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「適応障害を疑う症状」はご存知ですか?適応障害の人がとる行動も解説!

 公開日:2024/12/09
「適応障害を疑う症状」はご存知ですか?適応障害の人がとる行動も解説!

疲れやすい、やる気が出ない、イライラする…そんな経験はありませんか?もしかしたら、それは適応障害の症状の現れかもしれません。適応障害は、仕事や人間関係などのストレスによって心身に不調が現れる病気です。
本記事では適応障害の症状について以下の点を中心にご紹介します。

・適応障害の症状とは
・適応障害の症状が現れる原因
・適応障害の症状が現れた際に行えること

適応障害の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

大迫 鑑顕

監修医師
大迫 鑑顕(医師)

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千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。

適応障害とは

適応障害とは

適応障害はどのような病気ですか?

適応障害は、できごとや状況が引き起こすストレスにより、気分や行動面にさまざまな症状が現れる病気です。

例えば、転職や新しい人間関係、生活環境の変化などが耐えがたいストレスとなり、憂うつ感や不安感、過剰な心配などの精神的な症状が出ることがあります。また、動悸や腹痛といった身体的な症状も見られることがあります。

適応障害は、ストレスの原因が明確なため、そこから離れると症状は改善する傾向がありますが、離れることが難しい場合は症状が慢性化する可能性もあります。治療にはストレス要因の軽減や適切なサポートが重要です。

適応障害の外部要因を詳しく教えてください

適応障害の外部要因とは、その方の取り巻く環境や人間関係の変化が引き起こすストレスを指します。具体的には、職場における上司との関係の悪化や、異動先での新しい環境への適応が困難なことが原因となるケースが多いようです。

また、ハラスメントや過度な残業、取引先とのトラブルも大きな外部ストレス要因として挙げられます。家庭や学校でも同じく、親しい方との離別や生活環境の変化がストレスとなり、適応障害を引き起こすことがあります。

これらの要因は周囲の方にとっては些細に見える場合もありますが、本人にとっては重大な影響を与え、適応障害の発症につながることがあります。

適応障害の内部要因は何ですか?

適応障害の内部要因とは、性格や感情の傾向がストレスへの反応に影響を与えるものです。例えば、些細なことでも傷つきやすい性格や、怒りっぽい性格が、適応障害の発症リスクを高めるとされています。

また、仕事への興味を失っている場合や、コミュニケーションが苦手な場合も、環境変化に対する適応が難しくなる傾向があります。ストレスに対する耐性や感じ方は人それぞれで、同じ状況でも強いストレスを感じる方もいれば、何ら問題なく生活を送れる方もいます。

以上のように、性格や考え方が適応障害に影響します。

適応障害の症状

適応障害の症状

心理的(情緒的)症状について教えてください

適応障害における心理的(情緒的)症状は、不安や抑うつ、無気力といった感情面での変化が特徴的です。これらの症状が強く現れると、思考力や集中力が低下し、日常生活での計画や仕事の遂行が難しくなります。

また、悲壮感やイライラ、緊張感が高まり、混乱したり焦りを感じることも少なくありません。こうした情緒的な揺れが長期にわたると、物事に対する興味や関心を失い、意欲が低下してしまいます。

発症時の年齢が低い場合は、赤ちゃん返りのような幼児的な行動が現れることもあります。これらの症状は、社会生活に大きな影響を与える可能性があるため、早期の対処が必要です。

身体的症状ではどのような症状が現れますか?

適応障害の代表的な身体的症状には、全身のだるさや倦怠感、不眠、食欲不振、動悸や過呼吸などがあります。また、頭痛や肩こり、腹痛、めまい、さらには手の震えや発汗といった症状も見られます。

身体的症状が持続すると、仕事や学校でのパフォーマンスが著しく低下し、普段の生活を送ることが難しくなります。不眠や憂うつ感が長期にわたる場合には、適応障害からうつ病に進行する可能性もあるため、早めの対応が求められます。

適応障害の問題行動を教えてください

適応障害の症状が進行すると、行動面にも普段とは異なる問題行動が現れることがあります。例えば、無断欠勤や遅刻、早退といった職場での規律違反、不登校など学校での問題行動が見られます。

また、過剰な飲酒や暴食、無謀な運転、さらにはギャンブル中毒や喧嘩、器物損壊などのリスクの高い行動を取る場合もあります。これらの行動が続くと、職場や学校での立場が悪くなり、人間関係にもトラブルを引き起こす可能性があります。

こうした行動の変化に気付いた周囲の方々のサポートが、適応障害の早期発見や改善につながります。

適応障害の症状との向き合い方

適応障害の症状との向き合い方

適応障害の方とどのように接したらいいですか?

​​適応障害の方と接する際は、まず病気に対する誤解を避けることが大切です。
適応障害は努力不足や甘えではなく、精一杯適応しようとした結果、適応できなかった状態です。無理に”耐えるべきだ”といったアドバイスは避け、相手の気持ちを尊重する姿勢が求められます。

また、価値観は人それぞれ異なるため、周囲が”恵まれている”と思う環境でも本人にとってはストレスフルなこともあります。過度な干渉や詮索を避け、話を聞く際には否定せずに理解を示すことが重要です。
無理に行動を促すことも避け、回復するまで見守る姿勢が大切です。

適応障害には、どのような治療法がありますか?

適応障害の治療は、まず休養と環境調整が基本です。仕事や学校などがストレス源である場合、仕事や学校を一時的に休むことでストレス源から距離を取り、心身の回復を図ります。必要に応じて、配置転換や異動、転職など、働く環境を調整することも効果が期待できます。

また、精神療法や心理療法も重要で、カウンセリングや認知行動療法を通じてストレスへの対処法を学びます。症状が強い場合は、抗うつ薬や抗不安薬などを用いた服薬治療が行われることもあります。
ただし、薬物療法は一時的な対処であり、根本的な解決には環境の見直しや心理的な支援が重要です。

適応障害を再発させないために気を付けたほうがいいことはありますか?

適応障害の再発を防ぐためには、日々のストレスを溜め込みすぎないことが重要です。適度なストレス解消を心がけ、十分な睡眠や栄養を摂ることで心身をケアしましょう。
もし環境が過度にストレスフルであれば、転職や配置換えなど環境調整が必要な場合もあります。

また、自身のストレスの感じ方やとらえ方のパターンに気付き、それに対処する方法を学ぶことも有用です。リワークプログラムやカウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処スキルを身につけ、再発予防を図ることが重要です。
いずれにしても、焦らず自身のペースで生活を整えることが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

適応障害は、甘えや努力不足ではなく、誰もが陥る可能性のある心の病気です。本人なりに努力をしても環境に適応できないと感じるとき、その辛さを一人で抱え込む必要はありません。

医師やカウンセラーに相談し、適切な治療やサポートを受けることで、再び心身の健康を取り戻せる可能性があります。セルフケアも大切で、ストレスを感じたら早めに休息を取るなど、自身をいたわることが予防につながります。

ご自身や大切な方を守るために、無理をせずサポートを活用しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで適応障害の症状についてお伝えしてきました。適応障害における症状の要点をまとめると以下のとおりです。

・適応障害の心理的(情緒的)症状は、不安や抑うつ、無気力といった感情面での変化、身体的症状には全身のだるさや倦怠感、不眠、食欲不振など、行動面では無断欠勤や不登校などの症状が現れる

・適応障害の症状が現れる主な原因はストレスであり、個人を取り巻く環境や人間関係の変化が引き起こすストレスや、性格や感情の傾向がストレスへの反応に影響を与えている可能性が考えられる

・適応障害の症状が現れた際は、休養と環境調整を基本とし、カウンセリングや認知行動療法を通じてストレスへの対処法を学ぶことが重要である

適応障害は自覚しにくいものですが、適切なケアを行えば改善が見込める症状です。
過ごしやすい毎日を送るためにも、この記事がご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師