「知的障害と発達障害の違い」はご存知ですか?それぞれの特徴も解説!【医師監修】
公開日:2024/10/27
知的障害と発達障害はそれぞれ異なる特徴があります。知的障害は知的発達や言葉の発達に遅れがあるのに対し、発達障害は脳機能の発達がかたよっているためにさまざまな特性が現れる障害です。
二つの障害とも早期に発見し、個々の状態に合わせた養育と支援で社会性を身につけ、生活面を含め自立を目指す支援が行われています。
本記事では、知的障害と発達障害の特性や、診断につなげる方法や支援の種類をくわしく解説しています。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
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保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
知的障害と発達障害の特徴と違い
知的障害とはどのような障害ですか?
知的障害とは、同じ年の子どもと比べ、知的発達や言葉の発達に遅れがある障害です。言葉の発達が遅いため、他人との意思疎通が難しく、普段の生活にも支障が出てしまいます。お金の管理が苦手で、お買い物が難しい場合があります。また、社会生活や学校生活もうまく適応できない場合が多く、まわりのサポートが必要不可欠です。知的障害と診断するのによく行われるのが知的検査です。知的検査によって知的機能のレベルを判断しますが、その結果だけで知的障害とは断定できません。知的検査の結果と適応機能を総合的に判断し診断します。
発達障害とはどのような障害ですか?
発達障害は、生まれつきもっている脳機能の発達に関する障害です。主な発達障害は以下のとおりです。
- 広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、自閉スペクトラム障害)
- 学習障害(LD)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
発達障害は他人とコミュニケーションを取るのが苦手な方が少なくありません。発達障害の方には、じっとしていられなかったりこだわりが強かったり、行動面で周囲からは変わった方と思われてしまいがちです。誤解されやすいですが、決して親のしつけや学校の教育が悪いわけではありません。発達障害が見つかる時期は幼少期が少なくないですが、大人になって見つかるケースもあります。
知的障害と発達障害の主な違いは何ですか?
知的障害と発達障害の主な違いは知的機能に遅れがあるかないかです。発達障害は知的機能の遅れはない場合が多いですが、脳の発達にばらつきがあるため、コミュニケーションがうまく取れなかったり、教室などでじっとしていられなかったり言動や行動がかたよってしまう障害です。ただし、発達障害のなかには自閉症のように知的機能の遅れが見られるものもあります。また、同じ自閉症でもアスペルガー症候群は知的機能の遅れはありません。また学習障害のように読み書きや計算だけが極端に苦手な場合もあり幅広い特性があります。
日常生活での違いはありますか?
知的障害では、精神年齢が実年齢よりも低い場合が多く、年相応な物事の判断が苦手だったり、困ったことがあっても助けを求められなかったりするため、支援が必要です。程度の差はありますが、話している内容を理解できない場合があり、コミュニケーションがうまく取れません。一方、発達障害はさまざまな特性があり、それぞれの特性によって困っている内容が変わってきます。ADHDではじっとしていられないためよく考えずに行動してしまったり、広汎性発達障害ではコミュニケーション能力が低く対人関係や社会性に支障がでることがあります。
知的障害と発達障害の検査と診断
検査方法を教えてください。
知的障害は、幼児期に言葉の遅れが見られた場合、知能の発達の程度を調べます。よく耳にする知能検査はIQを調べ、軽度から最重度まで分類するテストです。知的障害にいたる原因となる病気がないかを検査し、日常生活に適応できるか診断します。一方発達障害では、幼少期に発達にかたよりが見られたら家族歴やアレルギーの有無などを問診し発達検査や知能検査を行い、必要に応じてMRIやCTを撮影したり、血液検査をしたりして診断しています。各都道府県に発達障害者支援センターがあるので相談しましょう。なお、大人の発達障害は精神科や心療内科で診断可能です。
知的障害と発達障害の分類はどのように診断されますか?
知的障害は知能検査を行い、IQの数値によって軽度から最重度までの4つに分類されます。
軽度では成人になった知的障害の精神年齢はおよそ9歳から12歳ですが、最重度では3歳程です。また、福祉の面では知的能力と日常生活の能力は一致するとは限らないため、必要な援助を一人ひとりの活動能力に合わせて療育手帳を交付しています。発達障害は脳の発達のかたよりによるものです。それぞれの障害に特徴的な症状があらわれているため、強くでている特性で分類できます。発達障害は重複した特性を持つ方が少なくないのも特徴のひとつです。発達障害単体ではなく、数種類の診断がついている方もいます。
軽度では成人になった知的障害の精神年齢はおよそ9歳から12歳ですが、最重度では3歳程です。また、福祉の面では知的能力と日常生活の能力は一致するとは限らないため、必要な援助を一人ひとりの活動能力に合わせて療育手帳を交付しています。発達障害は脳の発達のかたよりによるものです。それぞれの障害に特徴的な症状があらわれているため、強くでている特性で分類できます。発達障害は重複した特性を持つ方が少なくないのも特徴のひとつです。発達障害単体ではなく、数種類の診断がついている方もいます。
その他の障害を合併するケースがありますか?
自閉症がある方は、知的障害を合併しているケースが多く見られます。また、視覚や聴覚に障害がある方に知的障害が見られるケースもあるのです。重症心身障害児では高い割合で知的障害があります。特に、医療型肢体不自由児施設では重度心身障害児の割合が高くなっています。また、発達障害は特徴的な特性があり、なかなか周囲の理解が得られません。特に学校ではうまく集団行動がとれずストレスになってしまう子も少なくありません。ストレスが蓄積されると不登校や引きこもりなどにつながる可能性があります。
知的障害と発達障害の支援
知的障害にはどのような支援がありますか?
知的障害のお子さんには、特別支援学級や特別支援学校にて個々の能力に合わせた教育を行っています。障害の程度により、特別支援学級と特別支援学校にわかれ、日常生活を自分の力で送れるような支援をしています。また、社会に出て困らないような知識を身につけられる場所です。また、重度の知的障害があり常に介護が必要となる場合は、障害福祉サービスの重度訪問介護を受けられます。自立支援や就労支援などの各支援も充実しているので、将来自立するために積極的に活用しましょう。
発達障害にはどのような支援がありますか?
発達障害は、各都道府県や指定都市に発達障害者支援センターが設置されています。発達障害の専門的な支援を総合的に行っているので、まずは発達障害支援センターへ相談しましょう。地域での支援として、当事者や家族のためのピアサポートを行っていたり、保育所や放課後児童クラブなどで発達障害の傾向があるお子さんの見守りを行ったりしています。また、気になるお子さんには専門員が家庭訪問を行い支援につなげる場合もあります。学習に関しては、個々の障害の程度や能力などにより普通学級か特別支援学級かの判断が可能です。発達障害の状態の変化に対応して、一度支援学級に入っても普通学級での指導がのぞましいと判断した場合、変更が可能です。就労支援なども充実しています。
障害年金を手続きするポイントを教えてください。
障害年金は知的障害や発達障害でも受給可能です。申請する際、病院で初めて診察を受けた日を申請するため、受診日を記録しておきましょう。なお、先天性の知的障害は出生日になりますが、後天的な知的障害は初受診日なので注意しましょう。障害年金障害の程度によって等級が定められています。支給されるのは障害等級が1級と2級のみです。3級の場合は支給されないので注意しましょう。障害年金は、本人か代理人による申請が必要です。申請は複雑でとてもわかりづらいため、まずは年金事務所や年金相談センターで相談してみましょう。
編集部まとめ
知的障害と発達障害の違いを解説しました。二つの障害ともコミュニケーションが苦手な方が多く、集団生活では悩みを抱えがちです。
しかし、適切な養育と支援を受けられれば、まわりの手を借りず一人でできる範囲も増え自立に向かいます。就労支援もあり社会に出て働き、自立できる可能性が広がっていきます。
二次障害を引き起こさないためにも、気になる特性がある場合は一人で抱え込まず、まずは各都道府県の発達障害者支援センターに相談してみましょう。