「A型肝炎」の症状や感染経路はご存じですか?ワクチンについても解説!
公開日:2023/08/18

ウイルス性肝炎の注意喚起をテレビのコマーシャルで見たことがある方も多いと思いますが、何種類のウイルス性肝炎があるかをご存知でしょうか。 実は、A型・B型・C型・D型・E型の5種類があります。その中でも日本人に多く感染がみられるのはA型・B型・C型です。 「ウイルスはどこから感染するの?」、「そもそも肝炎ってどういう病気なの?」と不安を感じられる方もいらっしゃるでしょう。 本記事では、 A型肝炎の症状・感染経路・治療方法・予防対策について、詳しくお伝えしていきます。ぜひ、お目通しください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
目次 -INDEX-
A型肝炎の症状や感染経路
A型肝炎とはどのような病気ですか?
肝炎は、消化に関わる働きやさまざまな生命活動に欠かせない機能を担っている肝臓に異常が発生する病気の総称です。ウイルス性肝炎はその名の通り、ウイルスの感染によって発症した肝臓の炎症を主体とした病気を指します。
さらにA型肝炎とは、ピコルナウイルス科に属する一本鎖RNAウイルスが原因となる経口感染が特徴のウイルス性肝炎の一種です。B型とC型肝炎は血液感染のウイルス性肝炎のため全く異なる病気であり、最も一般的な急性ウイルス性肝炎を発症する原因の1つでもあります。
特に小児および若年成人での発症リスクが高いと指摘されている病気です。ほとんどの場合は一過性の急性肝炎症状で、症状が治まった後の1~2か月間はウイルスの排出期間となるため長期間の治療が必要な病気です。
世界保健機関では高レベル感染地域・中レベル感染地域・低レベル感染地域の三つに分類されるほど注意喚起を促す感染症になります。
さらにA型肝炎とは、ピコルナウイルス科に属する一本鎖RNAウイルスが原因となる経口感染が特徴のウイルス性肝炎の一種です。B型とC型肝炎は血液感染のウイルス性肝炎のため全く異なる病気であり、最も一般的な急性ウイルス性肝炎を発症する原因の1つでもあります。
特に小児および若年成人での発症リスクが高いと指摘されている病気です。ほとんどの場合は一過性の急性肝炎症状で、症状が治まった後の1~2か月間はウイルスの排出期間となるため長期間の治療が必要な病気です。
世界保健機関では高レベル感染地域・中レベル感染地域・低レベル感染地域の三つに分類されるほど注意喚起を促す感染症になります。
症状について教えてください。
A型肝炎を引き起こす肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれています。そのため、何らかの病気を発症したとしても症状はほとんどみられません。A型肝炎になっても、すぐに気づくことは難しいでしょう。
一般的にみられる症状は以下の通りです。
しかし、約1%未満では昏睡型急性肝不全(劇症肝炎)を発症する可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。次はA型肝炎の感染経路をみていきましょう。
一般的にみられる症状は以下の通りです。
- 嘔気
- 食欲不振
- 発熱
- 倦怠感
- 腹痛等
しかし、約1%未満では昏睡型急性肝不全(劇症肝炎)を発症する可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。次はA型肝炎の感染経路をみていきましょう。
A型肝炎の感染経路は?
A型肝炎の感染経路は、口から腸管・腸間膜静脈・門脈・肝臓という経路で肝細胞に感染する経口感染です。肝細胞内で増殖したウイルスはその後排泄されるため、一過性であることがほとんどになります。
しかし、腸管内のHAV抗体とウイルスが結合すると腸肝循環によって肝臓に再感染する場合も。A型肝炎は世界中で年間140万人の患者が発生しているといわれ、そのほとんどが不衛生による感染となっています。
よくみられる感染経路は以下の通りです。
2003年に行われた血清疫学調査の結果では、日本全人口の約88%に当たる50歳以下の感染者は、ほぼ100%の割合でHAV感受性者であることが明らかになっています。
しかし、腸管内のHAV抗体とウイルスが結合すると腸肝循環によって肝臓に再感染する場合も。A型肝炎は世界中で年間140万人の患者が発生しているといわれ、そのほとんどが不衛生による感染となっています。
よくみられる感染経路は以下の通りです。
- 汚染された水や食物を摂取する
- 感染者に直接接触する
- 汚染された手が経口に接触する
2003年に行われた血清疫学調査の結果では、日本全人口の約88%に当たる50歳以下の感染者は、ほぼ100%の割合でHAV感受性者であることが明らかになっています。
リスクの高い地域を教えてください。
A型肝炎のリスクがある地域は、ほぼ世界中といえます。特に南アジアであるインド・パキスタン・アフガニスタン・ネパール・バングラデシュ・ブータン・アフリカが高リスク地帯です。
日本人の多くが海外旅行に訪れている台湾もリスクの高い地域に指定されているので、台湾に旅行する方は十分に注意してくださいね。
日本人の多くが海外旅行に訪れている台湾もリスクの高い地域に指定されているので、台湾に旅行する方は十分に注意してくださいね。
潜伏期間はどのくらいですか?
ピコルナウイルス科に属する一本鎖RNAウイルスに感染した場合の潜伏期間は、2~7週間とされています。平均的には約4週間の潜伏期間を経て、発症がみられることがほとんどです。
潜伏期間中にもウイルスは増殖していますが、初期症状はほとんどないため自覚できることはありません。潜伏期間も長期間となるため、感染すれば気づかないうちに流行してしまう危険性があります。
潜伏期間中にもウイルスは増殖していますが、初期症状はほとんどないため自覚できることはありません。潜伏期間も長期間となるため、感染すれば気づかないうちに流行してしまう危険性があります。
A型肝炎の検査や治療
どのような検査が行われますか?
A型肝炎に感染した場合、臨床的にはどのタイプの急性ウイルス性肝炎なのか区別できません。そのため、診断には抗体検査が行われます。
抗体検査とは、血中のHAV特異抗体であるIgG-HAV抗体(IgM)が検出されるかを調べるものです。ほかにも追加で行われる検査には以下のようなものがあります。
抗体検査とは、血中のHAV特異抗体であるIgG-HAV抗体(IgM)が検出されるかを調べるものです。ほかにも追加で行われる検査には以下のようなものがあります。
- 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法
- 血清学的検査
- B型肝炎表面抗原(HBs抗原)
- B型肝炎ウイルスコアに対するIgM抗体(IgM-HBc抗体)
- C型肝炎ウイルス抗体(HCV抗体)およびC型肝炎ウイルスRNA(HCV-RNA)
- 肝機能検査(ALT・AST・アルカリホスファターゼを含む)
- 血清アルブミン・ビリルビン・プロトロンビン時間/国際標準化比(PT/INR)
治療はできるのですか?
A型肝炎に対する治療法はまだ確立されておりません。一過性の感染症ではありますが、回復には数週間~数か月と時間がかかります。また、不必要な薬物治療は避けましょう。
アセトアミノフェン/パラセタモールや制嘔剤などを投与してしまうと、肝細胞の破壊が急激に進行して劇症肝炎を引き起こす場合があります。劇症肝炎とは、肝不全になってしまった状態のことです。
この劇症肝炎を引き起こしてしまうと、適切な治療を行わなければ最悪の場合、死に至る可能性が高くなります。A型肝炎に感染しただけでは、入院の必要はありません。体への負担を少なくして、十分な栄養バランスの食事と水分補給を心がけましょう。
アセトアミノフェン/パラセタモールや制嘔剤などを投与してしまうと、肝細胞の破壊が急激に進行して劇症肝炎を引き起こす場合があります。劇症肝炎とは、肝不全になってしまった状態のことです。
この劇症肝炎を引き起こしてしまうと、適切な治療を行わなければ最悪の場合、死に至る可能性が高くなります。A型肝炎に感染しただけでは、入院の必要はありません。体への負担を少なくして、十分な栄養バランスの食事と水分補給を心がけましょう。
A型肝炎の予防やワクチン
予防のポイントを教えてください。
予防のポイントはとにかく清潔を保つことになります。手洗いうがいをしっかり行うことはもちろん、水道水も浄水したものを使用するのがおすすめです。さらに、健康になるための生活習慣を取り入れていきましょう。
A型肝炎に限らずですが、予防接種を受けてください。予防接種を受けることで、最悪の事態を高確率で防ぐことができます。
人から人にうつるウイルス性感染を防ぐ効果もあります。ワクチン接種についての詳しい内容は次に紹介しましょう。
A型肝炎に限らずですが、予防接種を受けてください。予防接種を受けることで、最悪の事態を高確率で防ぐことができます。
人から人にうつるウイルス性感染を防ぐ効果もあります。ワクチン接種についての詳しい内容は次に紹介しましょう。
A型肝炎に有効なワクチンはありますか?
A型肝炎(HepA)ワクチンが有効になります。ワクチンの接種の推奨は、全ての小児が対象です。
1歳にワクチン接種を行い、1回目の6~18か月後に2回目の接種を行いましょう。0~6歳を対象とした推奨予防接種スケジュールは自治体のホームページからご確認ください。
また以下のような方もワクチン接種をおすすめします。
確実な予防と長期予防効果を得るためには、2回接種することを推奨していますので早めにワクチン接種を受けましょう。
1歳にワクチン接種を行い、1回目の6~18か月後に2回目の接種を行いましょう。0~6歳を対象とした推奨予防接種スケジュールは自治体のホームページからご確認ください。
また以下のような方もワクチン接種をおすすめします。
- HAVの流行が高度または中程度に指定されている国への旅行者
- 臨床検査室の職員
- 肛門での性交
- 注射または注射以外による違法薬物の使用者
- 慢性肝疾患のある患者(HAVにより劇症肝炎の発生リスクが高い)
- HAVの流行が高度または中程度に指定されている国からの国際養子
- 外国人と到着後60日間に濃厚な接触がある方
- 安定した住居がないまたはホームレス状態にある方
- 保育所の職員や軍人
確実な予防と長期予防効果を得るためには、2回接種することを推奨していますので早めにワクチン接種を受けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
A型肝炎はワクチン接種を受けることで予防できる感染症です。また普段の生活から衛生的な習慣を取り入れることで、さらに予防対策は万全なものとなります。もしワクチン接種をまだ受けていないという方はご検討くださいね。
編集部まとめ
世界中で感染する恐れのあるA型肝炎について解説していきました。日本では上下水道や食物の安全性が確保され、A型肝炎の感染率は下がっています。
しかし、防御抗体を持たない方も増えているため、感染症が流行するとあっという間に広がってしまうリスクがあります。
予防接種を受けることで抗体をほぼ100%の割合で得ることができるので、早めのワクチン接種を受けましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
