「入眠障害」の原因や症状を解説!30〜1時間以上寝付けないことはありませんか?
最近なかなか寝付けない人は、入眠障害になっているかもしれません。
入眠障害は不眠症の一種です。成人になると性別年齢問わず発症する可能性があります。
近年では、治療のためにさまざまなアプローチ方法が取り入れられるようになりました。
この記事では、入眠障害について解説します。主な症状・原因以外に、改善方法も紹介するので参考にしてください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
入眠障害とは
入眠障害ってなんですか?
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早期覚醒
中途覚醒と早期覚醒は、年齢や身体的な問題の影響によって引き起こされることが多い症状です。高齢者で眠れない悩みを抱えている場合は、中途覚醒・早期覚醒のいずれかであることが多いでしょう。しかし、入眠障害については年齢や性別などは関係ありません。誰でも起こりうる症状とされています。
成人期に入ってから比較的多く見られる症状ですが、成人期前の人でも発症する可能性があり、年齢については一概にいえません。また、性別においても発症人数に差はありません。老若男女を問わず、発症する可能性がある睡眠障害といえます。
入眠障害の種類を教えてください。
再入眠困難とは、例えば夜中にトイレで目が覚めた後、再び眠りにつくまで30分以上の時間がかかるケースです。中途覚醒とともにあらわれることが多くあります。
朝まで眠れないわけではありません。睡眠時間の長さに関係なく、一度目が覚めると二度寝ができない症状です。
入眠障害はどうやって見分けますか?
布団やベッドに入って横になっても眼が冴えてしまって寝付けない場合は、入眠障害の可能性が高いでしょう。また、中途覚醒は途中で何度も目が覚める特徴があり、早期覚醒は一度目が覚めると二度寝ができない特徴があります。
入眠障害の症状・原因
入眠障害の症状を教えてください。
30〜1時間以上眠れない状態が苦痛に感じる場合は入眠障害と診断されます。苦痛を感じない場合は、入眠障害とは診断されないかもしれません。その理由は、眠れないことに苦痛を感じる心理状態が、入眠障害をさらに悪化させるからです。
入眠障害の原因は「ストレス」が関係しているため、心的要因の有無も入眠障害と診断される重要な要素の一つです。
入眠障害の原因はなんですか?
- 精神的な不安・ストレス
- 環境変化
- 外的要因
精神的な不安・ストレスが原因となっているケースは最も多く、これらは日常的な行動や生活に由来しているとされています。眠る前に心配事が頭に浮かんで考えてしまい、寝そびれることがあるかもしれません。そのような状態が何日も続くと精神的な不安・ストレスが強くなり、入眠障害を引き起こしてしまいます。
また、精神的な不安・ストレスを抱えている場合は、周囲のかすかな物音にも敏感になりがちです。例えば、時計の音が気になって眠れないケースがあげられます。集合住宅に住んでいる場合は、上階の物音が原因になることもあるでしょう。
入眠障害による悪影響を教えてください。
また、入眠障害で特に発症確率が高いとされているのがうつ病です。3年間の追跡結果で、入眠障害とそうでない人とでは、1.59倍の違いがあったと報告されています。このように、入眠障害の影響は交感神経系だけではありません。糖代謝や免疫系にも悪影響を及ぼすとされています。
入眠障害の改善方法
入眠障害の治療はどのようなものですか?
薬物療法は、薬を使用した治療方法です。一般的な薬として睡眠薬や睡眠導入剤があげられます。一方の非薬物療法とは、薬を使わない治療法のことです。具体的には、原因や要因への対処法を試みて治療します。例えば、睡眠を妨げる要因を減らしたり、生活習慣を見直したりといった対処法です。
また、入眠障害を含めた不眠症が長期化すると「布団やベッドへ入ると不眠が起こる」という恐怖心が増幅する可能性が高くなります。そのため、眠気がある時だけ布団やベッドで眠るようにし、眠気がない時は近づかないなどの方法が有効です。
睡眠薬に副作用はありますか?
また最近では依存性の少ないメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬も用いられてきています。ただし、安全性が高いからといって副作用がないわけではありません。
主な副作用として下記の5つがあります。
- 持ち越し効果
- 早期・日中不安
- 反跳性不眠
- 耐性・臨床用量依存
- 一過性前向性健忘
持ち越し効果とは、服用した翌日まで催眠作用などが持続することです。主な症状として眠気・脱力感・頭痛などがあげられます。
早朝不安とは、早朝に覚醒してしまう現象のことです。夜は早い段階で眠くなりますが、その反動で早朝に目が覚めてしまいます。日中不安とは、早朝不安の症状が悪化したケースです。早朝に覚醒してしまう現象とあわせて、日中に不安や緊張を感じることが多くなります。
反跳性不眠とは、睡眠薬の服用中止後、服用する前よりも強い不眠があらわれることです。薬の服用を中止したことで、服用しない状態に脳が対応できないことで起こるとされています。
耐性・臨床用量依存は、長期間の服用によって薬の効果が弱くなってくることです。比較的穏やかな効果の薬を長期間服用すると、やがて目に見える効果が得られず、さらに効果の強い薬を服用するケースが多くあります。一過性前向性健忘とは、記憶障害です。薬の服用後や中途覚醒時に多く見られます。
日常生活で気を付けることはありますか?
また、カフェイン・ニコチンの摂取は控えましょう。これらは覚醒作用があるため、入眠や睡眠を妨げる原因になります。睡眠薬の代わりに寝酒を飲む人がいますが、これもよくありません。
アルコールで眠くなりますが、睡眠の質は悪化させます。寝酒が習慣化している人は注意し、見直しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
眠れないのなら、眠くなってから寝るようにしましょう。睡眠への恐怖を断ち切ることで改善されることも多くあります。
また、睡眠薬について怖い薬だという考えが一部ありますが、そうではありません。正しく服用することで入眠障害は改善されます。ただし、睡眠薬の服用には専門の知識が必要です。必ず医師に相談してから服用しましょう。
編集部まとめ
入眠障害は不眠症の一種であり、誰もが経験する症状でもあります。多くの場合は自然に改善しますが、慢性化すると回復しにくい睡眠障害です。
寝つきが悪い日が続いた際は、専門医に相談してみてください。適切な対処方法を教えてくれます。
専門家の知識と助けを借りて、快適な睡眠生活を実現しましょう。