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心気症の症状・原因・治療方法についてご案内

 更新日:2023/03/27

心気症(読み方:しんきしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
高橋 龍太郎 医師(
タカハシクリニック 院長)

心気症とは

心気症とは、医学的な診察や検査では明らかな器質的身体疾患がないにもかかわらず、ちょっとした身体的不調に対して自分が重篤な病気にかかる(かかっている)のではないかと恐れたり、既に重篤な病気にかかってしまっているという強い思い込み(専門用語で観念と言います)にとらわれる精神疾患の一つです。そして、そのとらわれは、いくら医学的な診察で異常がないと保証されても長く持続します。そのため、本人には強い不安や恐怖心などの著しい苦痛をもたらし、学校や仕事、家族関係などの日常生活にさまざまな支障をきたすことになります。

引用:日本小児心身医学会
hhttp://www.jisinsin.jp/detail/10-ujiiehtm.html

以前は心気症といわれていましたが、DSM-5という診断基準では「病気不安症」と言われています。

引用:浦和すずのきクリニック
http://heartcompany.co.jp/urawasinri/2017/05/30/post-4604/

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
心気症になりやすい人は、細かいことを非常に気にする方、鬱や不安障害を合併している方、多忙や精神的な疲労が原因でバランスの良い判断力を失いがちな方です。患者さんは男性よりも女性のほうが多い傾向があります。また、発達障害の方は、音、匂い、不快感などに対する感受性が非常に強い(感覚過敏)傾向があり、さらに一旦思い込むと修正が難しいため、強い心気症になりやすいと言えます。心気症には2種類のタイプがあります。神経症レベルなら、数回〜10回程度のカウンセリングと軽い薬で治療できますが、本人が信じ込んでいる「心気妄想」レベルでは抗精神病薬が必要になります。

心気症の症状

心気症の患者がよく気にする症状としては、微熱,発汗、動悸(心拍の自覚)、胸の違和感、腹部膨満、腹鳴、痛み、疲労感などです。
このように、訴える症状自体は自律神経失調症とも共通するのです。自律神経失調症との違いは、患者さんが望んでいることが、症状の軽減ではなく、重い病気かどうかの確認である点が違います。

引用:心と体のクリニック
http://www.kokorotokarada.net/disease-jiritusinkei.html#shinkishou

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長ドクターの解説
「がんノイローゼ」は、検査で異常がないにもかかわらず、がんになったと思い込む神経症です。心気症の中では男性の患者が比較的多くなります。がんノイローゼは、軽いレベルの人もいれば、内科も精神科医も否定して100%がんだと信じ込み、心気症の疑いを持たれると「神経病患者扱いされた」と憤慨する人まで、重症度は様々です。心気症の中でも最も治りにくいのは体感異常症(セネストパチー)で、「体の中に悪い虫がいて、時々口の中に出てきて悪さをする」「筋肉が体の中で蠢いて気持ち悪い」といった症状を訴えます。体感異常症は統合失調症の予備軍の恐れもありますので、見逃さないよう注意が必要です。

心気症の原因

心気症は自分の健康への不安が高まりすぎてしまい、自分の身体に生じたわずかな症状を過大に認識してしまっている状態だと考えられます。

通常、体調に異常を感じても、病院で専門家である医師にしっかりと診てもらって「異常なし」と太鼓判をもらえば安心するものです。

しかし安心できない何らかの要因がある際に、心気症に至りやすいと考えられます。

臨床で心気症の患者さんをみていると、心気症を発症しやすい背景として、

・広範性発達障害(アスペルガー障害やADHDなど)
・神経質な性格(不安にとらわれやすい)
・不安障害、うつ病などの基礎疾患
・多忙であったり睡眠不足が続き、精神的に疲労している(冷静に判断できない)
などが挙げられます。

引用:せせらぎメンタルクリニック
http://seseragi-mentalclinic.com/hypochondriasis/

心気症の検査法

どのような基準で心気症は診断されるのでしょうか。

心気症(病気不安症)の診断基準を見ながら、心気症のチェック方法について診ていきましょう。

【DSM-5 心気症(病気不安症)】

A.重い病気である、または病気にかかりつつあるというとらわれ
B.身体症状は存在しない、または存在してもごく軽度である。他の医学的疾患が存在する、または発症する危険が高い場合は、とらわれは明らかに過度であるか不釣り合いなものである。
C.健康に対する強い不安が存在し、かつ健康状態について容易に恐怖を感じる。
D.その人は過度の健康関連行動を行う(例:病気の徴候が出ていないか繰り返し身体を調べ上げる)、または不適切な回避を示す(例:受診予約や病院を避ける)。
E.病気についてのとらわれは少なくとも6か月は存在するが、恐怖している特定の病気は、その間変化するかもしれない。
F.その病気に関連したとらわれは、身体症状症、パニック症、全般不安症、醜形恐怖症、強迫症、または妄想性障害の身体型などの他の精神疾患ではうまく説明できない。

このすべての項目を満たした時、心気症(病気不安症)と診断できます。

引用:せせらぎメンタルクリニック
http://seseragi-mentalclinic.com/hypochondriasis/

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
心気症に関して、精神科独自の検査は特にありません。内科、外科で検査を終えて、どこにも異常が発見されなければ、精神科で心気症と診断されます。一般的な診断基準では、症状が「6ヶ月以上」出ている場合とされていますが、必ずしも6ヶ月にこだわる必要はありません。身体に異常がないにも関わらず、医療機関を次々と受診する「ドクターショッピング」を行なっていたり、インターネットや本などで病気について執拗に調べたりと、「自分は病気だ」と信じ込んでいる場合を心気症として取り扱います。

心気症の治療方法

通常、診察や検査で異常のないことを保証しても効果はなく、より深層にある不安を和らげるような精神療法に加え、薬物療法(精神安定剤や抗うつ剤など)が必要です。

引用:日本小児心身医学会
hhttp://www.jisinsin.jp/detail/10-ujiiehtm.html

高橋龍太郎 医師 タカハシクリニック 院長監修ドクターのコメント
心気症が疑われる家族がいて、本人に心療内科や精神科の受診を勧めても拒否される場合、「あなたはおかしい」という言い方では逆効果になることが多いです。患者さんの訴えに寄り添いつつ、心が少しでも楽になる方法として受診を勧めるといいでしょう。また、心気症は再発予防の視点も重要です。予防のためには、自律神経を鍛える軽い運動を毎日続ける、朝きちんと目覚めるために睡眠をしっかりとることなどを心がけましょう。

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