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「ホジキンリンパ腫」を疑う初期症状・生存率はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2024/01/09
「ホジキンリンパ腫」を疑う初期症状・生存率はご存知ですか?医師が監修!

ホジキンリンパ腫は、リンパ節に異常な細胞が集積し、免疫系の働きを阻害することで発症する病気です。ホジキンリンパ腫は、一般的には比較的良性ながんとされ、早期発見・治療が可能であることが多いです。

今回は、ホジキンリンパ腫の症状や原因についてMedical DOC編集部に伺いました。リンパ系がんに関心がある方は、ぜひ参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

ホジキンリンパ腫について

ホジキンリンパ腫について

ホジキンリンパ腫とは一体どんな病気ですか?

ホジキンリンパ腫とは、リンパ球ががん化してリンパ節で増え、しこりをつくる悪性リンパ腫の一種で、日本の悪性リンパ腫全体の約5%を占めます。

古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の2つに分けられ、リード・シュテルンベルク細胞が認められることで区別されます。

主な症状は、痛みのないリンパ節の腫れ、B症状と呼ばれる全身症状があります。
診断にはリンパ節の生検が必要で、治療には化学療法、化学療法と免疫療法の併用療法、放射線療法が用いられます。

治癒する場合がほとんどであり、感染したり遺伝したりする病気ではありません。

ホジキンリンパ腫の患者数はどのくらいですか?

ホジキンリンパ腫は、欧米では全悪性リンパ腫の10数%を占めますが、日本では全体の約7%程度であり、発症頻度は年間2千人程度で比較的まれな疾患です。

男女比は1.7対1で、発症しやすい年代は20歳代の若者と50〜60歳代の中年層で、2つの年代にピークがあります。

初期症状は、無症状か、もしくはリンパ節が腫れることもありますが、痛みはないとされています。治療法の進歩により、治癒が期待できる病気です。

ホジキンリンパ腫の初期症状はどんなものがありますか?

ホジキンリンパ腫の初期症状は、痛みのないリンパ節の腫れやしこりが一般的で、首のリンパ節に最も多く症状があらわれます。

また、発熱、体重減少、寝汗といったB症状や、かゆみや疲労感が出ることもあります。飲酒すると腫れたリンパ節に痛みが出ることもあります。

胸のリンパ節が腫れると、せきや胸の不快感、息切れなどの症状が出ます。脾臓や腹部のリンパ節が腫れた場合は、腹部に不快感が生じます。

ホジキンリンパ腫の治療法

ホジキンリンパ腫の治療法

ホジキンリンパ腫はどのように診断されますか?

ホジキンリンパ腫を診断するには、生検によるリンパ節の異常の有無や、リード・シュテルンベルク細胞の有無を調べる必要があります。

生検にはさまざまな方法がありますが、腫れたリンパ節の位置と、検査に必要な組織の量によって異なります。
また、血球数の異常や血液検査で裏付けとなる証拠が得られることもあります。
病期症状のステージを診断する際には、画像検査や骨髄生検が行われます。

ホジキンリンパ腫にはどんな治療法がありますか?

ホジキンリンパ腫には、主に化学療法、放射線療法、手術、幹細胞移植の4つの治療法があります。

化学療法は、抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃する全身的な治療です。
治療のスケジュールは、薬の組み合わせと投与スケジュールによって決められます。主な副作用には、骨髄や腸粘膜、毛根などへの影響が挙げられます。

放射線療法は、リンパ領域を含む病変部を照射する治療です。
化学療法との併用もあります。治療スケジュールは、照射部位や総線量などの要件を反映した治療計画に基づいて決定されます。

手術は、リンパ節の摘出など、病変部位を切除する治療法であり、最近では化学療法と併用されることが多くなっています。

幹細胞移植は、高用量の化学療法を行った後に、自己または他人の幹細胞を移植する治療法であり、再発を防ぐために行われます。

治療法は病状や患者の状態によって異なりますが、適切な治療法を選び、治療を進めることが重要です。

ホジキンリンパ腫の予後

ホジキンリンパ腫の予後

ホジキンリンパ腫の生存率はどのくらいですか?

ホジキンリンパ腫の予後は、症状のステージや状態によって異なります。

限局期の5年生存率は70~90%、進行期は40~60%とされています。
また、病勢で分類すると、低悪性度は年単位、中悪性度は月単位、高悪性度は週単位の予後があります。

しかし、低リスク群では5年無病生存率が90%以上、全生存率が95%以上、高リスク群でも5年無病生存率が80%以上、全生存率が90%以上となることが分かっています。

ホジキンリンパ腫は完治しますか?

ホジキンリンパ腫は、標準治療によって治癒する可能性がある病気です。

限局期であれば90%近く、進行期でも70%前後の患者が治癒するとされています。
初回治療期間は限局期で3か月弱〜5か月、進行期で6か月程度です。

治療中および治療後は、普段通りの生活を送ることが推奨され、再発しても有効な治療法があります。
1-2期であれば、少ない量の放射線治療により、80-90%治癒すると言われています。

ホジキンリンパ腫の治療後、健康な生活習慣はどのように保つことができますか?

まず、バランスの取れた食事を心がけましょう。
野菜、果物、全粒穀物、タンパク質など、栄養バランスが良い食品を摂取するようにしましょう。
また、加工食品や脂肪分の多い食品は控えめにしましょう。
適度な運動も健康維持に欠かせません。
過度な運動は身体に負担をかけることがあるため、医師の指導のもと、無理のない程度で行いましょう。
ストレスを軽減することも大切です。
ストレスは免疫力を低下させることがあるため、ヨガや瞑想、散歩など、自分に合った方法でリラックスすることが重要です。
定期的な検査を受けることで、がんの再発や合併症の早期発見が可能となります。
医師の指導に従って、必要な検査を受けましょう。
また、喫煙や過剰なアルコール摂取は、がんのリスクを高めるだけでなく、治療後の健康にも悪影響を及ぼします。禁煙や減酒に努めましょう。
最後に、十分な睡眠時間を確保し、健康的な睡眠を心がけましょう。
睡眠不足は免疫力を低下させ、健康に悪影響を及ぼすことがあります。
以上のように、ホジキンリンパ腫の治療後には、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス軽減、定期的な検査、禁煙や減酒、健康的な睡眠など、健康的な生活習慣を維持することが大切です。

ホジキンリンパ腫は遺伝しますか?

ホジキンリンパ腫は、遺伝的な原因によって引き起こされることはありません。
この病気の発症には、免疫系の異常が関与していますが、これは環境的な要因やウイルス感染などが原因とされています。
ただし、家族歴がある場合は、発症リスクが若干高くなるとされています。
しかし、遺伝子に明確な異常があるわけではなく、家族歴があっても必ずしもホジキンリンパ腫になるわけではありません。
一般的には、多くの場合、環境要因が関与して発症すると考えられています。

編集部まとめ

ホジキンリンパ腫
本記事では、ホジキンリンパ腫の症状、原因、治療法について解説しました。
この病気は、リンパ球が悪性腫瘍化して発症するものであり、治療法には化学療法や放射線療法、手術、幹細胞移植などがあります。
また、早期発見できれば比較的生存率は高いことが知られています。
ホジキンリンパ腫について正しい知識を持ち、早期発見・治療することが大切です。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師