「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」の症状や原因はご存知ですか?医師が監修!
皆さんは、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症をご存知でしょうか?本記事ではアレルギー性気管支炎アスペルギルス症について以下の点を中心にご紹介します。
・アレルギー性気管支炎アスペルギルス症とはどんな病気か
・アレルギー性気管支炎アスペルギルス症の治療法
・生活におけるアレルギー性気管支炎アスペルギルス症
アレルギー性気管支炎アスペルギルス症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とはどのような病気ですか?
もちろん、健康な身体であれば、仮にアスペルギルスを吸い込むことがあったとしても、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症することは無いといわれています。
しかし、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は症状が進行すると、肺の機能をさらに低下させていくことに繋がります。なので、肺の機能が低下することで、別の病気を発症する恐れがあり、注意が必要な病気であるともいわれます。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の原因は何ですか?
アスペルギルスは、元々我々人間に健康被害を与えないカビですが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症するアスペルギルスによって、アレルギー反応が起きた場合、病気の発症に繋がるとされています。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症にかかる多くの方は、元々気管支喘息を患っています。また、例えば嚢胞性線維症という先天性の疾患がありますが、この先天性疾患を患っている方に関しても、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症する可能性が高いといわれています。
症状にはどのようなものがありますか?
症状でみられる痰にはいくつか種類があり、血が入り混じった痰や、緑色をした痰、固まってしまっている痰などが挙げられます。
また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、肺の組織を徐々に破壊していき、それに伴い肺の機能も低下させていく病気です。そのため、症状の進行具合によっては、肺線維症や、気管支拡張症という病気にかかることもあり得ます。つまり、病気の進行がどの程度かにより、呼吸器に関わる症状も変化していくので、息苦しさが増していくことも考えられます。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療について
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断方法について教えてください
次に、血清中に存在するアスペルギルスの沈降抗体を測定します。血液検査を行うことで、アレルギー反応の有無を調べられます。また同時に、病気の原因となっているアスペルギルスへの抗体があるかどうかも確認できます。
その後に、細菌検査を行います。細菌検査ではまず、患者自身から採取した痰を培養することで、アスペルギルスがいるかどうかの確認を行います。一方で、仮に痰の中にアスペルギルスが見当たらなかった場合には、気管支鏡検査を行います。
他には、胸部X線による画像診断を行います。特に、画像検査を行うことで、肺に炎症が起こっているかどうかを調べられます。
主な治療法はどのようなものですか?
また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に関して、長期的に肺の機能の悪化する可能性があるため、ステロイド薬による治療と、病気の再発とを常に意識しておく必要があります。
薬の副作用はありますか?
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に手術は必要ですか?
また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の手術は、病態によって大きく分けられます。
1つ目は、肺アスペルギローマです。肺アスペルギローマは、かつて病気で肺に空洞が空いてしまった部分に、アスペルギルスが感染して起こるものです。感染が起きた部位では、アスペルギローマという菌糸や血液で構成される球状の塊ができます。このアスペルギローマは、時間を重ねるごとに大きくなり、次第に肺や呼吸器を圧迫することで破壊にまで至ります。そのため、肺アスペルギローマを治療するためには、原因となるアスペルギローマの除去を行うか、抗真菌薬を用いた治療を施す必要があります。
2つ目に、侵襲性アスペルギルス症です。侵襲性アスペルギルス症は、肺アスペルギローマの症状が進行することで発症する病気です。つまり、アスペルギルスによる感染が肺にとどまらず、脳や心臓、肝臓や腎臓などの他の臓器に感染が広がってしまっている状態である病気です。この侵襲性アスペルギルス症は、何らかの病気の治療や臓器移植をした後などの、免疫力が低下している方に発症します。治療法としては、抗真菌薬を用いた治療法が最適であるとされています。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と生活
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の予防法は何ですか?
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症になりやすい方はいますか?
日常生活の注意点を教えてください
また、前述の通り、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は免疫力の低下した身体に発症しやすい病気でもあります。そのため、一度かかったから再度感染することはないと思わずに、日頃から生活習慣を整えて過ごすことで、常に免疫力の高い状態を維持しておくことが重要であると思われます。例えば、部屋の湿度を上げすぎず、カビの生息しやすい環境をつくらないようにしたり、寝具は常に清潔な状態を保っておくようにしたりするなどの対策をとることが必要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
身の回りに存在するカビがアレルギー反応を起こすことで発症するとわかると、身近な病気にも思えます。ですが、やはり元々喘息を患っている方など、さらに症状を深刻化させる注意するべき病気であることも確かです。日頃から生活環境を整え、部屋の掃除をこまめにして予防に努めてください。
編集部まとめ
ここまでにアレルギー性気管支肺アスペルギルス症についてお伝えしてきました。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の要点をまとめると以下の通りです。
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、日常生活内に生息するカビのアレルギー反応によって引き起こされる症状である
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療法は、アレルギー反応を抑える治療方法が適切であるとされ、ステロイドの投薬による治療が推奨される
・身の回りの環境を清潔に保つことを心がけることで、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の発症の予防に繋げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献