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「ロタウイルス」という胃腸炎を引き起こす感染症を解説!乳幼児に感染しやすい!

 公開日:2023/09/13
「ロタウイルス」という胃腸炎を引き起こす感染症を解説!乳幼児に感染しやすい!

ロタウイルス感染症は、特に乳幼児にとって深刻な健康リスクをもたらす可能性がある感染症の一つです。

ロタウイルスによる感染は、下痢や嘔吐などの症状を引き起こし、場合によっては入院が必要になります。

しかし、正しい知識と予防策を持つことで、感染のリスクを大幅な減少が可能です。

この記事では、ロタウイルスとは何か・感染の原因や症状・予防策など、ロタウイルス感染症に関する基本的な情報を詳しく解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

ロタウイルス感染症の症状や原因

親子と医者

ロタウイルスってなんですか?

ロタウイルスとは、急性の胃腸炎を引き起こすことで知られるウイルスの一種です。ロタウイルスは、特に乳幼児期(0〜6歳頃)の子供に感染しやすいため、この年齢層の子供が最も影響を受けやすいとされています。
また、ロタウイルス感染症は、世界中の多くの地域で子供に見られる病気です。特に発展途上国では、ロタウイルスによって引き起こされる合併症や死亡リスクも考えられる病気です。医療体制が整っている日本では死亡リスクが低いものの、患者数は年間80万人にものぼるとされています。
ロタウイルスの感染力は非常に高く、少量のウイルスでも感染が広がる可能性があるため、日常生活においては十分な予防策を講じることが非常に重要です。

ロタウイルス感染症の主な症状を教えてください。

ロタウイルス感染症の主な症状は以下のとおりです。

  • 水のような下痢
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 腹痛

これらの症状は、感染した後の2〜3日以内に急激に現れることが多いとされています。その後、水のような下痢が何度も出るようになります。特に、下痢や嘔吐は非常に激しい状態となることが多いです。
これらの症状により、特に乳幼児や高齢者などの体力が弱い人々は、脱水症状を引き起こす可能性があるため注意しましょう。脱水症状は体にとって非常に危険な状態であるため、早期の対応や治療が必要です。
ロタウイルス感染症は、通常であれば2〜3日から1週間程度で上記の症状が改善されます。しかし、初めての感染では特に重症化する場合があるため、注意が必要です。重症化した際には、命に関わる場合もあります。意識が低下したりぐったりしたりするなどの症状が出た場合や、脱水症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けてください。

ロタウイルス感染症の原因はなんですか?

ロタウイルス感染症の主な原因は、ロタウイルスに感染することです。ロタウイルスは、特に感染者の便中に高濃度で存在しており、便を介した経路で感染が広がるといわれています。そのため、感染者の便に直接触れたり、便が付着したものを触ることには注意が必要です。
また、飛沫感染のリスクや、感染した食物を摂取することによる感染の可能性も存在します。公共の場所・学校・保育園などの集団生活をしている場所では、多くの人々が接触しやすい場所です。そのため、こうした場所では感染が急速に広がるリスクが高まります。
このような環境下では、定期的な手洗いや周囲の衛生管理を徹底することが、感染予防のための最も基本的かつ重要な対策となります。

ロタウイルス感染症はいつかかりやすいですか?

ロタウイルス感染症は、特に乳幼児期(0〜6歳頃)の子供に感染しやすい病気です。この年齢層の子供は、免疫がまだ完全に発達していないため、感染のリスクが高まります。実際に、多くの子供は5歳までに一度はロタウイルスに感染するといわれており、感染力の強さを示しています。
さらに、ロタウイルスは季節性のある病気であり、特に冬から春にかけては注意が必要です。ロタウイルスは、乾燥や寒さが厳しくなることで生存しやすい環境が形成され、感染を助長する主な要因と考えられています。そのため、冬から春の時期には特に感染予防対策の強化が推奨されています。

ロタウイルス感染症の治療

親子

ロタウイルス感染症になったら気を付けることはありますか?

ロタウイルス感染症に罹患した際に最も重要なことは、他の家族や周囲の人々への感染拡大を防ぐことです。ロタウイルスは感染力が非常に強く、特に感染者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれています。
したがって、これらの物質に触れた場合にはその後すぐに手を洗うことで、ウイルスの拡散を防げます。手洗いは、石鹸を使用し、十分な時間をかけて行うことが望ましいです。
また、感染者が使用した食器・タオル・寝具などの日常用品は、他の家族や同居人とは分けて使用することが重要です。これらの用品は、使用後にすぐに洗浄して、可能な限り高温での消毒を行うことで、ウイルスの生存を防げます。

ロタウイルス感染症はどのように治療しますか?

ロタウイルス感染症にかかった場合には、基本的には自然治癒を待つことになります。これは、ロタウイルス感染症に対する特効薬は存在していないためです。
感染した場合は、体から自然にウイルスが排除されることを待ちます。しかし、感染症の症状、特に下痢や嘔吐は体内の水分や電解質のバランスを乱す可能性があるため、適切な水分補給が非常に重要です。
具体的には、下痢や嘔吐が続く場合、体内の水分や塩分を補うために経口補水液の摂取が強く推奨されています。経口補水液は、薬局やスーパーなどで手軽に購入できます。

ロタウイルス感染症になった際の適切な汚物の処理方法を教えてください。

ロタウイルス感染症に罹患した際の汚物を扱う場合には、汚物に直接触れないように処理することが重要です。感染者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれているため、これらに触れると感染リスクが高まってしまいます。
具体的な処理方法としては、まず手袋を着用して汚物を取り扱い、それをビニール袋や専用の容器などにしっかりと閉じ込めることで外部との接触を避けるようにしましょう。その後、手を十分に洗浄するだけでなく、アルコールを含んだ消毒剤を使用して手を消毒することで感染リスクを低減できます。
さらに、汚物に触れたタオル・布・衣服などは速やかに洗濯機で洗浄し、なるべく高温で乾燥させることが推奨されています。高温での乾燥は、ウイルスを不活化させる効果があるため、感染リスクの大幅な減少が期待されます。

ロタウイルス感染症の予防について

手洗い

ロタウイルス感染症は予防できますか?

ロタウイルス感染症は、予防接種と日常の予防対策で予防できます。最も効果的な予防方法は、ロタウイルスの予防接種です。感染のリスクを大幅に減少させることが期待でき、乳幼児期の子供の重症化リスクを低減できます。
さらに、日常生活の中での基本的な感染予防対策も非常に重要です。具体的には、手洗いやうがいをこまめに行うこと・公共の場所での衛生管理を徹底すること・感染者との直接的な接触を避けることなどが挙げられます。
これらの予防策を組み合わせることで、ロタウイルス感染症の発症リスクを最小限に抑えられるでしょう。

ロタウイルスの予防接種について詳しく教えてください。

ロタウイルスの予防接種は、小さな子供の健康を守るための重要な手段として、多くの医療機関や専門家から強く推奨されています。ロタウイルス感染症は特に乳幼児にとって重篤な症状を引き起こす可能性があるため、予防接種は感染症の予防や重症化を効果的に防ぐ手段です。
具体的には、接種は生後6週間から32週間の間に行われることが一般的です。接種の回数は薬によって異なりますが、27日以上の間隔をあけて、2回または3回打つことで適切な予防効果を得られます。
予防接種により、ロタウイルス感染症の重症化を防ぐだけでなく、感染リスクの大幅な低減も期待されます。接種後の副反応・注意点・接種のタイミングや方法は、医師や看護師に確認しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ロタウイルス感染症は、特に小さな子供にとっては重篤な症状を引き起こす可能性があります。しかし、予防接種や日常の感染予防対策を適切に行うことで、感染のリスクを大幅に減少させられます。
大切な家族の健康を守るために、予防接種日常の衛生管理を心がけましょう。そして、何か症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

診察
ロタウイルス感染症に罹患した場合、他者への感染拡大を防ぐための対策が極めて重要です。

感染者の便や嘔吐物にはウイルスが多量に含まれるため、これらに触れた後の手洗いは欠かせません。

また、感染者の使用する食器やタオルは他の家族と分け、定期的に洗浄・消毒することが推奨されます。

感染力の強いロタウイルスに対しては、日常の衛生管理と注意が求められます。0〜6歳までの乳幼児に感染が多い病気であるため、この年齢のお子さんをお持ちの方は特に予防やその治療法について理解しておきましょう。

この記事の監修医師