「ジャンパー膝」の症状や原因・予防法はご存じですか?スポーツをする人必見!
スポーツ経験者であれば、「ジャンパー膝」という病名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この病名は、大腿四頭筋腱付着部炎(だいたいしとうきんけんふちゃくぶえん)や膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)など、膝を曲げ伸ばしする際に使用する靭帯を損傷する疾患の通称です。
特にバレーボール・バスケットボール・サッカーボールを熱心に行っているときに膝に違和感を覚えたら、ジャンパー膝かもしれません。
習い事や運動部の活動で活発にスポーツを行うようになる10代の方は、発症リスクが高まるため注意してください。
重症化すれば日常生活にも支障をきたしてしまうため、手術が必要となる場合もあります。10代であれば、スポーツ選手を夢みて努力している方も多いでしょう。
本記事ではどういった疾患なのか・発症する原因・症状・治療方法・予防対策について紹介していきます。
もし「発症しているかもしれない」と不安に感じている方は、早めの対策で重症化を防げます。最後までご一読ください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
ジャンパー膝の原因と症状
ジャンパー膝はどのような疾患ですか?
大腿四頭筋腱付着部炎や膝蓋靭帯炎は距躍系のスポーツ選手に多くみられるため、通称「ジャンパー膝」と呼ばれています。さらに、習い事や運動部の活動が活発化しやすい10代で発症リスクが高い傾向です。
下肢のスポーツ障害のひとつで、ジャンプやダッシュなどによる膝関節の屈伸動作を頻繁かつ長時間にわたって繰り返し行なうことで発症する障害です。
一般的に利き足やポジションなどの左右は関係なく、両脚に発症することが多くみられ、発症する平均年齢は17.4歳との報告があります。
発症する性別の割合は、男性が53.6%で女性46.4%とあまり大差はありませんが、X線の検査では膝蓋骨周辺に変化のあった方が68.1%と高確率です。しかし、膝蓋骨周辺の変化については直接的な因果関係が不明とされています。
原因を教えてください。
また、ジャンプ力のある選手ほど発症リスクが高まることが分かっています。ほかにもX脚の方や、ジャンプ後に膝のクッションを上手く使えずドスンと着地する方が膝蓋靭帯に大きな負担をかけていることが多いです。
健常の膝蓋靭帯と比較すると、膝関節屈曲と股関節伸展の筋力が弱いことや、膝関節と股関節の筋力バランスが悪くなっていることが明らかになっています。
症状を教えてください。
一般的には、スポーツの後に痛みを感じる軽症のことが多いですが、徐々に悪化してきます。痛みを感じても、走ったりジャンプしたりできることが多いです。
そのため、痛みを我慢してスポーツに打ち込み、どんどん症状が悪化してしまうケースがスポーツ選手で非常に多くみられます。違和感や痛みを感じる程度でもまずはかかりつけ医に相談しましょう。
症状が悪化すると、スポーツ中にも痛みを感じるようになります。重症になると日常生活でも痛みを感じるようになり、膝蓋骨の下側を押したり運動したりすると激痛が走り、しばらくその場から動けなくなるなど運動に支障をきたすことも多いです。
最悪の場合、腱や靭帯が千切れてしまうこともあります。膝蓋骨の直上または直下に、痛み・違和感・熱感などの症状が表れた場合は注意が必要です。
ジャンパー膝になりやすいスポーツを教えてください。
ほかにも発症しやすいスポーツは以下の通りです。
- バスケットボール
- 野球
- 陸上競技
- サッカーボール
- テニスボール
- バドミントン
- ソフトボール
上記のスポーツをしている方で、膝に違和感や痛みを感じているようであれば一度かかりつけ医へ受診することをおすすめします。
ジャンパー膝の治療
ジャンパー膝の診断方法を教えてください。
主な検査内容は以下の通りです。
- X線撮影
- 超音波検査
- 磁気共鳴画像法検査(MRI)
- 超音波ドップラー検査
- 赤外線サーモグラフィ検査
一般的な検査方法は超音波検査です。組織が鮮明的に描出できるため、膝蓋靭帯の異常を素早く確認できます。
また、超音波検査は副作用が少なく低コストであるなど利便性に優れていることも特徴です。
セルフチェックできるのでしょうか?
スポーツをする上で、ケガや疾患の早期発見は選手生命に大きく影響します。スポーツ競技への早期復帰や、高いパフォーマンスを維持するためにはケガ・疾患の予防対策・再発防止対策は重要な課題です。
症状を軽減するためにも、セルフチェックは習慣に取り入れることをおすすめします。
ジャンパー膝の治療方法を教えてください。
状況に応じては、膝蓋靭帯のコラーゲン繊維を維持するためヒアルロン酸注射を行なう場合もあります。電気刺激療法やショックウェーブ療法も治療方法の一つです。重症または膝の靭帯や腱が千切れた場合は、手術療法が必要になります。
ジャンパー膝の治療はリハビリテーションが中心になるため、治療方針についてはかかりつけ医と相談しましょう。
ジャンパー膝を放置するとどうなりますか?
選手生命にも大きく関わってくるため、早急に治療することをおすすめします。
ジャンパー膝の予防
ジャンパー膝の予防方法を教えてください。
ほかにも予防方法はいくつかあります。
- 膝への負担を減らすジャンプ後の着地を緩やかにするなどのフォームの見直し
- 大腿四頭筋の遠心性トレーニング
- 運動の前後にストレッチ
- スポーツ後にアイシングなどで冷やし炎症を抑える
これらの予防方法を実施する際に、セルフチェックをしましょう。予防と疾患の早期発見に努めてください。
ジャンパー膝の注意点を教えてください。
少しの痛みでも我慢せず、周りに相談することを心がけてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
本記事にたどり着いている時点で、違和感や不安を感じているはずです。無理せず休むことや、専門医に相談することを心がけましょう。
編集部まとめ
今回は、スポーツ選手に発症リスクが高いジャンパー膝について詳しく紹介していきました。
10代から発症リスクが高くなるため、注意が必要です。膝に違和感や痛みを感じたら、かかりつけ医に相談しましょう。
運動量が増えるのであれば、予防対策やセルフチェックを習慣に取り入れてみませんか?
スポーツの前後にストレッチを行なったり、スポーツ後に膝をアイシングしたりと、しっかりとケアすることを心がけてください。
10代はまだまだ夢を追いかけている方も多いので、早期発見と適切な治療が大切です。