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「稗粒腫」の症状や原因を解説!目の周りに白ニキビのようなものはありませんか?

 公開日:2023/07/27
「稗粒腫」の症状や原因を解説!目の周りに白ニキビのようなものはありませんか?

稗粒腫は、とくに目の周りにできやすい白ニキビのようなもので、大抵は良性の腫瘍です。

とはいえ、目立ちやすい場所にできることが多いため、見た目が気になる方も多くいます。
放置していても自然治癒しないため、見た目が気になる方は治療をした方がよいでしょう。

今回は、稗粒腫の原因・症状・治療法・予防法などを紹介していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)の原因や症状

鏡を見る女性

稗粒腫とはどのような病気ですか?

稗粒腫は、産毛の毛穴の皮膚にできる小さな塊状の病変で、通常直径が1〜2mmほどです。ほとんどの場合は良性の腫瘍のため、放置しても問題はありません。
また、感染症でもないため、他人にうつす心配もありません。自然治癒は難しいため、見た目が気になる方は治療をするのがおすすめです。

稗粒腫の原因を教えてください。

稗粒腫の原因についてはよく分かっていません。稗粒腫には2種類あり、特別な原因がない「原発性」のものと、擦り傷や熱傷などの外傷が治った後に発生する「続発性」のものです。
原発性のものは、胎児のとき皮膚にできた袋状の構造物(嚢腫)が原因と考えられます。また、続発性の稗粒腫は、皮膚の細胞や毛・汗腺・皮脂腺のような付属器が壊された後に表皮の下で嚢腫を作るのが原因とされています。

どのような症状がありますか?

稗粒腫は皮膚に直径1〜2mmほどの白ニキビのようなブツブツができますが、痛みやかゆみはありません。ブツブツを分析してみると、ケラチンと呼ばれるタンパク質です。
ケラチンにより作られた角質が毛穴に詰まった状態が稗粒腫の正体です。とくに健康被害につながる物質ではないため、過度に心配する必要はないでしょう。稗粒腫が複数個まとまって発症する場合もあります。

できやすい部位を教えてください。

稗粒腫は体のどこにでもできますが、できやすい部位には次のような部位があります。

  • 目の周り
  • 目の下
  • まぶた
  • 鼻先
  • あご周り

とくに目の近くにできやすいのが特徴です。

稗粒腫ができやすいのはどのような人ですか?

稗粒腫ができやすいのは次のような方です。

  • 水ぶくれができやすい方
  • 汗をよくかく方

また、加齢により皮膚の新陳代謝が落ちてくるとできやすくなります。男女間では女性の方に多いといわれています。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)の治療や治療費用

カウンセリング

どのような治療が行われるのですか?

稗粒腫の治療では、圧出法と呼ばれる治療方法がよく用いられます。これは、細い針やメスを使用して稗粒腫に穴を開けた後、内容物を押し出して取り出す治療方法です。
内容物を取り出す際には少し出血する場合もありますが、大抵はすぐに収まります。また、内容物を取り出した後の穴も少し赤くなりますが、数日で落ち着くでしょう。
クリニックによっては、炭酸ガスレーザーのようなレーザーを使って取り除くところもあります。皮膚にレーザーを照射して稗粒腫の表面を削り、中にある角質を押し出して除去していきます。
とくに稗粒腫の数が多い場合は一つずつ除去するのは大変なため、レーザー治療がおすすめです。また、レーザー治療は稗粒腫が再発しにくいメリットもあります。
ほかには、ケミカルピーリングという治療方法もあります。薬剤を使用して皮膚を薄く剥がし中にあるタンパク質の塊を除去する方法です。ケミカルピーリングもレーザー治療と同様、自費診療になります。
また、薬剤を使用するため、妊娠中の方やほかの皮膚病の治療を行っている場合は治療が受けられない場合があります。診療を受けたクリニックで相談してみましょう。
稗粒腫のほとんどは診察を受けた当日中に治療可能です。ただし、サイズが大きいものや数が多い場合などは当日に治療できないケースもあります。数が多い場合は除去できそうな部位から少しずつ治療を行うことになるでしょう。

治療費は保険適用されますか?

圧出法で稗粒腫の治療を行う場合は保険適用されます。炭酸ガスレーザーを使用したり、ケミカルピーリングで治療したりする場合は自費診療になります。

治療費用の目安を教えてください。

治療費用は稗粒腫の数によって異なります。稗粒腫の数が10個未満で、3割負担の保険適用の場合、治療費の目安は稗粒腫1個あたり220円ほどです。稗粒腫が10個以上の場合、治療費の目安は450円ほどになります。このほかに別途診察料や薬剤費がかかるでしょう。
炭酸ガスレーザーを使用して稗粒腫の治療を行う場合は自費診療となり、クリニックにより費用が異なります。麻酔の費用を含め、2,000〜6,000円ほどの治療費がかかるケースが多いです。
詳しくは炭酸ガスレーザーの施術を行っているクリニックに問い合わせてみましょう。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)のセルフケアや予防法

洗顔

稗粒腫はセルフケアで治りますか?

稗粒腫は乳児にできている場合、自然に消失することがありますが、成人の場合は自然に消えるケースはほとんどありません
とはいえ、自分で除去しようとすると傷跡が残ってきれいに治らなかったり、炎症を引き起こしたりする可能性もあります。また、つぶしたあとに色素沈着が起きて黒ずむ可能性もあります。
稗粒腫が気になる場合は、専門の治療を行っている医療機関で診察を受けましょう。

稗粒腫の予防法を教えてください。

稗粒腫は原因不明のものもありますが、新陳代謝が滞っているなど、稗粒腫の原因になると考えられているものもあります。そのため、稗粒腫ができるといわれる原因を避けることが稗粒腫の予防になるといえるでしょう。
具体的な稗粒腫の予防法には次のような方法があります。

  • 皮膚を清潔な状態に保つ
  • 皮膚をしっかり保湿する
  • 皮膚の新陳代謝を整える
  • 定期的なピーリングを行う
  • 日焼けを避ける

皮脂の分泌が多い人は、毛穴に長時間皮脂が詰まりやすいため、稗粒腫ができやすいです。洗顔や保湿ケアで皮膚を清潔な状態に保つことが重要です。
稗粒腫は傷ができた後に発症する場合もあるので、洗顔の際には石鹸をよく泡立て、泡で汚れを浮かせるようにして擦らずに行いましょう。また、保湿する際は油分の多いクリームではなく、さっぱりした化粧水や乳液がおすすめです。
皮膚の新陳代謝を整えるためには、バランスの良い食事を取る・睡眠時間をしっかり取る・定期的に運動することなども重要です。また、定期的にピーリング治療を受けるのも一つの方法になります。
ピーリングにより、肌の余分な角質を落として代謝を促進するのに役立ちます。美容クリニックではさまざまなピーリングを行っているため、相談するとよいでしょう。
紫外線も肌にダメージを与えるため、とくに紫外線が多い時期は日焼け止め・日傘・帽子などを使用してできるだけ日焼けしないよう注意しましょう。
稗粒腫は一度除去しても再発することがあるため、上記のような方法で予防を行うようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

稗粒腫はおもに目の周りにできる白いブツブツで、良性の腫瘍のため放置していても問題はありません。自然に消失することは基本的にないため、気になる方は皮膚科や美容クリニックで除去してもらうとよいでしょう。
自身で除去するのは傷跡が残る可能性があるため、おすすめできません。病院で稗粒腫を除去してもらった後も再発する可能性があります。皮膚の状態を清潔に保ったり、しっかり保湿したりするようにしましょう。
皮膚腫瘍の中には悪性のものもあります。稗粒腫かどうか、また良性か悪性かは診察しなければ分かりませんし、検査や治療方法も診察結果によって変わってきます。症状が気になる方は早めに皮膚科や美容クリニックを受診しましょう。

編集部まとめ

まとめ
今回は稗粒腫についての疑問に答えてきました。

稗粒腫は一見するとニキビのように見えますが、ニキビのように自然治癒することはなく、しこりのように触ると硬いのが特徴です。
複数個見られることが一般的で、体質によって稗粒腫ができやすい人もいます。

自分で除去しようとすると跡が残ったり、炎症を引き起こしたりするため、気になる方は皮膚科を受診して除去してもらうのがおすすめです。

除去する方法には保険適用の圧出法や、自費診療の炭酸ガスレーザーなどがあります。
炭酸ガスレーザーは自費診療のため費用がかかりますが、再発しにくい特徴があります。医師と相談して治療方法を決めるとよいでしょう。

この記事の監修医師

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