「鳥インフルエンザ」に人が感染した場合の症状はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/06/29
ニュースでも取り扱われることの多い鳥インフルエンザは、鳥類に感染するインフルエンザウイルスの病気です。
主に野鳥やニワトリなどの家禽(かきん)に感染します。しかし、鳥インフルエンザのウイルス株は人にも感染する可能性があります。
人にも感染する鳥インフルエンザについての、発生状況・感染・症状・予防について詳しく説明します。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
鳥インフルエンザの日本や海外での発生状況
鳥インフルエンザについて教えてください。
鳥インフルエンザは、鳥類に対して感染性を示すA型インフルエンザウイルスによる感染症です。
元々の原因となる鳥インフルエンザの宿主は、カモなどの野生の水きん(水上や水辺で生活する鳥)になります。
このウイルスがニワトリなどの家禽の間で感染を繰り返し、変異を重ねてニワトリに対して高い病原性をもつようになりました。鳥インフルエンザウイルスは、通常は人に感染することはありません。
しかし、感染したニワトリに触れることで感染する可能性があります。人に感染した鳥インフルエンザのうち、A(H5N1)とA(H7N9)の鳥インフルエンザは、感染症法上は二類感染症に位置付けられています。
元々の原因となる鳥インフルエンザの宿主は、カモなどの野生の水きん(水上や水辺で生活する鳥)になります。
このウイルスがニワトリなどの家禽の間で感染を繰り返し、変異を重ねてニワトリに対して高い病原性をもつようになりました。鳥インフルエンザウイルスは、通常は人に感染することはありません。
しかし、感染したニワトリに触れることで感染する可能性があります。人に感染した鳥インフルエンザのうち、A(H5N1)とA(H7N9)の鳥インフルエンザは、感染症法上は二類感染症に位置付けられています。
日本での発生状況は?
日本では、鳥インフルエンザは過去に何度か発生しており、特に野鳥や養鶏場での感染が報告されています。
場合によっては、ウイルスの一部が人に感染する可能性があるため、農林水産省では、定期的に状況の報告をしています。
2023年の報告によれば、2022年の鳥インフルエンザの発生は早く、2023年5月6日の段階で、26道県にまたいだ発生です。これにより約1771万羽が殺処分されました。
また、これまで鳥インフルエンザが発症していなかった地域でも発症が確認されたことで、全国への広がりが懸念されています。
感染を抑えるために、殺処分だけでなく、発生した地域周辺の養鶏場への立ち入り制限や輸送制限が行われています。
場合によっては、ウイルスの一部が人に感染する可能性があるため、農林水産省では、定期的に状況の報告をしています。
2023年の報告によれば、2022年の鳥インフルエンザの発生は早く、2023年5月6日の段階で、26道県にまたいだ発生です。これにより約1771万羽が殺処分されました。
また、これまで鳥インフルエンザが発症していなかった地域でも発症が確認されたことで、全国への広がりが懸念されています。
感染を抑えるために、殺処分だけでなく、発生した地域周辺の養鶏場への立ち入り制限や輸送制限が行われています。
海外での発生状況は?
鳥インフルエンザは世界中で発生しています。主に野鳥や家禽への感染の報告が多く、地域ではアジア、欧州、中東などが際立ちます。
感染源である鳥類は行動制限が難しく、集団で移動しているため、壊滅させることは容易ではありません。
鳥インフルエンザは、他のインフルエンザウイルスと同じく、異なるウイルス株やサブタイプが存在し、感染力や病原性が異なる場合があります。
その中で人にも感染する可能性がある鳥インフルエンザウイルスも存在します。
各国で、鳥インフルエンザの早期発見と感染の拡大防止のために、鳥の監視・感染鳥の殺処分・家禽の移動制限などの対策を行うだけでなく、国際的な観点から情報共有などを行うことが重要です。
感染源である鳥類は行動制限が難しく、集団で移動しているため、壊滅させることは容易ではありません。
鳥インフルエンザは、他のインフルエンザウイルスと同じく、異なるウイルス株やサブタイプが存在し、感染力や病原性が異なる場合があります。
その中で人にも感染する可能性がある鳥インフルエンザウイルスも存在します。
各国で、鳥インフルエンザの早期発見と感染の拡大防止のために、鳥の監視・感染鳥の殺処分・家禽の移動制限などの対策を行うだけでなく、国際的な観点から情報共有などを行うことが重要です。
感染のリスクが大きい地域を教えてください。
鳥インフルエンザの感染リスクが大きい地域は断定が難しいですが、いくつかの条件を挙げることができます。まずは、感染源である野鳥の繁殖地です。
渡り鳥を経由しての感染もありますので、渡りの経路も対象になります。例えば、日本をはじめとするアジアや北極圏の一部地域は、渡り鳥や繁殖の地として有名ですので、感染の拡散が起こりやすい可能性があります。
次に、鳥インフルエンザは、家禽にも感染しますので、家禽の飼育地もリスクが大きいです。特に養鶏場などはニワトリを狭い中に大量に飼育していますので、感染が広がるリスクがあります。
渡り鳥を経由しての感染もありますので、渡りの経路も対象になります。例えば、日本をはじめとするアジアや北極圏の一部地域は、渡り鳥や繁殖の地として有名ですので、感染の拡散が起こりやすい可能性があります。
次に、鳥インフルエンザは、家禽にも感染しますので、家禽の飼育地もリスクが大きいです。特に養鶏場などはニワトリを狭い中に大量に飼育していますので、感染が広がるリスクがあります。
日本で行われている対策を教えてください。
近年は特に鳥インフルエンザによる被害が増えてきました。そのため、政府や自治体を中心に積極的な対策を取っています。まず行うべきは、野鳥や家禽への感染に対する監視です。
これによって早期に感染の発見ができます。感染が疑われる場合は、すぐに検査の実施が必要です。その結果感染が確認、または疑われる場合は、保健所や各自治体の関連機関に報告され適切な対応が取られます。
同時に予防の対策も行っています。それにより行われるのが、養鶏場など家禽飼育場の衛生管理の徹底です。
飼育施設の消毒や定期的な清掃など管理水準をあげることで感染リスクを減らすという方法です。鳥インフルエンザの感染が確認された場合は、その地域を直ちに移動制限地域とします。
感染地域周辺で家禽の輸送や移動制限がなされることで、感染の拡散を防ぐための措置になります。そして、感染が確認された場合だけでなく感染が疑われる場合であっても、対象の感染鳥は殺処分です。
これによって早期に感染の発見ができます。感染が疑われる場合は、すぐに検査の実施が必要です。その結果感染が確認、または疑われる場合は、保健所や各自治体の関連機関に報告され適切な対応が取られます。
同時に予防の対策も行っています。それにより行われるのが、養鶏場など家禽飼育場の衛生管理の徹底です。
飼育施設の消毒や定期的な清掃など管理水準をあげることで感染リスクを減らすという方法です。鳥インフルエンザの感染が確認された場合は、その地域を直ちに移動制限地域とします。
感染地域周辺で家禽の輸送や移動制限がなされることで、感染の拡散を防ぐための措置になります。そして、感染が確認された場合だけでなく感染が疑われる場合であっても、対象の感染鳥は殺処分です。
鳥インフルエンザの感染経路や症状
鳥インフルエンザの感染経路を教えてください。
鳥インフルエンザウイルスの感染源は野鳥です。感染した野鳥が他の野鳥や家禽と接触することによって感染が広がる可能性があります。
野鳥から感染したウイルスが飼育されている家禽にふんなどから伝播します。その後、密集した養鶏場や家禽の飼育施設内で行われるのが感染の拡大です。
鳥だけではありません。特定の鳥インフルエンザウイルス株は、人にも感染することがわかっています。
特に、家禽の飼育などを担っている人は、感染した鳥との密接な接触があり、掃除などで感染した鳥の排泄物と接触してしまうため、感染が起こります。
しかし、0%ではありませんが、人から人への感染はほとんどありません。
野鳥から感染したウイルスが飼育されている家禽にふんなどから伝播します。その後、密集した養鶏場や家禽の飼育施設内で行われるのが感染の拡大です。
鳥だけではありません。特定の鳥インフルエンザウイルス株は、人にも感染することがわかっています。
特に、家禽の飼育などを担っている人は、感染した鳥との密接な接触があり、掃除などで感染した鳥の排泄物と接触してしまうため、感染が起こります。
しかし、0%ではありませんが、人から人への感染はほとんどありません。
鳥インフルエンザの種類について教えてください。
鳥インフルエンザにはいくつかの種類があります。高病原性鳥インフルエンザは、高い病原性を持つ鳥インフルエンザウイルスです。
家禽に対しては高い致死率を持っています。サブタイプのウイルスには、H5N1とN7N9という人にも感染するウイルスが含まれています。
比較的軽度の症状を引き起こす鳥インフルエンザウイルスが低病原性鳥インフルエンザです。感染した鳥は病気にはなりますが、致死率は高くありません。
大きくはこの2つの種類がありますが、それぞれにさまざまな亜型や亜種に分類されることがあります。
家禽に対しては高い致死率を持っています。サブタイプのウイルスには、H5N1とN7N9という人にも感染するウイルスが含まれています。
比較的軽度の症状を引き起こす鳥インフルエンザウイルスが低病原性鳥インフルエンザです。感染した鳥は病気にはなりますが、致死率は高くありません。
大きくはこの2つの種類がありますが、それぞれにさまざまな亜型や亜種に分類されることがあります。
感染した場合どのような症状が出るのですか?
鳥インフルエンザに感染した場合の鳥の症状は、鳥の種類や感染したウイルスの株によって異なる傾向にあります。
家禽などで観察すると、咳・くしゃみ・呼吸困難などの呼吸器の症状や下痢・食欲不振・消化不良などの消化器の症状が現れます。
また、羽の抜け毛が多かったり、元気がなくなったりと外見をみてわかる症状も特徴的です。
では、人の場合はどうでしょう。人への感染の場合は、一般的には他のインフルエンザと同じような症状がでます。
発熱・咳・喉の痛み・全身の疲労感・だるさ・筋肉痛といった症状です。また、ひどくなると呼吸困難に陥ることもあります。
鳥インフルエンザに感染した場合は、重症化する可能性があります。
家禽などで観察すると、咳・くしゃみ・呼吸困難などの呼吸器の症状や下痢・食欲不振・消化不良などの消化器の症状が現れます。
また、羽の抜け毛が多かったり、元気がなくなったりと外見をみてわかる症状も特徴的です。
では、人の場合はどうでしょう。人への感染の場合は、一般的には他のインフルエンザと同じような症状がでます。
発熱・咳・喉の痛み・全身の疲労感・だるさ・筋肉痛といった症状です。また、ひどくなると呼吸困難に陥ることもあります。
鳥インフルエンザに感染した場合は、重症化する可能性があります。
鳥インフルエンザの予防や感染した場合の対応
鳥インフルエンザを予防する方法はありますか?
鳥インフルエンザを予防するためには、まず養鶏場や家禽の飼育場の衛生管理を徹底させます。
定期的な清掃・消毒・排せつ物の処理といった飼育環境を清潔に保つことで減らせるのが感染リスクです。
自治体で行われる移動制限や検疫は、せっかくの商品が出荷できなかったり、面倒な事務処理が増えたりといったことを発生させてしまいます。しかし、感染経路の割り出しや早めの収束に大いに役立ちます。
家禽の健康管理に役立つのがワクチン接種です。定期的な健康チェックとともに行うと感染リスクが低減します。
定期的な清掃・消毒・排せつ物の処理といった飼育環境を清潔に保つことで減らせるのが感染リスクです。
自治体で行われる移動制限や検疫は、せっかくの商品が出荷できなかったり、面倒な事務処理が増えたりといったことを発生させてしまいます。しかし、感染経路の割り出しや早めの収束に大いに役立ちます。
家禽の健康管理に役立つのがワクチン接種です。定期的な健康チェックとともに行うと感染リスクが低減します。
もし鳥インフルエンザに感染したらどこに連絡すればよいですか?
家禽が鳥インフルエンザの感染の疑いがある場合は、まずかかりつけの獣医師に相談します。
野鳥などで鳥インフルエンザの感染の疑いのある鳥を発見した場合の連絡は、地方自治体の保健所です。初動の連絡をしたのち、農林水産省や地方自治体の農林水産部と連絡を取り合います。
家畜や家禽を地域単位で管理していますので、情報共有は大変重要です。
野鳥などで鳥インフルエンザの感染の疑いのある鳥を発見した場合の連絡は、地方自治体の保健所です。初動の連絡をしたのち、農林水産省や地方自治体の農林水産部と連絡を取り合います。
家畜や家禽を地域単位で管理していますので、情報共有は大変重要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
鳥インフルエンザは、野鳥・家禽・家畜のことだから人は関係ないと思いがちです。しかし、実際は、ウイルスのサブタイプで稀ではありますが人にも感染します。
地域で元気のない野鳥を見つけた時には、まずかかりつけの獣医や保健所に連絡をしてみましょう。
地域で元気のない野鳥を見つけた時には、まずかかりつけの獣医や保健所に連絡をしてみましょう。
編集部まとめ
鳥インフルエンザは、鳥だけでなく、さまざまな家禽に伝染し害を及ぼします。人には影響がないと思われがちな鳥インフルエンザですが、人も例外ではなく、確率は低いものの感染します。重症化のリスクが低いわけではありませんので、気になる症状があれば、かかりつけ医に相談しましょう。