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「シェーグレン症候群は何科」で受診できる?症状や原因も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/30
「シェーグレン症候群は何科」で受診できる?症状や原因も解説!【医師監修】

シェーグレン症候群は、目やお口の乾燥症状を特徴とする自己免疫疾患で、初期の段階では見過ごされがちです。しかし、症状が進行すると全身に影響を及ぼす可能性があり、早期発見と適切なケアが重要です。
本記事ではシェーグレン症候群の検査は何科で受けられるかについて以下の点を中心にご紹介します。

・シェーグレン症候群とは
・シェーグレン症候群の検査は何科で受けられるのか
・シェーグレン症候群の予後

シェーグレン症候群の検査は何科で受けられるかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。

シェーグレン症候群について

シェーグレン症候群について

シェーグレン症候群とはどのような病気ですか?

シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺などの外分泌腺に慢性的な炎症が起こり、これらの機能が低下する自己免疫疾患です。中年女性に見られる傾向があり、膠原病や視神経脊髄炎などほかの疾患と併発する二次性と、単独で発症する一次性に分類されます。

シェーグレン症候群にはどのような症状がありますか?

シェーグレン症候群では、外分泌腺の障害により乾燥症状(腺症状)が現れます。代表的なのはドライアイとドライマウスです。

ドライアイでは涙の分泌が減少し、目の乾燥感、異物感、痛みやかゆみが生じ、重症化すると視力低下や角膜障害を引き起こします。

ドライマウスではお口の渇きやネバつきがみられ、唾液不足によるむし歯や味覚異常を伴うことがあります。

また、鼻腔の乾燥や耳下腺の腫れ、性交痛などほかの外分泌腺の症状も発生します。さらに、全身の自己免疫反応による腺外症状として、関節痛、皮疹、紫斑、リンパ節腫張、間質性肺炎や腎炎など臓器障害が見られるケースもあります。

患者さんによっては疲労感や集中力の低下、抑うつ症状を訴えることがあり、全身の健康に広範囲に影響を及ぼすとされています。

シェーグレン症候群の原因を教えてください

シェーグレン症候群の原因は、免疫系の異常による自己免疫反応にあります。本来、免疫は外敵であるウイルスや細菌を攻撃する仕組みですが、この疾患では免疫が自身の体を誤って攻撃します。
この免疫異常は、自己抗体の産生や自己反応性リンパ球の活性化に関連していると考えられていますが、なぜ免疫が制御を失うのかは未解明の部分が多いようです。遺伝的要因や環境要因の関与が示唆されていますが、これらがどのように作用して病気を引き起こすかは明確になっていません。

シェーグレン症候群の検査方法

シェーグレン症候群の検査方法

シェーグレン症候群の検査は何科で受けられますか?

眼科や歯科口腔外科のほか、シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一種であるため、リウマチ・膠原病を専門とする科での診断がおすすめです。

リウマチ・膠原病を専門とする科では、血液検査や症状の評価、臓器病変の有無を詳しく調べるため、より正確な診断が期待できます。他科で受診した場合でも、必要に応じて専門科を紹介されることが多いようです。

シェーグレン症候群の検査方法を教えてください

シェーグレン症候群の診断には複数の検査を組み合わせ、症状の確認と原因特定を行います。

・病理組織検査
涙腺や唇の小唾液腺から採取した組織を顕微鏡で観察し、リンパ球の浸潤を確認します。

・口腔検査(唾液分泌量の測定)
ガムを噛み一定時間で分泌される唾液量を測定するガムテストや、ガーゼを噛んで吸収量を測るサクソンテストが行われます。唾液腺造影やMRIで唾液腺の異常も調べます。

・眼科検査(涙液分泌量の測定)
シルマーテスト:ろ紙を下まぶたにあて、涙の分泌量を測定します。ローズベンガル試験・蛍光色素試験:角膜や結膜の状態を確認します。

・血液検査
抗SS-A/Ro抗体や抗SS-B/La抗体といった自己抗体を調べます。併せて血液の異常や甲状腺機能のチェックも行います。

・画像検査
必要に応じてレントゲンやCTで間質性肺炎などの合併症を調べます。これらの検査結果を総合して、シェーグレン症候群の有無や重症度を診断します。

シェーグレン症候群はどのように診断されますか?

シェーグレン症候群の診断は厚生省の診断基準に基づき、以下の4つの項目から判断されます。2項目以上が陽性であれば診断が確定します。

・生検病理組織検査
涙腺や口唇腺の組織にリンパ球の浸潤が見られる場合、陽性となります。

・口腔検査
ガムテストやサクソンテストで唾液分泌量の低下が確認されること。唾液腺造影やシンチグラフィーで機能異常が検出されること。

・眼科検査
シルマーテストで涙分泌量が低下(5分間に5mm以下)している場合。ローズベンガル試験または蛍光色素試験で角結膜の障害が確認される場合。

・血液検査
抗SS-A/Ro抗体や抗SS-B/La抗体の陽性反応。

診断基準を満たさない場合でも、主治医が症状や検査結果を総合的に判断して診断を下すことがあります。
また、重症度の評価には国際基準であるESSPRIやESSDAIが用いられ、全身症状の有無や活動性を判断します。

シェーグレン症候群を発症したら

シェーグレン症候群を発症したら

シェーグレン症候群の治療方法を教えてください

シェーグレン症候群の治療は、主に乾燥症状の軽減と合併症の進行を抑える対症療法が中心です。現時点では根本的な治療法は確立されていませんが、以下の方法で症状を管理します。

・ドライアイの治療
点眼薬を使用して目の潤いを保ちます。重症の場合、涙の排出を抑える涙点プラグ挿入術が行われることもあります。

・ドライマウスの治療
唾液分泌促進薬や人工唾液を使用します。漢方薬や去痰剤も効果が期待できます。

・ドライスキンの治療
皮膚の乾燥には保湿剤を用います。

・腺外症状への対応
重症の場合、免疫抑制剤や副腎皮質ステロイドを使用します。また、関節痛や発熱などには非ステロイド系抗炎症薬、レイノー現象には血管拡張剤が用いられます。

・将来的な治療
生物学的製剤が効果を示す可能性があり、現在研究が進められています。

日常生活の工夫や医師との協力も重要で、症状に応じた適切なケアが求められます。

シェーグレン症候群を発症した場合はどのようなことに注意するとよいですか?

シェーグレン症候群を発症した場合、乾燥症状を悪化させない生活環境の工夫が重要です。特に空気が乾燥する季節には、加湿器を使い適度な湿度を保ったり、マスクを着用したりしましょう。
また、頻繁な水分摂取は避け、うがいや人工唾液を活用して口腔の潤いを維持しましょう。

レイノー症状がある場合は指先の保温も大切です。寒い季節には手袋を着用し、冷たい水ではなくぬるま湯を使用し、ハンドクリームを塗るなどの工夫も心がけましょう。

規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動も病気の管理に役立ちます。強い日光を避けるため帽子や日焼け止めを活用し、精神的ストレスを減らす工夫も必要です。

そして、定期的な診察を受け、医師と連携しながら日常生活を管理することが、長期的な予後の改善につながります。

シェーグレン症候群の予後について教えてください

シェーグレン症候群の予後は良好とされています。約半数の患者さんは、10~20年程度経過しても症状に大きな変化が見られず、現在の状態を維持したまま日常生活を送るとされています。
一部には軽度の検査値異常が認められるものの、日常生活に大きな支障をきたさないケースが多いようです。

一方で、残りの約半数の患者さんには時間の経過とともに新たな病変や全身症状が現れる場合があります。これらは軽度な異常にとどまることもありますが、腎病変や間質性肺炎といった重い合併症が起きることもあります。
また、シェーグレン症候群の患者さんはリンパ腫の発症リスクが一般の方より高い傾向があり、注意が必要です。

治療にステロイド薬や免疫抑制剤が使用される場合、骨粗しょう症や糖尿病といった副作用が現れる可能性があるため、定期的な検査と健康チェックが重要です。
症状がドライアイやドライマウスだけに限られる場合は、健康寿命や余命に大きな影響を及ぼさないことが多いとされますが、合併症予防のために医師との連携を保つことが望まれます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

シェーグレン症候群は、初期の段階では単なる乾燥の問題に見えがちなので、早期発見には詳しい診察が欠かせません。
症状に気付いたら速やかに病院を受診し、早めのケアを行うことで生活の質の維持につながります。
一人で悩まず、医師や家族、サポート団体に相談しながら、長期的な視点で向き合っていきましょう。

編集部まとめ

キーワード
ここまでシェーグレン症候群の検査は何科で受けられるかについてお伝えしてきました。シェーグレン症候群の検査は何科で受けられるかの要点をまとめると以下のとおりです。

・シェーグレン症候群とは、涙腺や唾液腺などの外分泌腺に慢性的な炎症が起こり、これらの機能が低下する自己免疫疾患で、ドライアイやドライマウスといった乾燥症状が見られる
・シェーグレン症候群は眼科や歯科口腔外科の受診のほか、リウマチ膠原病を専門とする科がおすすめで、検査方法には生検病理組織検査、口腔検査、眼科検査、血液検査などがある
・シェーグレン症候群の予後は、10~20年程度経過しても症状に大きな変化が見られず、現在の状態を維持したまま日常生活を送る場合もある一方で、時間の経過とともに新たな病変や全身症状が現れる場合もある

シェーグレン症候群についての理解を深め、症状が見られた場合は放置せず、眼科や歯科口腔外科、特にリウマチ科を受診しましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師