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「頻発月経」の症状・原因・改善方法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/09/28
「頻発月経」の症状・原因・改善方法はご存知ですか?医師が監修!

正常の周期ではなく何度も月経が来ると、子宮に異常があるのではないかと不安になるという話をよく聞きます。

問題がない場合もありますが頻繁に来る月経の裏に病気が隠れていることもあるので、早期発見のためには放置は好ましくありません。

そのためこの記事では、頻発月経とはどのような状態なのか・原因・診断方法・治療方法などについて解説しています。

ぜひ、この記事の情報をご自身の身体の状態を把握するための参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

頻発月経の原因や症状

痛がる女性

頻発月経とはどのような状態ですか?

正常の月経周期よりも短い頻度で月経が来る状態のことです。正常の月経周期は25~38日が範囲となっていますが、頻発月経は月経周期が25日未満で頻繁に月経が来る状態のことをいいます。無排卵性頻発月経・排卵性頻発月経の2種類に分けられます。
無排卵性頻発月経は排卵を含まない出血のことで出血量が少なく、月経が長引くことが特徴です。頻発月経の約60%は無排卵性頻発月経であり、ホルモンバランスが安定していない思春期や更年期前の女性によくみられるタイプです。
思春期の場合は多くが自然に正常の状態へ移行するため基本的に治療の必要はありません。しかし、日常に支障をきたす月経困難症と診断される場合には、薬を使い周期を安定させる治療を行うことがあります。
排卵性頻発月経は排卵を含んだ頻発月経のことをいい、卵胞期短縮・黄体機能不全などの症状が原因で起きている可能性があります。卵胞期短縮においては病気ではなく自然な生理現象(思春期・閉経前のホルモンバランスの乱れ)である場合が多いため、治療の必要はほとんどありません。
しかし、黄体機能不全においては不妊や流産につながる可能性があるため治療が必要です。

原因を教えてください。

原因はストレスなどによるホルモンバランスの乱れ・卵巣機能の低下があります。とくに急激なダイエットやストレスによってホルモンバランスが乱れ、月経不順・無月経になる方は多いです。
また先述したように、黄体機能不全も原因の1つです。不妊・流産の原因となるので、妊娠・出産を望んでいる方はホルモンの分泌状態を調べてもらいましょう。

どのような症状が出るのですか?

月経が1か月の間に何度も来る・貧血になるなどの症状が出ます。通常の月経は1か月に1回の頻度ですが、頻発月経になると1か月に2・3回ほどの頻度になります。
出血する機会が多くなるため、体内に必要な量の血液が足りなくなり貧血の症状を起こし立ち眩み・吐き気・眩暈などの症状がでやすくなるでしょう。

月経不順との違いを教えてください。

月経不順とは月経の周期に乱れがある状態のことをいいます。月経不順は正常の月経の周期(25〜38日)内ではない状態の月経のことを指し、頻発月経のみならず様々な症状がこの言葉に内包されています。
月経不順に内包されている症状は主に25日未満に月経が来る「頻発月経」39日よりも遅くに来る「稀発月経」3か月以上来ない「無月経」の3つです。
また、月経が来たとしても月経の期間が1~2日の場合は「過短月経」1週間以上続く場合は「過長月経」と呼ばれています。これらのことからわかる違いは、月経不順は様々な症状を内包し、その一つの症状として頻発月経が月経不順という言葉の中に内包されているということです。

頻発月経の検査や治療

生理イメージ 1

頻発月経が疑われる場合にはどのような検査を行いますか?

主に、基礎体温の測定・超音波検査・血液検査・細胞診検査・頭部MRI検査・染色体検査の6つの方法で検査を行います。これらの検査によってわかるのは順に、排卵の有無・子宮・卵巣の異常・ホルモン分泌の異常・がんの有無・脳下垂体の異常・性の染色体の異常です。

どのように診断されますか?

月経に排卵が伴う場合には排卵性頻発月経伴わない場合には無排卵性頻発月経と分類します。基礎体温が一定の場合には無排卵性頻発月経、一定でない場合には排卵性頻発月経という判断方法です。
排卵性頻発月経はそこからさらに卵胞期短縮性・黄体期短縮性に分類できます。月経から排卵までの期間が短ければ卵胞期短縮性、排卵から次の月経までの期間が短ければ黄体期短縮性となります。

治療方法を教えてください。

頻発月経の治療方法は、患者さんによって異なります。年齢・症状・要望などによって治療方法を決定します。年齢・症状によって対応方法が異なるためです。
例えば思春期女性の場合は卵巣機能が未熟のため無排卵性頻発月経になりやすいですが、ほどんどが自然に正常の月経周期に移行するため基本的に治療はしません。しかし、頻発月経によって日常の生活に支障をきたす月経困難症と診断される場合にはピルなどの薬を使った治療が求められるでしょう。
性成熟期の女性(10代後半〜40前半)の場合には、検査で疾患の有無を確認したのちに治療の有無を判断します。例えば、疾患があればその疾患の治療、疾患がなければ患者さんの希望に合わせてピルの処方を行うことになるでしょう。更年期女性の場合には、まず子宮体ガンなどの重篤疾患の有無を確認します。
重篤疾患がなく貧血などの症状がある場合には、血栓症のリスクを避けるために血栓の副作用のない内服薬で治療をします。

頻発月経の早期発見や改善

低容量ピル

頻発月経を早期発見する方法はありますか?

頻発月経の早期発見には、基礎体温を記録することが大切です。ホルモンバランスの変化に伴って基礎体温が変わるので、この情報をもとに排卵日・月経の予測を立てやすくなります。
体が安静状態のときの体温が基礎体温です。朝起きたら、布団から起き上がらずに計測しましょう。記録をしておけば体の異常に気付きやすく、また病院に受診するときもこの情報をもとに正確な診断ができます。

自分でできる頻発月経の改善方法を教えてください。

頻発月経はホルモンバランスの乱れによって起こる場合もあるので、ホルモンバランスを整えることで改善が期待できます。ホルモンバランスの改善方法として3つの方法が挙げられます。
1つ目は食事の改善です。ホルモンバランスの乱れの原因として、バランスの悪い食生活が挙げられます。そのため、五大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する習慣を身につけるとホルモンを整えられます。
2つ目は睡眠の改善です。質の悪い睡眠は、ホルモンバランスが崩れてしまいます。ショートスリーパー・ロングスリーパーなどの特殊な睡眠時間が適している方もいますが、基本的に7時間睡眠が適切とされているため必要最低限の睡眠をとるようにしましょう。また、睡眠時間だけでなく「朝起きたときに太陽の光を浴びる」「睡眠前に食事やカフェインを含んだ飲料を摂取しない」なども質の高い睡眠のために重要となります。
3つ目は運動の改善です。運動不足になると血行・代謝が悪くなり、これによってホルモンバランスが乱れる可能性があります。これを改善するためにラジオ体操やヨガなどのゆったりとリラックスできる運動を取り入れ、血行・代謝をよくするようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

月経の状態が正常か異常なのか、正確に判断するのは難しいです。なぜなら、個人差もあるからです。しかし頻発月経は、何らかの病気が原因で症状が起きている可能性があります。早期発見するために基礎体温を測り月経の周期を把握することが大切です。
また、日々の健康のために正常な月経は必要不可欠ですので、月経の周期に乱れを感じたり違和感を覚えたりしたら放置せずに早急に病院へ受診するようにしましょう。

編集部まとめ

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今回の記事では、頻発月経の原因・診断方法・治療方法などを解説しました。

頻発月経は無排卵性頻発月経・排卵性頻発月経に大きく分けられ、無害な状態と早期に治療が必要な場合があります。

自分の月経周期に異常を感じたら、その症状が病気を知らせている場合があるので、放置せずに早期に病院へ受診しましょう。

この記事の監修医師