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「トリコモナス症」という性感染症はご存知ですか?症状や潜伏期間など解説!

 更新日:2024/01/09
「トリコモナス症」という性感染症はご存知ですか?症状や潜伏期間など解説!

トリコモナス症とは何か、どのような症状なのか知っているでしょうか。
本記事ではトリコモナス症について以下の点を中心にご紹介します。

・トリコモナス症の症状
・トリコモナス症の治療
・トリコモナス症の予防

トリコモナス症について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

トリコモナス症とは

トリコモナス症とは

そもそもトリコモナスとは何ですか?

トリコモナスは、原虫という、肉眼では見られない生物のことです。
トリコモナスは、男性の場合は前立腺や精のう、尿道に、女性の場合は膣内や子宮頸管、膀胱や尿道に寄生します。

トリコモナス症とはどんな病気ですか?

トリコモナス症は性感染症であり、腟や尿道に腫れや分泌物が出る症状が現れます。
感染源は性行為や身近なものであり、悪臭があるため嫌悪されるSTDの1つです。

トリコモナス症の症状はなんですか?

トリコモナス症の症状は、女性ではおりものの異常、悪臭、刺激感、かゆみ、性交時の痛み、下部尿路の障害などが起こります。
男性では尿道炎の症状が主で、排尿時の痛みや膿の排出がありますが、無症状の場合も多いです。
感染しても半数は無症状で気づかないことが多いです。

トリコモナス症の感染経路はなんですか?

トリコモナス症の感染経路は、性行為や身の回りのものからの感染が主となります。
下着やタオル、検診台、便座、浴槽などが感染源となることもございますが、現在は衛生環境が整っておりますため、トイレの便座や浴槽からの感染は少ないとされております。

トリコモナス症の潜伏期間はどのくらいですか?

トリコモナス症の潜伏期間は性別によって異なります。
男性の場合、感染部位は主に尿道で、潜伏期間はおおよそ10日間前後です。
一方、女性の場合は症状が主に膣で現れ、潜伏期間は通常5~28日以内となります。
男性は尿道炎を主な症状として呈することがありますが、多くの場合無症状です。
女性は膣炎を起こすことが多く、感染すると症状・徴候が現れることが一般的です。

トリコモナス症の治療方法

トリコモナス症の治療方法

トリコモナス症の治療方法はどんなものがありますか?

トリコモナス症の治療には、男女ともに抗原虫薬の内服治療が主流で、治りにくい場合は腟剤が使用されます。
しかし妊娠中は、内服薬の投与は原則として行われません。
また、性的パートナー間の感染予防のためには、同時期に治療を行うことが重要です。
内服治療中は飲酒を避ける必要があります。
治癒したと判断されるのは、自他覚症状がなくなり顕微鏡で原虫が見つからなくなった場合で、女性の場合は月経後の確認が必要です。
治療の原則はフラジール錠内服による全身投与で、服用方法は1日2回10日間です。
妊娠中でも投与可能ですが、妊娠12週までは腟錠が使用されることがほとんどで、授乳期には内服・膣錠ともに赤ちゃんへの影響は極めて少ないため、通常は授乳を中止する必要はありません。

トリコモナス症は再発しますか?

トリコモナス症は免疫ができず、膣内や尿路に残存することがあるため、何度でも再感染する可能性があります。
パートナーも感染している場合、再感染のリスクが高くなります。

トリコモナス症の予防

トリコモナス症の予防

トリコモナス症の予防法はありますか?

トリコモナス症の予防法として、コンドームを正しく使用し、安全でない性行為を避けることが重要です。
性感染症の迅速な診断や感染者の性的接触の把握にも力を入れましょう。
性行為を避けることが最も確実な予防法ですが、現実的ではありません。
また、不衛生な下着やタオルなどからの感染は現在は少ないとされます。

どのように検査しますか?

トリコモナス症の検査方法には、顕微鏡による目視検査、トリコモナス専用培地での培養検査、およびトリコモナスDNA検査があります。
顕微鏡検査では、女性はおりもの、男性は分泌物を採取し、原虫の活動を観察します。
この方法の利点は即時結果が得られることで、すぐに治療を開始できますが、トリコモナスの数が少ない場合や男性での検出が難しいことが欠点です。
培養検査は、女性はおりもの、男性は尿を培養し診断します。
男性でも検査可能であるものの、結果が出るのに3~7日かかります。
トリコモナスDNA検査は、女性はおりもの、男性は初尿を使って検査が可能であり、検出率が高いですが、結果が出るのに2~4日間かかります。
これらの検査方法を選択する際には、検査の速度や精度、および男女双方での適用性を考慮して選ぶことが重要です。

トリコモナス症は自分で検査できますか?

トリコモナス症の自己検査には、専用のキットがあります。
採取した尿検体や膣検体を返送し、検査機関で検査を行います。
使い捨てタイプのキットで衛生面も安心です。

匿名性を担保しながら、インターネット上で検査結果を確認することができます。

日常生活での注意点はありますか?

トリコモナス症の治癒判定は、症状の消失とともに、顕微鏡検査や培養検査による腟トリコモナス原虫の消失の確認が必要です。
特に女性は、月経後に腟トリコモナス原虫の消失を確認することが重要です。
トリコモナス症は重篤な感染症ではないものの、不快な症状が日常生活に影響を与えることがあります。
性交時にコンドームを使用していても、感染するリスクはゼロではありません。
感染の予防と再感染を避けるために、パートナーと共に治療を行い、完全に治癒するまでは性交を控えることが推奨されます。
また、性病の予防として、適切な避妊法の使用や定期的な性病検査を受けることが重要です。
このような注意を払うことで、トリコモナス症から日常生活を守り、感染リスクを低減することができます。

編集部まとめ

トリコモナス症
性感染症であるトリコモナス症は、性行為や身の回りのものから感染します。女性ではおりものの異常、悪臭、かゆみ、下部尿路の障害などが、男性では尿道炎の症状が主ですが、無症状の場合もあります。治療には抗原虫薬の内服治療が主流で、治りにくい場合は腟剤が使用されますが、妊娠中は内服薬の投与は原則として行いません。治療中は飲酒を避け、同時期に治療を行うことが重要です。再感染のリスクが高いため、パートナーも感染している場合は注意が必要です。

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