「感覚過敏」の原因や種類別の症状・対処法はご存知ですか?医師が監修!
感覚過敏を知っていますか?
本記事では感覚過敏について以下の点を中心にご紹介します。
・感覚過敏の症状
・感覚過敏の原因
・感覚過敏の対処法
感覚過敏について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
感覚過敏とは?
感覚過敏とは何ですか?
感覚過敏は、神経系の異常や発達障害などが原因となる可能性があります。この状態では、日常生活において感覚刺激が過剰になり、不快感やストレスを引き起こします。
感覚過敏を持つ方は、適切なサポートや療法を受けることで、感覚の調節が改善され、生活の質が向上する可能性があります。
感覚過敏は生まれつきですか?
これは、脳が情報を処理する方法に起因すると考えられており、個々の人が「気の持ち方」や「慣れ」によって変えることができるものではありません。聴覚過敏の人々は、特定の音に過剰に反応したり、多くの人にとっては気にならないような音を非常に大きく感じることがあります。例としては、特定の音や特定の人の声や突然の予測不可能な音があります。
このように感覚過敏は生まれつきなので、自分自身がこの問題を自覚しにくいという問題もあります。困難が生じても、「みんな我慢している」「自分の我慢が足りないだけだ」と自分を責めてしまうことがあります。しかし、これは自己責任の問題ではなく、生まれつきの脳の情報処理によるものです。
感覚過敏にはどのような種類がありますか?
これらの感覚過敏は、神経系の異常や発達障害に関連している場合があります。正確な診断と個別の対応が必要であり、適切なサポートや療法が大切です。
感覚過敏の症状は種類別にどのようなものがありますか?
聴覚過敏は、音に対して過敏な反応を示す状態です。騒々しい環境や高い音、急激な音の変化によって過敏な反応が起こります。耳鳴りや音の歪みを感じる、聞こえる音が遠くに感じられる、音によって興奮や不安を感じるなどの症状が見られます。聴覚過敏の方は、静かな環境や適度な音量調整が必要です。
触覚過敏は、身体の触れる感覚に対して過敏な反応を示す状態です。衣服の触れ具合やタグの感触、温度の変化、強い圧力などに敏感に反応します。触覚過敏の方は、特に特定の素材や触れ方によって不快感や痛みを感じる場合があります。
味覚過敏は、味に対して過敏な反応を示す状態です。特定の食べ物の味や食材の組み合わせに敏感に反応します。苦味や酸味、刺激的な味が特に感じやすく、好みの食べ物の幅が狭い場合があります。味覚過敏の方は、食事の選択肢が制限される場合があります。
嗅覚過敏は、においに対して過敏な反応を示す状態です。強い香りや刺激的な匂い、特定のにおいに対して過敏に反応します。嗅覚過敏の方は、香水やクリーニング剤などの強い香りに過敏に反応し、頭痛や吐き気を引き起こす可能性があります。また、環境のにおいの変化にも敏感に反応し、特定の匂いを避ける傾向があります。
感覚過敏はセルフチェックできますか?
例えば、聴覚過敏では大きな音や突然の音を怖がる、視覚過敏では明るいライトや太陽の光を避ける、味覚過敏や嗅覚過敏では他の人が気づかないようなにおいに敏感に反応する、触覚過敏では特定の衣類を着用しないなどが挙げられます。
ただし、これらのチェックリストが当てはまるからといって必ずしも感覚過敏とは限らず、医師や専門家との相談が必要です。
また、感覚過敏の対策としては、不安を軽減することが重要で、見通しを視覚的に伝える、安心できるグッズを持っておく、不快刺激から離れる場所を用意するなどが有効とされています。
感覚過敏の原因は何ですか?
詳しく解説していきます。
まず、神経系の異常が考えられます。神経系の発達や機能に問題がある場合、感覚の処理や統合が正常に行われず、過敏な反応が引き起こされます。
また、発達障害との関連も見られます。自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を持つ方は、感覚過敏の症状がより顕著に現れる可能性があります。
そして、遺伝的な要因も関与している可能性があります。感覚過敏の特徴は家族内で共通する場合があり、遺伝的な要素が関与している可能性が示唆されています。
さらに、環境要因や経験も影響を与える可能性があります。ストレスや外部からの刺激が増えた環境で育った場合、感覚過敏の症状が増強する可能性があります。
総じて、感覚過敏の原因は多様であり、個人の特性や状況によって異なる可能性があります。
感覚鈍麻とは何ですか?
感覚鈍麻の症状は個人によって異なりますが、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のいずれか、複数の感覚において鈍感な反応が現れる場合があります。
視覚鈍麻では、物体の輪郭や色彩の差異を十分に認識できず、聴覚鈍麻では、音の強さやトーンの変化を正確に感じ取れません。また、触覚鈍麻では、物体の質感や温度の違いを鈍感に感じる可能性があります。これらの症状は、神経系の異常や疾患、脳損傷などが原因となる場合があります。
感覚鈍麻は、生活の質に影響を与える可能性があります。適切なサポートや療法を受けることで、感覚の処理や統合を改善し、日常生活をより円滑にすることが目指されます。
HSP・HSCとの違いは何ですか?
HSPは大人を指し、感覚刺激に対して敏感な傾向があります。騒々しい環境や刺激的な場面で疲れやすく、情報の処理に時間がかかる場合があります。また、他人の感情や環境の微妙な変化にも敏感に反応します。HSPの方は自分自身と他人とのバランスを保つために、静かな環境や休息が必要です。
一方、HSCは子供を指し、感覚過敏とともに感情の豊かさや深さも特徴です。感受性が高く、自分自身や他人の感情に鋭敏に反応します。また、新しい環境への適応や変化への対応に困難を抱えることもあります。HSCの方は理解とサポートが必要であり、安定性や予測可能性のある環境が求められます。
感覚過敏の対処法は?
感覚過敏の治し方を教えてください。
まず、感覚過敏のトリガーとなる環境を避けることが重要です。例えば、聴覚過敏の場合は大きな音のする場所を避ける、視覚過敏の場合は明るい光を遮るなど、自分の症状に合わせて環境を調整しましょう。
また、支援グッズを使用することも有効とされます。聴覚過敏の場合は耳栓やノイズキャンセリングイヤホン、視覚過敏の場合は帽子やサングラスなどの支援グッズを使用することで、症状を軽減できます。
そして、感覚過敏の症状が日常生活に大きな影響を与える場合は、専門家のサポートを受けることを検討してください。例えば、聴覚過敏に対してはオーディオロジストや聴覚療法士、視覚過敏に対しては視機能訓練士などが適切なアドバイスや治療方法を提供してくれる可能性があります。
感覚過敏の治療や管理は個人によって異なります。自分の症状やトリガーを理解し、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
感覚過敏は何科を受診すればいいのですか?
例えば、視覚に問題がある場合は眼科、聴覚や嗅覚に異常を感じる場合は耳鼻咽喉科に行くと良いでしょう。
また、感覚過敏と共に気分の落ち込みなどが続く場合は、うつ病などの精神疾患の可能性もあるため、心療内科や精神科の受診を検討すると良いでしょう。
感覚過敏は、個々の症状や度合いが異なるため、理解を得るのが難しいこともあります。しかし、自分自身の症状を理解し、それを周囲に具体的に説明することで、理解を得ることが可能となります。
また、適切な休養を取ることも重要で、疲れやストレスがあるときには感覚過敏が悪化することもあるため、十分な休息をとることを忘れないようにしましょう。
大人が感覚過敏である場合、どのような対処をすれば良いですか?
まずは自己認識を高めることで、自分が感覚過敏であることを理解しましょう。
過敏な反応が起きた場合は、リラックスや深呼吸をし、落ち着くことが重要です。環境の調整も役に立つため、静かな場所に移動し、刺激の少ない環境を作りましょう。
また、日常生活でのストレスを軽減するために、適度な運動やリラックス法を取り入れましょう。自分の限界を認識し、適度な休息や時間の確保も大切です。
最も重要なのは、専門家との相談です。個々の状況や症状に合わせた対処法を見つけましょう。
子供が感覚過敏である場合、どのような対処をすれば良いですか?
まずは子供の感覚過敏についての理解とサポートが重要です。静かな環境を提供し、過刺激を減らすことで子供の快適さを追求しましょう。そして、感覚刺激を予測するためにルーティンやスケジュールを作り、安定性を提供します。
また、感覚過敏に対する子供のストレスを軽減するために、リラックス法や深呼吸を教えることも役に立ちます。子供とコミュニケーションを図り、子供がどのような刺激に敏感であるかを理解しましょう。
感覚過敏に関する専門家との相談も重要です。
子供の成長段階や個別の状況を考慮し、子供の発達と幸福をサポートするための適切な対処法を見つけましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
感覚過敏は、適切なサポートや対処法を見つけることで、生活を改善できます。
自己認識を高め、環境を調整し、リラックス法や専門家の助言を活用しましょう。
編集部まとめ
ここまで感覚過敏についてお伝えしてきました。感覚過敏についての要点をまとめると以下の通りです。
・感覚過敏は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの感覚に過敏な反応を引き起こす状態を指し、神経系の異常や発達障害、環境要因との関連が指摘されている
・HSPは大人、HSCは子供を対象に、感受性が高く感覚過敏に関連する特性を持つ方を指す
・感覚過敏は自己認識を高めたりストレスを軽減したりすることで改善される
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献