「ハンチントン病」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
ハンチントン病は遺伝が原因となる病気で、初期症状には、運動機能障害・思考力低下・情緒不安定などがあります。
病気は徐々に進行し、場合によっては重度の運動機能障害、認知症、うつ病などが現れることもあるのです。
また、この病気は遺伝による疾患のため、親や祖父母が病気の患者である場合はその子供も発症するリスクがあります。
今回の記事では、ハンチントン病について・病気の特徴・症状・診断方法・治療方法・寿命・遺伝するのかについて詳しく解説します。
もし気になる症状がある場合は、お近くの神経内科や心療内科にご相談ください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
ハンチントン病の特徴と症状
ハンチントン病はどのような特徴がありますか?
病気の初期症状は、運動機能障害・思考力低下・情緒不安定などです。 徐々に進行し、重度の運動機能障害・認知症・うつ病などがあらわれます。
ハンチントン病は遺伝子による影響の大きい病気であり、親や祖父母が患者である場合はその子供も発症するリスクがあるのです。
症状を教えてください。
運動症状としては、無意識的な筋肉のけいれんや・筋肉の硬直・不随意運動などが現れます。 特に手足の末端が震えることが多く、歩行やバランスの問題も起こるのです。
認知機能障害としては、判断力や計画力の低下・物事の記憶障害・言葉の理解や表現に異常がみられる場合があるのです。精神的な症状としては、幻覚・妄想などの症状が見られます。
また、病気の進行に伴い、食事や排泄の問題が生じることもあるのです。
パーキンソン病とはどのように違うのでしょうか?
しかし、それらの特徴は異なるのです。ハンチントン病は、主に運動症状や認知症を引き起こします。
運動症状には、不随意運動・姿勢の不安定性・筋力低下が含まれます。また、注意力・判断力・思考力の低下などの認知症状もあらわれるのです。
一方、パーキンソン病は、運動症状が主な特徴であり、手足の震え・筋肉の硬直・動作の遅延などが現れるのです。また、認知症状・不随意運動は、進行した場合にのみあらわれる場合があるのです。
これら2つの疾患は、症状の発現年齢・遺伝的な要因など、さまざまな面で異なる場合があります。治療法も異なりますので、正確な診断が重要です。
発症の原因を教えてください。
そのため、親のHTT遺伝子に変異がない場合には、子供にこういった病気が引き継がれることはありません。
また、病気の常染色体優性遺伝の特徴として、病気を発症していない家族から生まれたとしてもこの病気を発症する可能性があるのです。その場合はHTT遺伝子の変異を受け継いでいる可能性があります。
どのような方がハンチントン病になりやすいのでしょうか?
この病気は、性別に関係なく50%の確率で子孫に病気が遺伝する常染色体優性遺伝による病気になります。つまり、患者の両親のどちらかがハンチントン病を患っていることがほとんどなのです。
ハンチントン病の診断と治療方法
受診するべき初期症状はありますか?
- 運動機能の低下
- 精神的症状の変化
- 認知機能の低下
運動機能の低下として、手足の震え・不安定な歩行・バランスの悪さ・不自然な体の動きなどがあります。また、精神的症状の変化では、自己抑制が効かない・異常な情動が起こる・記憶力の低下・注意力の低下・判断力の低下・意欲低下・うつ状態などがみられる場合があるのです。
認知機能の低下とは、言葉の理解や使用に問題がある・集中力低下などです。上記のような症状がある場合は、神経内科や精神科などの医療機関で相談することをお勧めします。
早期に診断・治療を受けることで、病気の進行を抑えられる場合があるのです。
どのような検査でハンチントン病と診断されますか?
この病気は、遺伝子の変異によって症状が引き起こされる疾患のため、遺伝子検査によって判断できます。
また、精神状態にも影響を与えるため、精神状態評価が必要です。
治療方法を教えてください。
そのため治療は症状に合わせた対症療法になります。主なものは下記の3つです。
- 薬物療法
- 運動療法
- 食事療法
ハンチントン病の症状を緩和するための薬物療法があります。例えば、抗精神病薬や抗うつ薬などが用いられます。
また、運動療法は病気による運動機能の低下を緩和するために行われるのです。食事療法では、栄養バランスを考慮した食事を摂ることによって症状の緩和が期待されています。
現在のところ、完治する治療法はありません。しかし、様々な治療法を組み合わせることで、症状を緩和し、生活の質の向上が可能となります。
また、家族や患者本人が情報を収集し、適切に治療法を選択することも重要です。
ハンチントン病の合併症を教えてください。
- 筋肉の萎縮
- 随意運動の増加
- 不安障害
- 抑うつ
- 気分の異常な変動
- 認知症
- 栄養不良
この病は、筋肉の動きを制御する部分の神経細胞にも影響を与えます。そのため、筋肉の動きが鈍くなり、筋肉が制限される恐れがあるのです。
また、身体の境界で意図しない動きが起こり、自分の意思で身体を動かすのが困難になることがあります。
他にも、不安障害・抑うつ・気分の変動・認知症などの精神的な問題を引き起こすのです。
また、嚥下障害や食欲不振の問題などが生じるため、栄養不良が起こる場合があります。
ハンチントン病の寿命と遺伝
ハンチントン病は治りますか?
例えば、薬物療法・運動療法などの治療が行われ、症状の改善や緩和が期待されています。また、適切な食事や運動などのライフスタイルの改善により、病気の進行を遅らせることもできるのです。
近年、ハンチントン病に対する研究は進んでおり、将来的には遺伝子治療などの新しい治療法が開発される可能性があります。
ハンチントン病の寿命を教えてください。
一般的に発症する年齢が低いほど、進行が速く、寿命が短くなる傾向があります。ただし、症状が発症する年齢や病気の進行速度には個人差があります。
また、合併症や他の疾患の併発によって、寿命が短くなることもあるのです。総じていえることは、ハンチントン病の寿命は病気の進行によって異なるため、個人差が大きいということです。
ハンチントン病は遺伝するのでしょうか?
このため、ハンチントン病の親から生まれた場合、病気を発症する可能性が高くなります。ただし、HTT遺伝子に変異がない場合には、子供たちにハンチントン病が引き継がれることはありません。
また、病気を発症していない家族からHTT遺伝子の変異のある遺伝子を受け継いだ場合でも、病気を発症する可能性があるため、遺伝子検査や家族カウンセリングなどが必要になることがあります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
現在のところ完治の期待できる治療法はありませんが、対症療法によって症状を緩和できます。症状が進行する前に早期に治療を開始するために、気になる症状のある方は神経内科や心療内科にご相談ください。
編集部まとめ
ここまで、ハンチントン病の特徴・症状・診断方法・治療方法・寿命・遺伝するのかについて解説しました。
ハンチントン病は、遺伝によって神経細胞の変性が起こり、症状の進行していく病気です。
そのため、病気を完治させることは難しいですが、症状が進行する前に早期に治療を開始することによって寿命を延ばせます。
また、症状に合わせた適切な治療法を組み合わせて、生活の質を向上させることも重要になります。
家族や専門家の力を借りて患者さんに合った治療法を選択することも必要です。
もし気になる症状のある場合は、お近くの神経内科か心療内科にご相談ください。