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「橈骨神経麻痺」の原因や症状はご存知ですか?腕や指のしびれに注意!

 公開日:2023/09/20
「橈骨神経麻痺」の原因や症状はご存知ですか?腕や指のしびれに注意!

橈骨神経麻痺とはどのような疾患なのかご存じでしょうか。

上腕から手までの運動や知覚を担っている橈骨神経が、何らかの原因で圧迫されることによって起きる神経麻痺のことをいいます。

指先や手首の運動機能が障害されるため、日常生活に支障を与える可能性がある疾患です。

この記事では、橈骨神経麻痺について詳しく解説します。

手首が動かない・指が動かない・しびれがあるという症状に心当たりがある方は、橈骨神経麻痺を起こしている可能性が考えられます。

気になる方は最後までご覧ください。

佐藤 章子

監修医師
佐藤 章子(医師)

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[【経歴】
東京女子医科大学医学部卒業 / 川崎市立川崎病院整形外科初期研修医 / 東京女子医科大学東医療センター整形外科リウマチ科医療練士助教待遇 / 東京警察病院整形外科シニアレジデント / 医療法人社団福寿会整形外科 / 菊名記念病院整形外科 / 厚生中央病院整形外科 / 日本医科大学付属病院整形外科リウマチ科助教 / 国立国際医療研究センター国府台病院整形外科 / 現在は無所属だが大学院進学、リウマチ班のある大学への移籍を交渉中 / 専門は整形外科、リウマチ科 / 他に得意分野は骨粗鬆症治療と高齢者治療
【主な研究内容・論文】
リウマチ患者に対する生物学的製剤の治療成績の検討、人工肘関節弛緩術の治療成績の検討、精神科疾患を合併する整形外科手術症例の検討など
【保有免許・資格】
日本整形外科学会専門医、リウマチ認定医
臨床研修指導医

橈骨神経麻痺とは

女性の腕 身体

橈骨神経麻痺ってなんですか?

橈骨神経麻痺とは、上腕から手先まで通っている橈骨神経が何らかの原因で傷害を受けることで指先や手首の運動機能が障害される疾患です。手首が背屈できない・指が曲がらない・しびれがあるなどの症状がみられます。
橈骨神経は上腕骨に沿って走行しており、筋肉の動きや皮膚の感覚を支配しています。腕のどこかで橈骨神経が圧迫されたり、引っ張られたりすることで橈骨神経麻痺が起きることが特徴です。
上腕の中央付近で神経が傷害されると下垂手(手首と指が下がった状態)となり、手首の背屈ができない・手指の付け根の関節が伸ばせないという症状が現れます。肘関節の屈側で傷害されると下垂指(指のみが下がった状態)となりますが、手首の背屈をすることは可能です。
また、後骨間神経という運動神経のみが障害された場合は、感覚異常はみられません。

なんで麻痺するのですか?

麻痺を起こす原因は、何らかの力が加わることで橈骨神経が圧迫されるためです。橈骨神経は上腕骨のすぐ後ろを通り、外部からの圧迫を受けやすい状態になっています。
上腕は、骨折した骨や周りの組織により橈骨神経が牽引されたり、切断されたりと傷害を受けやすい状態にあり、橈骨神経麻痺を起こしやすい部位です。
また、橈骨神経が枝分かれする後骨間神経は、回外筋入口である「フロセのアーケード」という狭いトンネルに入るため、外部からの圧迫や外傷などの影響を受けやすくなっています。
まれに神経炎を起こし、橈骨神経麻痺になることもあるでしょう。

橈骨神経麻痺はどのように診断しますか?

橈骨神経麻痺の診断は、以下のような自覚症状を確認します。

  • 手首が屈曲するか
  • 指が伸びるか
  • 前腕から指先にかけてしびれや知覚障害があるか

手首が動かない(下垂手)・指が伸びない・しびれや知覚障害がある場合は橈骨神経麻痺があると診断できます。また、ティネルサイン(神経傷害を起こしている部分を軽く叩いて痛みの広がり具合を確認する)というテストを行い、指先までしびれが出ると橈骨神経麻痺の陽性と診断されます。
確定診断をつけるために行うのが、筋電図検査・レントゲン検査・MRI検査・エコー検査などです。
また、治療方針を決定するため、橈骨神経を圧迫している原因を明確にする検査を行う可能性があります。上腕骨骨折といった骨折によるものなのか、ガングリオンなどの腫瘤によるものなのかを明確にするためです。

橈骨神経麻痺の原因と症状

ベッドルームで寝る中高年女性

橈骨神経麻痺の原因はなんですか?

橈骨神経麻痺を起こす原因として、橈骨神経を長時間圧迫することや深い切り傷により神経を傷つけてしまうことが挙げられます。具体的な場面として以下の状況が考えられます。

  • 腕枕を長時間していた
  • 交通事故などによるけが
  • 上腕骨骨折や上腕顆上骨折などの骨折
  • ガングリオンなどの腫瘤・腫瘍
  • 神経炎 など

前述したように、橈骨神経は圧迫されやすい部位に存在しており、橈骨神経麻痺は誰にでも起こりえる症状です。
日常生活の中で上腕を圧迫しないように、寝る姿勢に気を付けることが大切です。原因がはっきりしない場合は、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

橈骨神経麻痺の症状を教えてください。

橈骨神経麻痺の症状は以下のものが挙げられます。

  • 腕が上がらない
  • 指が伸びない
  • 前腕から指にかけてしびれや知覚障害がある

起床する時に腕や指がしびれていたという経験をされたことはありませんか。就寝中に橈骨神経が圧迫されることによって、橈骨神経麻痺を起こしている状態です。
軽症の場合は、すぐに症状は回復しますが、重症の場合は回復するまで時間がかかる場合があります。
橈骨神経がひどく損傷している場合は自然に回復する可能性が低く、手術による治療が必要になります。

橈骨神経麻痺を放置したらどうなりますか?

橈骨神経麻痺は、圧迫している要因がなくなれば自然と回復していきます。約1~3か月で回復することが一般的です。
しかし、圧迫が解除されてもしびれや感覚麻痺が継続している場合は、自然回復することが望めない可能性が高くなります。
放置しておくことで神経損傷が大きくなり、症状が回復するまでに時間がかかったり、手術でも回復が困難な状況になります。
橈骨神経麻痺かもしれないと思ったら、早めに受診して専門の医師に診てもらいましょう。

橈骨神経麻痺の治療

医者診療

橈骨神経麻痺の治療法を教えてください。

橈骨神経麻痺の治療は大きく分けて、手術をする方法保存療法の2つです。
事故やけがなどによる骨折・脱臼、ガングリオンなどの腫瘤が橈骨神経麻痺の原因となっている場合は、原因に対して早期に手術を行う必要があります。
神経損傷がある場合は、神経剥離手術・神経縫合手術・神経移植手術・腱移行手術などの手術を症状に合わせて行うことが検討されます。原因が明らかではない場合や回復が見込まれる場合は、保存療法を選択し3か月ほど様子をみることが一般的です
幹部を安静にして神経の圧迫を解除することで、自然に回復していきます。回復する過程を補助するために、ビタミン製剤や消炎鎮痛剤などを内服したり、装具を装着したり、運動療法を取り入れたりする場合もあります。
多くは数か月で改善しますが、改善しない・麻痺が進行してしまう場合は手術の適応になります。早い対応で早期回復が見込めますが、放置すると回復の可能性が低くなるので注意が必要です。

手術は必要ですか?

明らかな原因が、骨折や腫瘤によるものであれば早期に手術が必要です。先述しましたが「保存的に数か月経過をみても回復しない」または「麻痺が進行している」場合は手術を検討します。
橈骨神経麻痺を発症してから時間が経ってしまうと回復するのが困難になるため早めの対応が大切です。

どのくらいの期間で治りますか?

橈骨神経麻痺は神経の圧迫を解除することで、自然に回復していきます。3か月ほどで回復するケースがほとんどです。
手術をした場合は、手術後にリハビリなどを行いながら回復を目指していきます。治療期間については、専門の医師に確認するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

橈骨神経麻痺は、神経の圧迫がなくなれば回復していく疾患です。すぐに回復する場合もありますが、数か月かかる場合もあります。焦らずに少しずつ治療を行っていくことが大切です。
橈骨神経麻痺を放置しておくと日常生活に支障が出てきてしまう可能性があります。また、回復の可能性も低くなってしまうため注意が必要です。
自己判断で様子をみたり我慢したりせず、気になる場合は早めに専門の医師に相談してください。

編集部まとめ

診察を受ける中高年の女性と医療スタッフ
今回は橈骨神経麻痺について解説しました。橈骨神経麻痺は日常生活の中で、誰でも発症する可能性がある疾患です。

腕枕を長時間していただけでも橈骨神経圧迫が起こり、神経麻痺になるというのには驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

橈骨神経麻痺は神経を圧迫している原因を取り除くことができれば、自然に回復する疾患です。

その反面、しびれや運動障害を放置しておくと症状が悪化し、回復するまでに時間がかかったり回復が難しくなったりします。

さらに症状が進行すると、日常生活にも支障が出る可能性が高くなるため、自己判断で様子をみようとするのも危険です。

腕や指のしびれがある・手首が動かない・感覚が鈍いなどの症状がある場合は、我慢せずに専門の医師に相談しましょう。

この記事の監修医師