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「若年性脱毛症」の初期症状や原因はご存じですか?予防法や食事についても解説!

 公開日:2023/08/15
「若年性脱毛症」の初期症状や原因はご存じですか?予防法や食事についても解説!

脱毛症は、年齢を重ねるごとにリスクが高くなるため、若年層ではあまり影響がないと思っている人は少なくありません。しかし、実際には若年性脱毛症というものがあり、通常の脱毛症に比べて進行が早いといわれています。

髪型を気にして髪にダメージを与えてしまったり、食生活の悪さから頭皮に影響がいかなかったりという環境が考えられる現代において、若年性脱毛症に悩む方も増えています。

ここでは、若年性脱毛症の原因・症状・治療について説明しますのでご覧ください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

若年性脱毛症の原因や初期症状

頭を触る医師

若い人でも脱毛症になるのですか?

脱毛症は加齢だけが原因ではありません。そのため、若い人でも脱毛症になることがあります。脱毛症は、髪の毛が局所的にまたは全体的に抜ける症状です。その進行の仕方にはいくつかの種類があります。
円形脱毛症は、頭皮や他の体の部分に円形または楕円形の脱毛部分ができる状態です。円形脱毛症の原因は、免疫系の異常だといわれています。そのため若い人であっても症状が出る可能性があります。全身性脱毛症も若い人にあるタイプで、全身の髪の毛が徐々に薄くなっていく可能性が高いです。

若年性脱毛症の原因を教えてください。

若年性脱毛症は、ホルモンバランスの変化によるものが大きいといわれています。男性ホルモンであるテストステロンが、特定の髪の毛の領域でジヒドロテストステロンに変化します。
これが毛包に作用して髪の成長を妨げる要因です。ホルモンバランスによる脱毛は、若年性脱毛症に限らず通常の脱毛症であっても原因の1つです。
また、遺伝的な要素が関与していることも考えられます。特定の遺伝子が関与し、家族内でパターン化された脱毛の傾向として認識されます。若年層の場合は、ストレスが発症や進行を促すことも大きいです。ストレスはホルモンバランスを変化させ、炎症反応を引き起こします。
これらの要因は、必ずしも若年層特有のものではありませんが、いくつかの条件がくい合わさって脱毛症を引き起こすことから、若年層には原因として大きく影響します。

初期症状を教えてください。

若年性脱毛症の初期症状は個人によって異なります。しかし一般的には、男性では頭頂部や前頭部の髪の毛が徐々に薄くなる傾向が多いです。薄毛の部分は髪が細くなり、頭皮が透けて見えることがあります。若年性脱毛症の場合は、髪の毛の量が減少することから始まります。
ヘアケアをしている時やヘアスタイルを整えている時などに、髪の毛が以前よりも薄くなってきたと感じた場合が初期症状です。単に髪の毛の本数が少なくなるだけでなく、髪の毛が細くなることでボリュームがなくなることもあります。若年層の髪は、しっかりとしてコシがあり太いという印象がありますが、髪が細くなるとそれらが感じられません。

壮年性脱毛症との違いはありますか?

壮年性脱毛症と若年性脱毛症は、発症の時期が異なるだけでなく、進行の度合いに違いがあります。発症時期は、壮年性脱毛症は30歳以上の成人男性に現れるものです。
一方若年性脱毛症は10代後半から20代前半の若い年齢層で発症することが多くなり、進行の速さにも違いがあります。壮年性脱毛症は徐々に進行する傾向があり、数年や数十年という長期的な期間で徐々に進行していきます。
しかし、若年性脱毛症では比較的早い段階で髪の毛の薄毛や抜け毛が始まり、進行が速いケースが多いです。脱毛のパターンは、それほど大きな違いはありませんが、壮年性脱毛症が頭頂部や前頭部といった一部が集中的に進行する場合が多いです。
一方若年性脱毛症では、髪の毛の薄毛や抜け毛が頭頂部や前頭部だけでなく頭髪部全体にわたることがあります。

若年性脱毛症の診断や治療

頭を触る男性

若年性脱毛症はどのように診断されますか?

若年性脱毛症の診断は、まず、患者の髪の毛の状態や症状を詳しく確認します。髪の毛の薄毛・抜け毛・頭皮の異常などが主にチェックされるポイントです。この時、患者の病歴についても調べます。脱毛の開始時期・進行の速さ・家族内での脱毛のパターンなど関連する情報で判断材料の幅を広げることが目的です。
頭皮と髪の毛に関しては、髪の毛の密度・毛包の状態・頭皮の炎症の有無など実際に見て確認します。必要と判断された場合、皮膚生検・血液検査・トリコグラムといった追加の検査が実施されます。
他の病気によるものでないことを確認するために、頭皮の感染症・甲状腺機能異常・栄養欠乏などの検査も追加で実施されるかもしれません。これらを総合的に判断し、適切な治療方法が提案されます。

若年性脱毛症の治療方法を教えてください

若年性脱毛症の治療方法として、最も一般的なのがミノキシジルの直接塗布です。ミノキシジルは、頭皮に直接塗布することで毛母細胞の血流を促進し、髪の成長を刺激します。内服薬として処方されるのはフィナステリドです。 フィナステリドは、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンの生成を抑制できます。
ただし、性欲減退や勃起障害といった副作用が報告されていることもあり、成人男性に処方されることが多く、若年層の場合は、医師との相談が重要です。特に若年層の場合は、心理的な負担が大きくなります。
その結果、脱毛がさらに進行してしまう可能性があるため、心理的な負担を低減させるサポートやカウンセリングが提供されることもあります。

未成年でも治療は可能ですか?

未成年が若年性脱毛症の治療を行う場合は、気をつけなければならないポイントがあります。若年性脱毛症は、治療について、医師と保護者を交えた相談を行った上で治療方針を決めます。投与される外用薬や内服薬は、投与量や使用方法を正しく行わなければ、効果を得られないだけでなく、副作用が心配されるものです。
特に、フィナステリドの副作用に関しては、医師が患者とその保護者に説明し、リスクと効果を見極めた上で判断する必要があります。また、ステロイド注射による療法を行う場合は、専門医の指導の元で治療方針を決めていきましょう。
未成年者の場合、成長や発育に関する特有の要素が考慮されるべき治療になります。リスクとのバランスを考慮しながら最適なアプローチを選択しましょう。

若年性脱毛症の予防方法や食事

若年性脱毛症を予防する方法はありますか?

若年性脱毛症を完全に予防する方法ではありませんが、生活改善をすることで脱毛の進行を遅らせたり症状を軽減したりできます。健康的な生活習慣を維持することで、身体だけでなく髪の健康にも良い影響があります。バランスの取れた食事・十分な睡眠・適度な運動などが重要です。
また、ストレスに対するコントロールも有効です。若年層の場合は、自分自身のストレスに対しコントロールをすることは簡単ではありません。趣味・遊び・友達との交流・リラクゼーションなどで、ストレスが溜まる前にコントロールするようにしましょう。
普段の生活においては、過度なヘアスタイリングや髪の毛に対して熱や化学物質の使用は、髪の毛や頭皮にダメージを与える可能性があります。できるだけこれらを避けて、髪を優しく取り扱うことが重要です。

若年性脱毛症におすすめの食材を教えてください。

バランスの良い食事をすることが最も重要なことですが、その中でも頭皮や髪の毛の健康を保つビタミン類は重要です。頭皮の健康を維持するビタミンAは、レバー・にんじん・スイートポテト・カボチャなどに含まれています。
頭皮の血行を促進するビタミンBは、肉類・魚・卵・豆類などの食材に含まれています。 オレンジ・レモン・イチゴ・ブロッコリーなどの食材に含まれているビタミンCは髪の毛の強度と弾力性を保つために重要です。
バランスの取れた食事を心がけ、髪の主要な構成要素であるタンパク質と、上記に挙げたビタミンをバランスよく摂取するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

若年性脱毛症は、通常の脱毛症と大きな違いはありません。しかし、若年層だからこその精神的な負担や進行の速さは気にしておくべきことです。治療に関しても若年層であることを意識し、最適な治療プランを立てることが重要です。そのためには、抜け毛が気になるといった日々の生活の中での気づきを放っておかず、かかりつけ医や専門医に相談するようにしましょう。

編集部まとめ

笑顔 女性
脱毛症は、ホルモンバランスの乱れが直接的に引き起こす症状ではありますが、若年性脱毛症は特に普段の生活の中で予防できたり、改善できたりすることも可能です。

まずは、生活改善を行い、食生活やヘアケアの改善を行いましょう。その上で、気になることがあれば早めに検査を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師