「ADHDの特徴」はご存知ですか?小児のADHDの割合も解説!【医師監修】
ADHDは発達障害のひとつです。乳幼児期では言葉の遅れや落ち着きのなさなどの症状があり、発達に偏りが見られることがあります。
一方でこのような症状は乳幼児では一般的に見られることであり、発達の遅れなども個人差があります。
そのため、発達障害と断定されることは少なく、発達障害の可能性ありなどで済まされるケースも少なくありません。
そのため、子ども時代には見過ごされた注意力散漫などの問題が大人になって目立つようになりADHDと診断されるケースも少なくありません。
この記事では、ADHDの原因や特徴や接し方、大人のADHDについて解説します。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
ADHD(注意欠如・多動性障害)の原因や特徴
ADHDの原因を教えてください。
ADHDの特徴を教えてください。
- 集中力散漫
- うっかりミス
- 気が散りやすい
- 忘れ物が多い
- 順序だてて取り組むのが苦手
- じっとしていられない
- 順番が待てないおしゃべり
- 衝動的な行動
- 人の邪魔をする
主に幼年期に多く年齢があがるにつれて一つひとつ解消されていきますが、社会人になっても解消されなければ医師の診断を仰ぐようにしましょう。
学齢期の小児のADHDの割合はどのくらいですか?
ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断や治療
ADHDで検査を受ける目安を教えてください。
どの診療科へ行けば検査を受けられますか?
- 小児科
- 精神科
- 心療内科
総合病院などでは診療科がさらに細かくなっており、児童精神科あるいは小児神経科などもあります。成人であれば、精神科や心療内科となります。ネットなどでADHDのセルフチェックサイトなどがありますが、医師による判断が必要ですので、上述したいずれかの診療科で検査を受けましょう。
ADHDの診断基準を教えてください。
- 不注意と多動性が同年齢の発達水準に比べて強く認められる
- 症状のいくつかが12歳以前より認められる
- 家庭・学校・職場・その他の活動中など2つ以上の状況で障害になっている
- 対人関係や学業的・職業的機能が障害されている
- その症状がほかの精神疾患でうまく説明できない
以上の条件がすべてみたされることでADHDと診断されるため、検査は慎重を期します。また、虐待など家庭内の環境の影響を受けてADHDそのものの症状を引き起こすケースも少なくありません。そのため、小児科・小児神経科・児童精神科からの知見を集めて医学的評価を下します。
どのような治療を行いますか?
- 環境への介入
- 行動への介入
- 薬物療法
まず子どもの生活環境を整えます。最初に考えるのは学校です。集団行動が基本となるため、教室内の机の位置など子どもが集中しやすい環境を整えます。授業1時限に集中できない場合は、集中できる10分15分など時間を区切ります。このような時間的介入も環境介入に含まれます。行動への介入はいわゆる飴と鞭です。正しい行動を褒め、間違った行動に対しては注意することで正しい行動を増やしていく試みです。薬物療法では、メチルフェニデートが不注意や多動性を軽減する可能性のある薬剤として保険適用されています。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもへの接し方や大人のADHD
ADHDの子どもへの接し方を教えてください。
- 感情的な叱り方をしない
- 褒め方を工夫する
- 気が散りにくい環境を整える
- わかりやすい指示の実践
- 学習の課題を小分けにする
- 休憩を適度に挟む
保護者に向けた子どもの接し方を学ぶプログラムも有効です。学校ではADHDに対する理解を深めた教師が担当し、家庭では保護者がADHDに対して理解を深め、子どもに対して正しい接し方をする必要があります。家庭や学校で子どもが伸びやかに育つ環境づくりを行いましょう。
大人のADHDについて詳しく教えてください。
大人のADHDの相談先や受けられる支援があれば教えてください。
編集部まとめ
ADHDの子には、集中して物事に取り組めなかったり落ち着きがなかったりする症状が見られます。しかし知能の遅れはないため、個性の1つとして見過ごされることも少なくありません。
とくに昨今は個性が尊重され、個性を積極的に伸ばす時代です。そのため、大人になるまでADHDに気付かれないケースが少なくありません。
ADHDを発症している場合、適切な対応が求められます。ADHDに気付かないまま大人になると、社会に出てから大変な思いをすることもあります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。