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「牽引性脱毛症」という髪が引っ張られることで発症する脱毛症はご存知ですか?

 更新日:2024/01/10
「牽引性脱毛症」という髪が引っ張られることで発症する脱毛症はご存知ですか?

牽引性脱毛症を知っていますか?
本記事では牽引性脱毛症について以下の点を中心にご紹介します。

・牽引性脱毛症の原因
・牽引性脱毛症の特徴
・牽引性脱毛症の治療法と予防法

牽引性脱毛症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

牽引性脱毛症とは

牽引性脱毛症とは

牽引性脱毛症とは何ですか?

牽引性脱毛症は、髪が引っ張られることにより引き起こされる脱毛症の一種です。この病気は、髪が抜けるだけでなく、血行不良により髪の成長が妨げられることもあります。細菌やウイルス、ホルモンの影響はなく、主に日常の習慣が原因となります。

例えば、ポニーテールやエクステの使用、ヘアアイロンの頻繁な使用などが挙げられます。これらの習慣により髪が引っ張られ、頭皮の血行が悪くなり、髪への栄養供給が不足するため、抜け毛が増える可能性があります。

初期段階では、髪の毛が薄くなり、頭皮が見えるようになります。長期間にわたって引っ張りが続くと、毛母細胞が完全に破壊され、髪の毛が再生できなくなる可能性もあります。

牽引性脱毛症の原因は何ですか?

牽引性脱毛症の原因は日常生活の中のさまざまな行為によるものです。牽引性脱毛症の原因について、以下で解説します。

ポニーテールや結び
長期間にわたって髪を強く引っ張ることが牽引性脱毛症の主な原因です。髪を結ぶ、まとめるというヘアアレンジは、その結ぶ場所がいつも同じであれば牽引性脱毛症につながる可能性があります。特にポニーテールのように髪を引っ張って結ぶスタイルは、髪の毛に持続的な力を加えるため、脱毛を引き起こす可能性があります。

例えば、タイトなヘアスタイル(三つ編みやポニーテール)、ヘアエクステンションの使用、または頻繁なヘアアレンジが挙げられます。髪の毛や頭皮に継続的なストレスがかかり、毛母細胞が損傷して髪が抜け落ちる結果となります。

髪の分け目
髪の分け目は自然に形成されますが、毎日同じ場所で分けると、その部分に持続的な力が加わり、牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります。

髪をかきあげる
髪を気にする、髪の毛に手が行ってしまうという人は、知らないうちにかき上げていることが多いと思います。かき上げるしぐさにちょっと力が入ると引っ張ることになりますので、牽引性脱毛症になる可能性は大いにあります。
髪に過度の引っ張りがかかると、髪の痛みや弱さが生じます。これは、髪の毛の根元にある毛母細胞がストレスによってダメージを受けるためです。ダメージが蓄積すると、髪の成長が阻害され、脱毛が進行する可能性があります。

エクステンションの使用
エクステンションは髪の長さや量を増やすために使用されますが、地毛に取り付ける過程で髪の毛に負担をかけるため、牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります。

ヘアアイロンの使用
ヘアアイロンは髪をはさんで力を加えながら滑らせるため、髪の根元に負担をかけ、牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります。

これらの行為は、髪の毛や頭皮に持続的な力を加えることで、髪の毛の根元に負担をかけ、血行を妨げ、髪の成長を阻害します。その結果、髪の毛は抜けやすくなり、牽引性脱毛症を引き起こします。
これらの行為を避けることで、牽引性脱毛症のリスクを減らすことが可能です。また、既に症状が出ている場合は、髪の毛に負担をかける行為をすぐに止め、必要であれば医療機関での診察を受けることをお勧めします。

牽引性脱毛症の特徴にはどのようなものがありますか?

牽引性脱毛症の特徴は、ホルモンバランスとは無関係であり、進行性ではないこと、そして誰にでも発症可能であることです。牽引性脱毛症の特徴について、以下に解説します。

抜け毛に白い毛包やヒゲ根がある
牽引性脱毛症によって抜けた髪には、毛包という白いものが付着しています。これは髪が引っ張られて抜けた結果で、自然な抜け毛では毛包はつきません。また、髪が引っ張られて抜けた場合、毛球がひげ根と呼ばれる状態になることがあります。これは髪が引っ張られるときに、毛球が変化したために起こる現象です。

子供でも発症する
牽引性脱毛症は、髪を引っ張ることによる物理的ダメージが原因となる薄毛疾患なので、日頃から髪を結んでいる子供にも発症するリスクがあります。

牽引性脱毛症の見分け方はありますか?

牽引性脱毛症を見分けるには、以下の特徴に注目しましょう。牽引性脱毛症は、髪の毛を強く引っ張るような髪型や日常的な行動によって起こる脱毛症状です。特に、生え際や分け目の抜け毛が増えることが特徴的です。

髪の毛を強く引っ張る髪型としては、ポニーテール、三つ編み、編み込み、お団子などがあります。また、ヘアアイロンやブラシの使い過ぎも牽引性脱毛症の要因となり得ます。

男性の場合、ドレッドヘアやサムライヘアなどの髪型が牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります。これらの髪型は髪の毛を強く引っ張るため、頭皮にダメージを与えやすいです。

また、脱毛の範囲やパターンもチェックしましょう。牽引性脱毛症では、引っ張られた髪の毛周辺が薄くなる傾向があります。頭皮の炎症や痛みも見られます。髪の毛を引っ張ることで頭皮が炎症を起こし、それによって脱毛が進行する可能性があります。

牽引性脱毛症は何歳頃に発症しますか?

牽引性脱毛症は、一般的には特定のヘアスタイルや髪の処理方法による長期間の引っ張りが原因となります。したがって、発症年齢はそのスタイルや処理をしている時期に関連しています。

一般的に、牽引性脱毛症は幼少期から青年期にかけて発症することが多いとされています。子供や思春期の若い女性が特に影響を受けやすく、学校やスポーツ活動、舞台などでの厳しいヘアスタイルやヘアアクセサリーの使用が原因となる可能性があります。

しかし、牽引性脱毛症の発症年齢は個人によって異なる場合もあります。特定のヘアスタイルや髪の処理方法を長期間続けることによって、髪の毛に対する引っ張りが持続し、脱毛が進行する可能性があります。

牽引性脱毛症の治療法と予防法

牽引性脱毛症の治療法と予防法

牽引性脱毛症の治療法とはどのようなものですか?

牽引性脱毛症の治療には以下の方法があります。

牽引性脱毛症の治療には、髪を引っ張る力を軽減するヘアスタイルを選びましょう。緩めのポニーテールや髪を下ろしたスタイルなど、髪に対する引っ張りを最小限に抑えるスタイルを選びましょう。

頭皮マッサージは、血行を促進し、頭皮の健康を改善するのに役立ちます。牽引性脱毛症の治療には、優しく頭皮をマッサージすることで、毛母細胞の活性化や髪の成長を促します。

牽引性脱毛症の治療には、引っ張りを引き起こす要因を特定し、それを取り除くことが重要です。ヘアアクセサリーやヘアトリートメントの使用を見直し、頭皮への力のかかり方を改善するなどの対策が考えられます。

頭皮の健康を維持することも牽引性脱毛症の治療に重要です。適切な洗髪方法や頭皮に優しいシャンプー・コンディショナーの使用、栄養バランスの良い食事など、頭皮の健康をサポートするケアをしましょう。

重度の牽引性脱毛症の場合は、専門家の診断と治療が推奨されます。皮膚科医やトリコロジスト(髪の専門家)に相談し、適切な治療法を受けることで、症状の改善や髪の成長の促進が期待できます。

牽引性脱毛症は治りますか?

牽引性脱毛症は早期に適切な対策が取られた場合、多くの場合治る可能性があります。その対策とは、髪や頭皮に過度の負担をかける行為(特定のヘアスタイルやトリートメントなど)を止めることです。

具体的には、髪を強く引っ張る髪型を避け、髪の結び方をゆるめる、定期的に分け目を変えるなどがおすすめな対策となります。これらの行為を通じて、髪や頭皮のストレスを減らし、髪の成長を正常に戻すことが可能です。さらに、頭皮マッサージを行うことで血行を促進し、毛根に栄養を供給することが可能です。

また、育毛剤の使用も一つの選択肢となります。育毛剤は、毛根にダメージを受けた部分に対して育毛成分を供給し、毛髪の再生を促進します。ただし、育毛剤の効果は個々の体質や症状により異なるため、使用する際は注意が必要です。

しかし、重要なこととして、牽引性脱毛症が長期間続いて毛包(髪の毛が生えてくる部分)が破壊されてしまうと、その部分からは新たな髪の毛が生えてこない可能性があります。この状態になってしまうと、治すことは非常に難しく、永久的な脱毛となる可能性があります。

したがって、牽引性脱毛症の兆候を感じた場合は、できるだけ早く行動をとることが重要です。また、自己判断でなく、皮膚科医などの専門家に相談することをおすすめします。

牽引性脱毛症に予防法はありますか?

牽引性脱毛症の予防法について、以下に解説します。

髪に引っ張りが加わるヘアスタイルを避けることが重要です。特にタイトなポニーテール、三つ編み、ブレード、コーンロウなどのスタイルは、長時間続けることで髪に過度な引っ張りを引き起こし、牽引性脱毛症のリスクを高めます。代わりに緩めのヘアスタイルを選びましょう。

頭皮には休息が必要です。ヘアスタイルを変えることで、髪を引っ張る力を分散し、頭皮に対する負担を軽減できます。タイトなスタイルを続ける前に、髪を解放し、頭皮の十分な休息が重要です。

髪の処理方法も牽引性脱毛症の予防に関与します。ブラッシングやコーミングの際に髪を強く引っ張らないように注意しましょう。また、熱スタイリングや化学的な処理によるダメージも髪の弱体化を招く可能性があるため、適切な予防策を講じることが重要です。

頭皮と髪の健康を保つために、適切な髪のケアをしましょう。頭皮を清潔に保つために適切なシャンプー・コンディショナーを使用し、頭皮マッサージをすることで血行を促進します。また、栄養バランスの取れた食事や適度な水分摂取も髪の健康に重要です。

牽引性脱毛症のリスクが高い場合や既に症状が現れている場合は、皮膚科医やトリコロジスト(髪の専門家)に相談しましょう。専門家は適切なアドバイスや治療法を提供してくれます。早期の対応が重要であり、専門家の指導を受けることで症状の進行を抑え、健康な髪の状態を保てます。

牽引性脱毛症の予防には、適切なヘアアクセサリーの選択も重要です。金属製のヘアピンやヘアクリップは頭皮や髪に負担をかける可能性があるため、柔らかく頭皮にやさしい素材のものを選びましょう。また、ヘアアクセサリーを長時間使用する際は、頻繁に位置を変えることで引っ張りを軽減できます。

ストレスは髪の健康にも影響を与える要素です。過度のストレスは牽引性脱毛症のリスクを高める可能性があるため、適切なストレス管理が重要です。リラクゼーション法やストレス軽減の方法を取り入れ、心身のバランスを保つよう心がけましょう。

これらの予防法を実践することで、牽引性脱毛症のリスクを軽減し、健康な髪を維持できます。ただし、個人の状況や原因によって影響は異なるため、自身の髪の状態を正しく理解し、適切な予防策の選択が重要です。定期的な頭皮と髪のケアを行い、専門家の助言を受けながら、髪の健康を保つことを心掛けましょう。

牽引性脱毛症に効果が期待できるマッサージについて

牽引性脱毛症に効果が期待できるマッサージについて

牽引性脱毛症に良い頭皮マッサージを教えてください

頭皮マッサージは、頭皮にゆとりがなく張っている場合に効果が期待できます。頭皮が硬くなると、血行が悪くなり髪に栄養が行き届きにくくなりますが、適切なマッサージによって改善が期待されます。

頭皮マッサージの手順は、耳の周りに指を置き、頭皮を上に向かって引き上げます(1回5秒×4回)。指先に力を入れて、指の腹を地肌から離さないようにすることが大切です。また、頭頂部の周辺に指を置き、頭皮を左右に動かし(7往復)、同様に前後に動かす(7往復)ことで、頭皮の運動の促進が期待できます。

牽引性脱毛症に良い頭皮のツボはありますか?

特定の頭皮のツボが、牽引性脱毛症に対して直接的に効果が期待できるという科学的な根拠は現時点では確立されていません。しかしながら、伝統的な東洋医学の観点では、頭部には身体のエネルギーメリディアン(経絡)が通っており、頭皮のツボに刺激を与えることで、全身のバランスや血液、水分の流れを改善し、神経的な緊張をほぐすことが期待されています。

頭頂部にある「百会」や側頭部に位置する「風地」は、頭部の血行や水分代謝を良くする効果が期待されています。また、「百会」は頭部の緊張感を和らげる働きもあります。「亜門」「天柱」は、神経的な緊張を和らげるとされています。

これらのツボに対して指圧やマッサージをすることで、頭皮の血行や代謝を改善することが期待されます。ただし、個人差や症状によって異なる可能性もあるため、ツボを刺激することによる対処法は個別の状態に合わせたアプローチが必要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

牽引性脱毛症は、引っ張りによって起こる髪の抜け毛の症状です。適切なヘアスタイルの選択、頭皮のケア、ストレス管理など、予防法の実践が大切です。早期の対応と専門家のアドバイスを受けることも重要です。自分の髪と頭皮の状態をよく理解し、適切なケアをしましょう。

編集部まとめ

牽引性脱毛症
牽引性脱毛症についてお伝えしてきました。牽引性脱毛症についての要点をまとめると以下の通りです。

・牽引性脱毛症は、髪の毛を引っ張ることによって起こる一種の脱毛症であり、持続的に引っ張られた髪の毛周辺が薄くなる特徴がある
・牽引性脱毛症は幼少期から青年期にかけて発症することが多い
・髪が引っ張られるようなヘアスタイルやヘアアクセサリーを避け、適度に頭皮や髪をケアすることで牽引性脱毛症は予防される

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師

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