「心気症」という自分は病気だと思い込んでしまう精神疾患はご存じですか?
公開日:2023/09/15

ご自身の体に何らかの違和感を覚えると、「もしかすると病気を発症しているのかもしれない」と不安になる人も多いのではないでしょうか。 病気に関する不安が大きくなると、日常生活に影響が及ぶこともあります。日常生活に支障が出るほどの不安に襲われている場合、「心気症」を発症している可能性が高いです。 心気症は現在「病気不安症」や「身体症状病」と呼ばれています。本記事では、旧病名である心気症で記載しております。 では、心気症とは一体どのような病気なのでしょうか。原因・症状・治療方法・セルフケアについて、詳しく解説していきます。 病気かもしれないと大きな不安を抱えている人は、ぜひご一読ください。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
心気症の原因や症状
心気症とはどのような病気ですか?
心気症が一体どのような病気であるかを、まずは解説していきましょう。「もしかすると何かしらの大きな病気が自身の体を蝕んでいるかもしれない」と思い込むことが特徴の精神疾患です。
病気に強い不安を抱えていますが、実際にさまざまな検査を行っても体に悪いところはみられません。「病気かもしれない、大きな病気にかかるかもしれない」といった不安からくる精神的なものなので、簡単に拭い去ることも難しいです。
また心気症の場合には、病気に侵されていると思い込んでいるためドクターショッピング、いわゆるいくつもの病院を転々とするケースも多くなります。さらに「体が病気になろうとしている」と思考が縛られてしまうため、強い不安に駆られて日常生活や仕事の遂行が難しくなることもあります。
病気に強い不安を抱えていますが、実際にさまざまな検査を行っても体に悪いところはみられません。「病気かもしれない、大きな病気にかかるかもしれない」といった不安からくる精神的なものなので、簡単に拭い去ることも難しいです。
また心気症の場合には、病気に侵されていると思い込んでいるためドクターショッピング、いわゆるいくつもの病院を転々とするケースも多くなります。さらに「体が病気になろうとしている」と思考が縛られてしまうため、強い不安に駆られて日常生活や仕事の遂行が難しくなることもあります。
原因を教えてください。
心気症を発症する原因は、完全に解明されているわけではありません。しかし、想定されている原因は大きく分けて3つあります。
1つ目は家族や親しい人が大きな病気にかかると、自分にも同じ病気が発症しているのではないかと思い込むことです。2つ目は自身の感覚や病気に対しての知識が偏っていることで心気症の原因となることがあります。3つ目は自身に降りかかっている別の問題から目を背けるために、意識を「大きな病気」に向けることで心気症の症状が出現することです。
すべて精神面から発症に至ることに変わりはありませんが、同じ精神的な病気とされているうつ病や不安障害など、心気症以外の精神疾患と関連していることもあります。
1つ目は家族や親しい人が大きな病気にかかると、自分にも同じ病気が発症しているのではないかと思い込むことです。2つ目は自身の感覚や病気に対しての知識が偏っていることで心気症の原因となることがあります。3つ目は自身に降りかかっている別の問題から目を背けるために、意識を「大きな病気」に向けることで心気症の症状が出現することです。
すべて精神面から発症に至ることに変わりはありませんが、同じ精神的な病気とされているうつ病や不安障害など、心気症以外の精神疾患と関連していることもあります。
精神的な症状を教えてください。
精神的な病気である心気症の症状は、多少の変動はありつつも慢性化する傾向があります。具体的には以下のような行動が多く見られます。
また、症状が一転したり回復したりする可能性もあります。
- 体に病気の変化が出ていないか鏡で観察を繰り返す
- 頻繫に医療機関に受診して検査を行う
- 親族関係に病気が出現すると自分も同じだと主張する
- 多少の感覚のズレにもすぐさま不安を覚える
- 病院を不自然に怖がり、殻に閉じこもるようになる
また、症状が一転したり回復したりする可能性もあります。
心気症の身体的症状について教えてください。
心気症の身体的症状はほとんどありません。もし症状があった場合にも最小限であることが一般的です。患者が検査や診察で異常のみられない訴えを不定愁訴(ふていしゅうそ)といわれています。この不定愁訴には以下のような症状が代表的です。
- 頭痛
- 微熱
- 疲労感
- 発汗
- 胸の違和感
- 腹部膨満
- イライラ
- 不眠
なりやすい人の特徴を教えてください。
精神的に強く病気になっていると思い込んでしまう心気症は、ストレスを抱え込んでしまう人が発症しやすいとされています。ほかにも以下のような生活や考え方の方は心気症になりやすいです。
さらに、発達障害や感覚が敏感な人は思い込むとポジティブな修正が難しいため、心気症の症状が強くなりやすいです。思い込みが強くなる状態は「心気妄想」と呼ばれ、抗精神病薬が必要になるなど治療も長引く傾向にあるでしょう。
- 細かいことを非常に気にする
- 音・匂い・不快感などに対する感受性が非常に強い(感覚が過敏)
- 鬱や不安障害を合併している
- 多忙により精神的な疲労が溜まっている
- ストレスでバランスの良い判断力を失いがち
さらに、発達障害や感覚が敏感な人は思い込むとポジティブな修正が難しいため、心気症の症状が強くなりやすいです。思い込みが強くなる状態は「心気妄想」と呼ばれ、抗精神病薬が必要になるなど治療も長引く傾向にあるでしょう。
心気症の診断や治療方法
サルコペニアの診断方法を教えてください。
まずは、患者が訴えている身体症状を基に本当に病気が隠れていないかどうかの検査が行われます。治療が必要となる病気を見逃さないため、身体症状に応じた検査を提案されることが多いです。しかし、心気症では検査を行っても明らかな病気は特定できません。
そのため、心気症と診断されるには精神的な面を検査するための問診を行うことが重要です。具体的には以下のような問診が行われます。
そのため、心気症と診断されるには精神的な面を検査するための問診を行うことが重要です。具体的には以下のような問診が行われます。
- 重篤な疾患の罹患または発症に関することが認められる
- 身体症状がない、もしくは身体症状がある場合には最小限である
- 健康に関して強い不安を抱き、個人的な健康問題について些細なことで警戒する
- 健康状態を繰り返しチェックしたり不適応的に受診の予約や来院を避けたりする
- 6カ月以上も不安が続き、その期間中に恐れている具体的な病気が変化している
- うつ病または別の精神障害では十分に説明できない。
- 顕著な身体症状が認められ、かつ主要な懸念の対象が症状自体である患者は、 身体症状病と診断される
治療方法を教えてください。
治療は精神療法が中心となります。しかし、心気症を患っている多くの患者は、精神的ではなく肉体的な病気を抱えている気持ちが強い傾向にあります。そのため、精神治療を受けることを拒む場合も少なくありません。治療を受けるまでに時間が必要になることがあります。
精神療法の主な治療方法は、行動療法と認知療法の2つあります。どちらの精神療法も不安を緩和することを目的とした治療方法です。
また、うつ症状や過度の不安を示す患者の場合には、うつ病や不安障害を発症している可能性もあります。実際に身体症状が現れている場合には、内科的療法・外科的治療が施される可能性も大いにあるでしょう。
精神療法の主な治療方法は、行動療法と認知療法の2つあります。どちらの精神療法も不安を緩和することを目的とした治療方法です。
また、うつ症状や過度の不安を示す患者の場合には、うつ病や不安障害を発症している可能性もあります。実際に身体症状が現れている場合には、内科的療法・外科的治療が施される可能性も大いにあるでしょう。
心気症のセルフケア・接し方
心気症のセルフケア方法を教えてください。
ここからは、心気症のセルフケアに有効な方法をお伝えしていきます。
まずは、不安感から気をそらすスキルやリラクゼーションなどの対処方法を習得しましょう。もちろん、1人では難しいですが、支援センターやかかりつけ医のカウンセリングでも有効です。
目標としては、病気に対する不安感や信念を軽減したり対処方法の習得をしたりして、精神的な苦痛を和らげることを意識しましょう。ストレスを軽減する生活習慣の改善も重要です。
まずは、不安感から気をそらすスキルやリラクゼーションなどの対処方法を習得しましょう。もちろん、1人では難しいですが、支援センターやかかりつけ医のカウンセリングでも有効です。
目標としては、病気に対する不安感や信念を軽減したり対処方法の習得をしたりして、精神的な苦痛を和らげることを意識しましょう。ストレスを軽減する生活習慣の改善も重要です。
心気症の人との接し方で注意する点があれば教えてください。
精神的な病気である心気症を発症した患者と接する時は、相手に寄り添うようなコミュニケーションを取りましょう。ストレスを緩和する生活習慣や生活環境を整えてあげるなどのサポートも効果的であるといえます。
とにかく不安を煽ったりストレスが増えたりすることは避けるようにしましょう。
とにかく不安を煽ったりストレスが増えたりすることは避けるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
心気症は病気に関する不安が大きくなることで発症する精神的な病気です。情報が溢れている現代では、ネットでも病気について簡単に知ることができるでしょう。しかし、すべての情報が正しいとは限りません。まずは、病院で検査することをおすすめします。
病気なのではと不安を感じる場合でも、カウンセリングを受けることで正しい知識を得られるため不安の解消にもつながります。正しい情報は何か・どのようなことに自身が不安を強く感じているのか・ストレスを溜めていないか1人で抱えず周りに相談してみてください。
病気なのではと不安を感じる場合でも、カウンセリングを受けることで正しい知識を得られるため不安の解消にもつながります。正しい情報は何か・どのようなことに自身が不安を強く感じているのか・ストレスを溜めていないか1人で抱えず周りに相談してみてください。
編集部まとめ
「病気不安症」や「身体症状病」と呼ばれている心気症ですが、症状が悪化すれば日常生活に支障がでてしまう精神的な病気です。
どのような出来事がきっかけで病気に対する不安が強くなったのかなど、相談できる環境がセルフケアにおいても大切になります。
ストレスも症状の悪化につながりますので、ストレス解消方法をいくつかみつけておきましょう。健康診断も病気の不安解消におすすめです。
周りのサポートや医師のカウンセリングを受けるなど、1人で抱え込まないようにしてください。
