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「性交痛」を感じやすい年齢層・原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/05/15
「性交痛」を感じやすい年齢層・原因はご存知ですか?医師が監修!

性交痛は更年期を迎える40代以降の女性に多い悩みであり、挿入時に痛みを感じるなどセックスに大きな支障を来す症状です。

産婦人科などでホルモン補充療法を行ったり市販薬を使用したりすることで痛みが軽減されます。また、病気が原因の場合は、病気の治療により性交痛も軽減するでしょう。

しかし、日本では特に更年期以降のセックスをタブー視する傾向にあり、治療が普及していません。性交痛の治療法について、気になる方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、性交痛の原因・症状・治療・放置するリスクなどについて、詳しく解説します。

前田 裕斗

監修医師
前田 裕斗(医師)

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

性交痛の症状

絶望する女性(不眠症・ノイローゼ)

性交痛とはどのような症状でしょうか?

性交痛とは、性交時の挿入により痛みを感じる症状のことです。性交痛の原因は多岐に渡ります。
例えば更年期など何らかの原因で腟内が乾燥し、挿入時に摩擦が強くなったり粘膜を傷つけたりすることで痛みが生じることがあります。
日本ではセックスの悩みを相談しづらい傾向にあり、性交痛の悩みを放置する方も少なくありません。しかし、中には深刻な病気が潜んでいるケースもあるため、性交痛が頻繁に起こったり痛みが強かったりする場合には医療機関での受診も検討すると良いでしょう。

何歳くらいの方にみられますか?

性交痛は、幅広い年代で起こり得る症状ですが、特に40代以降の中高年の方に多くみられます。
腟の潤いには女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が関係していますが、更年期以降ではエストロゲンの分泌量が減少するため、腟の乾燥が起こりやすいのです。
女性ホルモンの減少が性交痛の原因であると考えられる場合は、ホルモン補充療法などである程度の改善が期待できるでしょう。

痛みを感じる場所で原因が異なると聞いたのですが…。

主に腟内の潤い不足が原因で起こる性交痛ですが、痛みを感じる場所で原因が異なるケースがあります。性交痛の症状が現れるのは、主に腟の入口腟の中腟の奥の3か所であり、各場所での主な性交痛の原因は以下のとおりです。

  • 腟の入口:セックスの方法・会陰の乾燥・腟の狭さやパートナーの性器サイズなど物理的要因・精神的トラブル・感染症
  • 腟の中:腟の狭さやパートナーの性器サイズなど物理的要因・腟の乾燥・アレルギー
  • 腟の奥:セックスの方法・婦人科疾患・内科疾患・泌尿器疾患

パートナーの自分本位なセックスは、女性の性的興奮が十分に高まらなかったり、女性の身体に負担をかけたりするため性交痛の原因となります。
また、ストレス・緊張・出産・更年期などによるホルモンバランスの乱れも、腟の潤い不足を招く原因となるでしょう。そのほか、コンドームの素材によるアレルギーなど、性交痛の原因は多岐にわたります。
性交痛の原因として特に注意が必要なのは、精神的トラブルと婦人科などの各種疾患です。セックスは精神状態に大きく左右される行為のため、パートナーとの関係や性被害などのトラウマが原因で性交痛を引き起こす場合があります。
医学的な治療のみでの改善は難しいため、カウンセリングなどの特別な治療が必要でしょう。また、各種疾患が原因のケースもあるため注意が必要です。

性交痛の痛みはどのくらい続きますか?

個人差がありますが、性交痛は性交後すぐをピークに、1〜3日程度で自然に治まるでしょう。しかし、数日経っても痛みが治らずひどくなるようなら、摩擦による傷から細菌が入り込み炎症を起こしている可能性があります。
また、腹痛が強く出てくる場合にはお腹の感染症や、卵巣から出血している可能性もあります。痛みが強かったり数日で治まらなかったりする場合には、早めに医療機関で受診しましょう。

男性が性交痛を感じる場合もあるのでしょうか?

男性の場合は女性よりも性交痛を感じる頻度は少ないとされます。しかし、腟の潤い不足による摩擦で、女性と同様に男性側も痛みを感じる恐れがあります。
お互いに痛みを感じないよう、腟を十分に潤してから挿入すると摩擦による痛みが起こりにくくなるでしょう。

性交痛の受診と治療

診察を受ける中高年の女性と医療スタッフ

性交痛は病気が原因でしょうか?

性交痛は、更年期などで女性ホルモンの分泌が減少し起こるケースが多いですが、婦人科などの各種疾患が原因で起こるものもあります。性交痛を引き起こす疾患として、以下の4つが代表的です。

  • 婦人科疾患:子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣腫瘍・萎縮性腟炎など
  • 感染による炎症性疾患:クラミジア・トリコモナス・カンジダなど
  • 内科疾患:腸炎・憩室炎など
  • 泌尿器科疾患:膀胱炎・尿道炎など

腟の奥で性交痛が起こったり下腹部痛があったりする場合には、婦人科疾患・内科疾患・泌尿器科疾患などが疑われるでしょう。
腟の入口で性交痛が起こり、且つ外陰部に何らかの炎症や異変を伴う場合には、早めに医療機関で受診するとともに性感染症の検査を受けることをおすすめします。

性交痛は何科を受診すれば良いでしょうか?

性交痛は、婦人科産婦人科で受診すると良いでしょう。年代によって原因が大きく異なるため、原因に合わせ医療機関を選ぶことをおすすめします。
例えば更年期に性交痛を感じた場合は更年期医療に精通した医師に相談することが望ましいですし、トラウマなどが原因となる場合はカウンセリングが行える医療機関が勧められます。
セックスに関する非常にデリケートな問題のため、同性の医師がいる医療機関を選ぶと相談しやすいかもしれません。性交痛は多くの女性の悩みであり、受診を恥ずかしがる必要はありません。
性交痛の改善は、生活の質(QOL)の向上にもつながるため、婦人科などでの受診をおすすめします。

病院ではどのような治療を行いますか?

婦人科などの性交痛の治療では、問診視診を行うのが一般的です。問診では、痛みの程度・痛む場所・痛みの頻度など、性交痛の詳細を聞かれるでしょう。
視診では、外陰部の炎症の有無に加えて、腟鏡という器具を使用し腟の中を確認します。腟粘膜に炎症や萎縮が認められる場合には、エストリオールという腟剤によるホルモン補充療法が行われるでしょう。
エストリオールはエストロゲン製剤の中でも特に低用量である上に、性交痛や萎縮性腟炎に対しての使用では保険適用となるため、取り入れやすいというメリットがあります。

治療期間を教えてください。

性交痛の治療期間は、人によってさまざまです。治療によりすぐに効果が実感できる方もいれば、そうでない方もいます。また、性交痛の原因によっても治療期間は大きく異なるでしょう。
まずは、婦人科などの医療機関を受診し性交痛の原因を突き止め、治療法や治療期間に関しては医師から詳しく説明を受けると良いでしょう。

性交痛を放置するリスク

注意を知らせる女性医療従事者

性交痛に市販薬は効果がありますか?

性交痛の市販薬として、潤滑ゼリークリームがあります。挿入時に使用することで腟内の潤いを補い、摩擦から腟壁を保護できるため、痛みの軽減につながるのです。
潤滑ゼリーやクリームの使用は婦人科などの医療機関でも推奨されており、性交痛の痛みを軽減する効果も認められています。ドラッグストアなどで手軽に購入できるため、性交痛の悩みがある方は積極的に取り入れることをおすすめします。

性交痛を放置するとどうなるのでしょうか?

性交痛を放置すると、セックスのたびに痛みを我慢する状態が続き、次第にセックス自体が苦痛になります。その結果、パートナーとの関係悪化や、生活の質(QOL)の低下につながる恐れがあるでしょう。
先述のとおり、性交痛は婦人科疾患や泌尿器科疾患などでも起こり、各種疾患を発見する重要なサインでもあります。性交痛を放置し病気の発見が遅れると、不妊症や卵巣腫瘍の悪性化などにもつながりかねません。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

性交痛は、特に更年期以降の女性によくみられる症状であり、性交痛に悩む方も少なくありません。
日本ではセックスの問題に関して非常に消極的ですが、豊かな人生を送るためにもセックスは必要なものであり、性交痛の改善は重要だといえるでしょう。
また、性交痛の裏には大きな疾患が隠れているケースもあるため、ただの性交痛だと軽視せずにしっかりと対処することも大切です。婦人科などの医療機関で治療が可能なため、性交痛に悩む方は一度婦人科などで受診することをおすすめします。

編集部まとめ

ベッドで手を繋ぐ男女の手
今回は、性交痛の原因・症状・治療法などについて詳しく解説しました。性交痛は口に出して言わないだけで、実際には多くの女性が悩んでいる症状でもあります。

また性交痛を感じてもパートナーに伝えられない方も少なくありませんが、より愛情を深めるためにも、性交痛を伝えてパートナーと理解し合うことも大切です。

性交痛は、婦人科などの医療機関で治療できます。潤滑ゼリーなどの市販薬も取り入れると、性交痛の軽減につながるでしょう。

より良い性生活を送るためにも、性交痛でお悩みの方は、一度婦人科などで相談してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修医師