現れた場合も注意が必要です。
受診の目安として、子どもの様子が普段と違う場合や症状が長引く際は、早めの対応が重要です。迷った場合は”#8000(こども医療電話相談)”に相談するのも一つの方法です。
手足口病の予防法
手足口病の伝染力はどのくらいの期間ありますか?
唾液には1〜3週間、便には2〜8週間ウイルスが含まれるため、症状が治まった後も感染源となる可能性があります。なかでも、子どもはウイルスを排出しやすいため、感染を広げないよう注意が必要です。
回復後も便からのウイルス排出が続くため、トイレ後の手洗いは徹底し、家庭内でも共有物の消毒を行うことが推奨されます。
手足口病の予防法を教えてください
また、タオルの共用は避け、清潔なものを使うよう心がけてください。便には長期間ウイルスが排出されるため、おむつを適切に処理し、排泄物に触れた後は手洗いの徹底が大切です。さらに、咳エチケットを守り、飛沫感染を防ぐためにマスクの着用が推奨されています。
環境消毒も予防の一環として重要で、手すりやおもちゃなど、手が触れる場所はこまめに拭き取り消毒しましょう。
手足口病にはワクチンや予防薬がないため、日頃から手洗いや衛生管理を習慣づけ、感染拡大を防ぐ意識が大切です。
大人も手足口病に対する感染予防が必要ですか?
主に家庭内や職場で子どもから大人へ感染するケースが多く、無症状のまま感染を広げることもあるため注意が必要です。大人が感染すると、子どもよりも症状が重くなることがあり、発疹の痛みが強く出たり、足裏に発疹が現れると歩行が困難になる程痛むこともあります。
また、発熱が40度近くまであがることがあり、倦怠感や筋肉痛、関節痛など全身症状が伴うこともあります。
日頃から石けんと流水による手洗いを徹底し、タオルの共用を避けることが基本的な予防法です。おむつ交換後やトイレ後は手洗いを欠かさず、咳エチケットを守り、感染拡大を防ぎましょう。
風邪に似た症状や発疹が出た場合は、早めに医療機関を受診し、感染の拡大を防ぐことが大切です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また、重症化を防ぐためにも症状が続く場合や気になる症状が現れた際には、早めに医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
ここまで手足口病の潜伏期間についてお伝えしてきました。手足口病の潜伏期間の要点をまとめると以下のとおりです。
・手足口病は夏季に発症しやすいウイルス性感染症で、口内や手足に水疱が現れ、飛沫・接触・糞口感染を経て広がるため手洗いが予防の鍵である
・手足口病は特効薬がなく対症療法が中心で、脱水予防や症状観察が重要であり、重症化時は早期受診が必要である
・足口病の予防には手洗い、咳エチケット、環境消毒を徹底し、排泄物を適切に処理して感染拡大を防ぐことが重要である
手足口病は、子どもを中心に発症する病気ですが、大人にも感染することがあり、日頃の予防や適切な対処が大切です。
また、気になる症状や重症化の兆しがあれば、早めに医療機関を受診することが重要です。
この記事が、手足口病に関する理解を深め、ご家族の健康を守る一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。